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交通事故の過失割合

Last Updated on 2023年10月20日 by

過失割合とは

交通事故の過失割合とは、交通事故に対する責任の割合のことです。通常は当事者が契約している保険会社の担当者が話合い、過失割合を決定します。

一般的にいえば、被害者は、加害者に対し、損害賠償請求することができます。しかし、被害者側にも不注意、過失などの落ち度があるときは、損害のすべてを加害者に負担させることができません。

過失割合によって賠償額が決まります

例えば、被害者が受けた損害の総額が100万円だったとした場合、一見して加害者が全面的に悪いと見えるような事故であっても、加害者と被害者の過失割合が80:20に決まれば、被害者は、損害の80%、80万円しか加害者に請求できません。残りの20万円は自己負担になります。

もし、この決定前に、治療費全額を保険会社が病院に支払っていると、過失割合によっては過払いになり、その分を被害者から回収しなければならないことになります。

実際は、慰謝料などもあるので、治療費も出ないということは少ないと思われますが、全部相手の負担になるわけではないことに留意が必要です。

過失割合の決まり方

過失割合の決まり方は過去の裁判例の蓄積等を踏まえてマニュアル化されています。

裁判所や弁護士などの実務家の間で広く利用されているのは、判例タイムズ社という会社が発行している「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」です。

これには、自動車と自動車の事故、自動車と二輪車の事故、自動車と歩行者の事故など事故の当事者ごとに場合分けされていて、事故の態様に応じてそれぞれの当事者の過失割合の基準が書かれています。

保険会社では、これに沿って相手方と交渉し過失割合を決めます。

例えば、こんな内容です。

信号機のない、見通しがきかない交差点で自動車同士が出合い頭に衝突した場合。

一般的には交差点では左方車が優先です。ところが、左右の見通しがきかない交差点であって、交差する道路の幅員が同じ場合は、両車ともに徐行義務があります。この場合、両車が同程度の速度だった場合の基本割合は、左方車:右方車=4:6となります。

これにどちらが減速したか、あるいはしなかったか、などいろいろな要素が加味され、場合によっては、優先道路であっても、過失割合が逆転することがあります。

交差する道路の幅員が違う場合は、広い道路を走行:狭い道路を走行=3:7となります。

一方があきらかな優先道路、例えば小路から一般道に飛び出した場合、基本の割合は、1:9となります。100%ではないのです。

停車中の車に、自動車が追突した場合、双方の過失割合は原則、追突した方が0:10となります。

しかし、前方自動車が走行中に突然不必要な急ブレーキをかけた結果、後方自動車が追突した場合には、3:7となります。不必要でない急ブレーキの場合は別です。

過失割合に不満なとき

上述したように、双方が走行中であれば、100%をとるのはなかなか困難です。

事実に即した過失割合を決めてもらうためには、実況見分の際、事故の状況を正確に説明し、実況見分調書に正確に反映してもらうことが重要です。

言葉だけで主張しても通りにくいでしょう。客観的な証拠に基づいて主張する必要があります。ドライブレコーダーや目撃者の証言ははとても有効です。

どうしても保険会社の主張する過失割合に納得がいかない場合は、弁護士に相談しましょう。


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