Last Updated on 2023年10月20日 by 勝
示談とは
示談(じだん)とは、裁判手続きを利用せず、交通事故の当事者間で、あるいは保険会社の担当者や弁護士などを通じての話し合いによって、損害賠償に関する合意を成立させることを言います。
示談のための話し合いを示談交渉と言います。
合意すると、その内容を記載した示談書が作成され、双方の署名捺印が行われて成立となります。
話し合いで解決しなければ、調停や裁判ということもありますが、交通事故のほとんどは示談で解決しています。
現場では、お互いに免許証などで相手を確認し保険会社を教えます。また、それぞれの保険会社に速やかに連絡をとりましょう。
特に加害側になったときは、保険会社の存在は重要です。
保険会社が示談交渉に対応する
任意保険には、運転者に代わって示談交渉を行う「示談交渉代理」サービスが付与されていることが多いため、加害側となってしまった運転者が保険を利用して損害賠償金を支払う場合には、ほとんどの場合は保険会社が交渉の窓口となります。
お金を出すのは保険会社ですから、当事者であっても勝手にやってはいけないのです。
勝手に話しを進めて、あとで保険会社からそれには対応できないと言われたときに困るのは加害側の運転者です。
被害事故でも過失割合というものがあるので、自分が加入している保険会社への連絡は必須です。
示談交渉を始めるタイミングも、プロである保険会社の方が良く承知しています。ただし、担当者が忙しかったりいい加減だったりすれば、タイミングを逃すことがあるので、気になるときは、担当者に電話して状況を把握しましょう。
加害側が示談を急ぐときは
まず、警察への事故通報は当事者の義務ですから、交通事故を起こしてしまったときの対応軽い事故でも必ず警察を呼ばなければなりません。
加害側が警察も呼ばずにその場での解決を提案されることがあります。
お互いの負傷が比較的軽傷、または一方が無傷で、車両の破損も小さかった場合が多いようです。
仕事に間に合わない、時間がない、などの理由で、多少多く払っても、その場で片づけたい場合が多いと思われます。
他には、交通違反で点数がギリギリで、今回の事故で行政処分を受けたら免許が取り消しになってしまう、などという場合もあります。
場合によっては、何かの犯罪に関係のある人が警察と関わりたくない場合かもしれません。
何らかの事情がある人は、必死ですから、いろいろなことを言います。「会社をクビになる」「会社がつぶれる」「親が危篤だ」と言う例もあるそうです。気持ちが動くかもしれませんが、それでも、事故現場で示談をしてはいけません。
事故を起こした相手を信じてしまうのは、とてもリスキーなことです。
その後態度が急変して、自分には事故の責任は一切無いと言いだしたり、連絡が取れなくなったりする事は珍しくありません。
また、事故直後は興奮状態にあるのでケガに気付かないことがあります。その時は何ともなくても数時間後、あるいは数日後に症状として現れることが珍しくありません。
隠れたケガに気付かず、事故現場で示談をしてしまった場合、あとで発生した治療の補償は誰もしてくれません。
相手が当たり屋で、後日逆に損害賠償を求められることも可能性もあります。
後で揉めないよう、きちんとした手順で事故処理を行うべきです。
保険会社を交えないで、額をいくらにするかなどの具体的な話しをしてはいけません。「全部払います」は絶対に禁句です。
たとえ、口頭でも示談には応じない。口約束でも契約です。取消は難しいのです。相手が録音している場合もあります。
手書きのメモなどには絶対にサインなどしない、
ことが大事です。
示談が一度成立したと認められれば、後に取り消すことは極めて困難です。詐欺的な、あるいは脅迫的なやりかたで示談させられてしまったときは、無効や取り消しを要求することは可能です。しかし、そうであった事実を証明し、さらには裁判に持ち込まなければならなくなります。裁判では証拠が重視されますから、事実を主張しても勝てるとは限りません。
事故現場での示談は、絶対にやってはいけません。
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