取締役が一堂に会せない場合の取締役会

Last Updated on 2021年7月26日 by

原則は一堂に会する必要がある

取締役会は、取締役全員が同じ場所に集まって会議をするのが本来のやり方ですが、感染症対策など、状況によっては一堂に会することが難しい場合があります。また、特定の取締役が遠隔地にいる状態で開催を要する場合もあります。

この対策として、取締役会の書面開催と、リモート開催が考えられます。

取締役会の書面開催

まず、書面開催については、会社法第370条に、取締役会の決議の省略についての定めがあります。

それによると次の要件を満たせば書面または電磁的記録での開催ができるということになります。

□ 取締役が取締役会決議の目的事項について提案したこと。

□ 当該提案について、特別利害関係取締役を除く取締役の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたこと。一人でも反対すればできません。

□ 監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べていないこと。

□ 定款にその旨が規定されていること。

以上の要件を満たせば、当該提案を可決した旨の決議があったものとみなせることになります。

なお、代表取締役および業務執行取締役は、3ヶ月に 1 回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならず、この報告の省略は認められません(会社法372条2項、363条2項)。

つまり、書面決議の要件が整っていても、3ヶ月に1回は物理的に取締役会を開催しなければなりません。

取締役会のリモート開催

会社法施行規則第101条(取締役会の議事録)に次のようにあります。

3 取締役会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
一 取締役会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が取締役会に出席をした場合における当該出席の方法を含む。)

つまり、会社法は、取締役等が違う場所にいる場合があることを前提としています。

つまり、リモート開催が可能です。

リモート開催の注意点

法務省は、リモートでの取締役会の開催について、次の2つの要件を示しています。

1つ目は即時性です。つまり、取締役の発言内容等が、即時に他の取締役に伝わることです。

2つ目は双方向性です。つまり、取締役間で会話が自由にできることです。当然、発言する取締役の音声が他の取締役に明瞭に伝わる状態でなければなりません。

したがって、テレビ会議用ソフトを利用したオンライン開催が可能です。

なお、リモート開催した場合は、その場にいない取締役等がリモートで参加したことを、議事録で明確にしておく必要があります。

議事録の開催場所はどうなるか

全取締役がリモート参加になることが可能で、その場合は議長の所在する場所を取締役会の開催場所として開催することができると解されています。

したがって、全取締役が自宅から参加する場合には、議長たる取締役、つまり社長の自宅が開催場所となるでしょう。

現実的には、事務局との打ち合わせを必要とするなどの理由で、議長である取締役は会社から参加すると思われるので、全員リモートになることはほとんどないと思われます。

議事録の署名

議事録の署名は、終了後速やかに議事録を作成し、郵送等で回付して署名を求める方法が考えられます。また、事務方が議事録を持って役員一人一人と会って署名をもらう方法が考えられます。

迅速に署名を集めるには、取締役会議事録の署名を電子署名ですることが考えられます。この場合、各取締役が電子署名の電子証明書が必要です。

クラウド型の電子署名も認めるという法務省の見解が示されています。これは、クラウド上でサービス提供事業者(電子契約事業者)が利用者の指示を受けて電子署名を行うものです。

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