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取締役と監査役

取締役の報酬

Last Updated on 2021年7月28日 by

取締役報酬とは

会社の役員とは、取締役・監査役・会計参与のことです。役員に支払う報酬を役員報酬と呼んでいます。

役員報酬を取締役に支払う場合は、取締役報酬(会社法第361条に「取締役の報酬等」という言葉があります)といいます。

取締役の報酬には、毎月定額で支払われる給与と、業績に応じて支払われる賞与があります。

取締役のために支払われたいろいろな対価も取締役報酬とみなされることがあります。取締役の出張旅費や飲食代について、会社業務との関連性が認められない場合は、プライベートなものとして、その取締役への給与として扱われます。

報酬のうち、毎月一定額で支払われる報酬を、一般的に役員給与といい、臨時に支払われる報酬を役員賞与といいます。

株主総会で決める

取締役の報酬は株主総会で決めなければなりません。

(取締役の報酬等)
会社法第361条 取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。

株主総会の決議は毎年する必要はありません。一度報酬の決議した場合、翌年以降も効力を有すると解されています。

実際の決め方としては、

① 株主総会で役員ごとの報酬を決定する
② 株主総会では役員報酬の総額を決めて、個別の金額は代表取締役や取締役会にゆだねる

という2つの方法があり、多くの会社では②を採用しています。

取締役の報酬について会社法が改正されました。(2019年12月4日成立改正会社法361条7項)今後施行されます。

上場会社等においては、取締役の個人別の報酬の内容が定款又は株主総会の決議で定められていない場合に、取締役会が取締役の個人別の報酬の内容の決定方針として法務省令で定める事項を決定しなければならないものとされました。

今後、省令等により、取締役の個人別の報酬の決定方針として定める事項の詳細が規定されるとともに、取締役の報酬に係る株主総会の決議や取締役会から代表取締役への再一任に関する事項などについても、事業報告による情報開示の充実が図られるものとみられます。

年度内は額の変更をしない

法人税の扱いでは、毎月一定額で支払う、いわゆる「定期同額給与」であれば損金算入ができます。

原則として、事業年度を通して一定でなければなりません。3月決算の会社であれば、4月から翌3月まで、原則として変更しないのが通例です。

なお、特別に変更が認められる場合もあります。

取締役が代表取締役に昇格した、逆に、常勤取締役が非常勤取締役になったなどの合理的な理由がある場合は期中での変更が認められます。

また、業績の想定より良くなった場合の増額は認められませんが、業績が想定より悪くなった場合の減額は認められることが多いようです

変更する場合の時期は、期首の3ヶ月の間にすることになっています。つまり、通常は定時株主総会の時期となります。

このように、取締役報酬の変更に制限を加えているのは、取締役報酬を利用した節税を防ぐ目的があります。

役員賞与

税務上は役員給与と役員賞与の扱いが違います。役員給与は業務執行の対価であり、役員賞与は利益の分配とみなすためです。

この違いに基づき、事前に決めた一定額を支払う役員給与は損金に算入することができ、役員賞与は損金への算入が認められません。

事前確定届出給与

事前確定届出給与とは、その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与です。すなわち、毎月一定額で支払うのではなく、支払額を変動できるので、役員賞与の支払いに利用されます。

この制度を利用するには、期首に年間の役員報酬を決めたら、「事前確定届出給与に関する届出」という届け出を税務署に提出します。届出の通りに支給すれば、全額損金として認められます。

利益連動給与

法人税法は、もう一つ、変動しても損金に算入される役員報酬を認めています。利益などに連動し、報酬額が自動的に決まる「利益連動給与」です。

ただし、普通の未上場企業が使うことはできません。

事業報告における開示

公開会社(株式の譲渡制限がない会社)においては、事業報告において対象となる事業年度における役員報酬を記載する必要があります。

この役員報酬は総額を記載すれば足りますが、社外取締役に関する役員報酬は別枠で記載しなければなりません。

事業報告のほか、上場会社においては金融商品取引法に基づいて役員報酬を開示することが求められています。

取締役報酬の適正額

原則としていくらの報酬を支払うかは、それぞれの会社が株主総会決議等で自由に決めることができますが、税務当局から、相当でないと認められれば、損金で処理できないことがあります。

その基準は、

① 役員の職務内容
② その会社の業績や、従業員への給与支払の状況
③ 同業種・同規模の他の法人の役員報酬の状況

などが考慮されることになっています。

使用人兼務取締役の報酬

取締役が使用人を兼務している場合、当該取締役の報酬が、取締役としての職務執行の対価の部分と、使用人としての職務の対価の部分が、明確に合理的に分かれている場合は、使用人としての部分は取締役報酬として扱いません。

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