社外取締役とは?

取締役と監査役

Last Updated on 2025年10月6日 by

社外取締役とは、その会社やグループ会社の業務執行に関わった経験がない会社の外部から招かれた取締役のことを指します。一般的に企業では、取締役の仲間主義が強く、チェック機能が働かないという懸念があります。そのため、外部から人材を入れて、取締役会の監督機能を強化しようとする制度です。

社外取締役の主な役割

社外取締役には、主に以下の役割が期待されています。

経営の監督・監視

社内の利害関係から独立した客観的かつ中立的な立場から、経営陣による業務執行や意思決定を監督・監視します。これにより、経営の透明性や公平性を高め、経営の暴走や不正を未然に防ぐ役割があります。

助言(アドバイス)

自身の持つ専門的な知識や豊富な経験(例:他社での経営経験、会計、法律の知見など)に基づき、企業の持続的な成長や企業価値向上につながるような助言や提案を行います。

ステークホルダー(利害関係者)の意見反映

株主や取引先などのステークホルダー(特に少数株主)の意見を、経営陣から独立した立場で取締役会に適切に反映させる橋渡し役としての機能も担います。

社外取締役の要件

会社法では、社外取締役としての「独立性」を確保するための要件が定められています。主な要件としては、現在および過去において、以下のいずれにも該当しないことが必要です。

  • その会社または子会社の業務執行取締役、執行役、支配人、使用人など
  • その会社の親会社の業務執行取締役など。
  • その会社の取締役や重要な使用人の配偶者または二親等内の親族
  • その会社と大規模な取引を行う者など、会社と利害関係が強いと認められる者。

その会社の取締役・使用人等についての補足

会社法に基づき、その会社の社外取締役として就任するには、原則として、就任時より10年間の期間制限が設けられています。正確には、以下のいずれにも該当しないことが要件となっています。

  1. 就任の前10年間に、その株式会社または子会社の業務執行取締役(ぎょうむしっこうとりしまりやく)等であったことがないこと。
  2. 就任の前10年間に、その株式会社または子会社の支配人その他の使用人(従業員)であったことがないこと。

したがって、10年間が経過していれば、これらの社内での職歴による欠格要件はクリアしたことになります。

上場企業などが設けている「独立役員」の要件(証券取引所の規則に基づく要件)は、会社法上の社外取締役の要件よりもさらに厳しく、より長い期間の利害関係がないことが求められる場合もありますので、個別の会社の独立性基準を確認する必要があります。

社内取締役との違い

項目社外取締役社内取締役
就任経緯会社の外部から招かれる会社内部から昇進することが一般的
業務執行原則として関与しない日常的な業務執行を担うことが多い
主な役割経営の監督・監視、助言事業の遂行、意思決定
立場独立した第三者の立場会社の内部の人間

社外取締役の責任を限定的にすることができます。定款で、定款に定めた範囲内においてあらかじめ定める額と一定の金額の合計額とのいずれか高い額を限度として、賠償の責任を負う旨の契約をできる旨を定め、社外取締役と契約を結びます。

社外取締役は、外部の視点を取り入れ、企業のコーポレートガバナンス(企業統治)を強化するために不可欠な存在となっています。

社外取締役を設置する義務がある場合

社外取締役の設置が義務付けられている主なケースは、会社法証券取引所の上場規則によって定められています。

会社法による設置義務

会社法により、以下の4つの要件をすべて満たす株式会社は、社外取締役を置くことが義務付けられています。

要件詳細
① 監査役会設置会社監査役会を設置している会社(監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社ではない会社)
② 公開会社発行する株式のすべてについて、譲渡制限の規定を設けていない会社(株式が自由に譲渡できる会社)
③ 大会社最終事業年度の資本金が5億円以上、または負債総額が200億円以上の会社
④ 金融商品取引法上の有価証券報告書提出義務金融商品取引所に上場している会社など、有価証券報告書の提出が義務付けられている会社

また、上記以外にも、委員会設置会社(指名委員会等設置会社および監査等委員会設置会社)は、制度上、社外取締役を一定数以上置くことが必須とされています。

証券取引所の上場規則による要請(実質的な義務)

上場会社は、会社法上の義務対象でなくても、証券取引所(特に東京証券取引所)の規則により、社外取締役の設置が強く求められています。