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借り上げ車両の管理

Last Updated on 2023年10月21日 by

私有車借上制度の検討

うちの社員はほとんどマイカー通勤だという会社は、大都会は別として、よくあることだと思います。しかも、マイカー通勤を許可している場合は会社の敷地に置かせているケースも多いです。会社の敷地においてあるマイカー群を見ていると、会社で車を買うのはもったいない、日中は会社の敷地に置きっぱなしにしている、あの車を使えば良いのではないかという発想がでてくるのも自然なことです。

そもそも、社員の自家用車を会社が借りて運行する、そうした契約自体に法律上の問題はありません。雇用契約とは別の、商取引のようなものですから、会社と個々の社員が同意すれば、基本的にはどのような契約も自由です。会社はどのような条件を提示することもできます。社員はいやなら応じなければよいのです。(会社が借り上げ制度を強制することはできません。)

ということで、社員の私有車を会社の業務に使っている会社は多いようです。

借上げ制度のメリット

会社にとってのメリット

1.自動車購入費や維持費等が節約できます。 ← 借上げ料金の設定次第ですが、通常は自社で買うより節約になる額を提示するはずです。

2.車がきれいになり安全運転も期待できるかもしれません。 ← 自分の車だと特に大事にするものです。

3.車の税金の支払い、車検などの事務的な手間が減ります。 ← 所有者である社員が行うわけですから。

4.会社の車を減らせるので駐車スペースが少なくて済む。 ← 意外に大きなメリットです。

社員にとってのメリット

借上料という現金が手に入るのはうれしい。 ← 借り上げ制度があろうがなかろうが車は必要だから。

ということで、双方が納得するのであればやってみたら、というこになるのですが、デメリットも検討しておきましょう。

借上げ制度のデメリット

会社にとってのデメリット

1.業務使用と私用の区別が曖昧になりやすい ← 私用走行も業務だと偽られる可能性もあり

2.車種やデザイン・カラーによっては取引先に会社のイメージを低下させることがある← 社内に置いてある私物も、モノによってはイメージが悪い

3.交通事故を起こした場合、会社の責任範囲が広くなる場合があることがある ← この交通事故が一番問題かも

社員の私有車であっても業務に使わせたときは、民法715条の「使用者責任」と自賠法第3条の「運行供用者責任」が生じます。契約書に「事故処理は本人の負担とする」と記載してあってもダメでしょう。業務中の事故に会社が無関係でいることはできません。また、業務と私用の境界があいまいな場合(この管理が特に重要)には、業務外の事故であっても会社に責任が発生する可能性があります。

社員にとってのデメリット

車両の損耗が大きくなる。 ← 私用走行よりは桁違いに走行距離が長くなるので。

思わぬ税負担が発生することがある。 ← 会社から支給される借上料は雑所得として申告が必要。

任意自動車保険料が上がる可能性がある。 ← 業務使用ということであれば保険料が違ってくる。

借り上げ制度を実施するかどうかは、

こうしたメリット・デメリットをよく理解した上で、制度導入の可否を検討しましょう。

導入する場合には、規程を作ってしっかりと管理運営しましょう。

車両借上規程のサンプル


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