Last Updated on 2025年9月30日 by 勝
ハラスメント調査後の事後措置における再発防止策の徹底は、単に今回の事案を解決するだけでなく、今後同様の事態が二度と発生しないよう、職場環境そのものを改善し、予防体制を強化するための重要な取り組みです。
再発防止策の具体的な内容
再発防止策は、ハラスメントの認定結果(ハラスメントと認定、ハラスメントではないと認定、判明せず)にかかわらず、すべてのケースで実施することが求められます。
主な再発防止策は、以下の3つの柱で構成されます。
1. 会社の方針・規定の再周知と啓発
ハラスメントは、個人の問題だけでなく、職場全体でその行為を許容しないという姿勢を示すことが重要です。
- トップメッセージの表明: 経営層がハラスメントを許容しないという強い姿勢を改めて社内に向けて発信します。
- 就業規則・規定の確認と周知: ハラスメントの定義、禁止事項、懲戒処分の内容、相談窓口など、関連する規定を従業員に再確認させ、文書で明確に示します。
- 啓発資料の配布: ポスター掲示やパンフレットの配布などにより、全従業員にハラスメント防止の重要性を継続的に意識させます。
2. 研修・教育の実施
全ての従業員のハラスメントに対する理解度を高め、意識改革を促します。
- 全従業員向け研修の実施: ハラスメントの具体例、もたらす影響、行為者となるリスクなどを盛り込み、定期的に研修を実施します。eラーニングや集合研修など、参加しやすい形式を工夫します。
- 管理監督者(管理職)向け研修の強化: 一般社員よりも高い倫理観とリーダーシップが求められる管理職に対し、ハラスメント発生時の初期対応、事実確認の手法、日常的な職場環境改善の責任に焦点を当てた専門的な研修を行います。
- 個別指導・教育: 必要に応じて、事案の行為者に対して、個別のカウンセリングや研修を通じて問題行動を認識させ、改善を促します。
3. 相談・対応体制の強化と改善
相談しやすい環境を整え、万が一ハラスメントが発生した場合に機能する体制を構築します。
- 相談窓口の再周知: 相談窓口の担当者や連絡先、利用方法について、改めて従業員に分かりやすく周知し、利用しやすい環境を整えます。
- 相談担当者の資質向上: 相談担当者に対し、傾聴の姿勢、プライバシー保護の重要性、事実確認の進め方などに関する研修を行い、対応能力を向上させます。
- フォローアップ体制の構築: 事案解決後も、被害者や関係者の職場復帰や定着状況について定期的なフォローアップを実施し、不利益な取扱いが発生していないかなどを確認します。
- 職場環境の点検: 今回の事案の背景にある組織風土や構造的な問題点を分析し、長時間労働の是正、コミュニケーションの改善など、ハラスメントを生まない職場環境づくりに取り組みます。
これらの措置を講じることで、会社はハラスメント防止措置義務を果たし、すべての従業員が安心して働ける健全な職場環境を維持・向上させていくことが期待されます。