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取締役と監査役

監査役会とは

Last Updated on 2025年6月18日 by

公開会社かつ大会社は監査役会を置く

監査役会を設置する義務がある会社

監査役会とは、監査役で組織する会社内の組織です。

監査役会を設けている会社を監査役会設置会社といいます。

公開会社(株式の譲渡制限がない会社のことです。株式公開会社のことではありません)で大会社(最終事業年度の貸借対照表に計上された資本金額が5億円以上か、負債総額が200億円以上の会社)でもある場合は、委員会設置会社を除いて、監査役会を設置しなければなりません。

半数以上の監査役は、過去に当該会社またはその子会社の取締役、使用人等になったことのない(ただし、10年間関係がなければよい)社外の人、つまり、社外監査役でなければなりません。

委員会設置会社は必要ない

監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社は、監査役会に代わる監査機関(監査等委員会、監査委員会)を設置しているため、監査役会を置く必要はありません。

監査役会の任意設置が可能

資本金が基準に満たないなどの理由で監査役会を設置する義務に該当しない株式会社であっても、定款に定めることにより、任意に監査役会を置くことができます。(会社法326条2項)

ただし、監査役会を設置する場合、以下の要件を満たす必要があります(会社法335条3項、390条3項)。

・監査役が3名以上であること
・監査役の半数以上が社外監査役であること
・常勤の監査役を1名以上選定すること

監査役の権限

監査役は、独任制と言って、一人一人が監査の権限を持っています。監査役会があっても同様です。監査役会の決議をしても、他の監査役の活動を妨げることはできません。

監査役会の運営

監査役会は、各監査役が招集します。監査役会は、取締役会のように招集権者を定めることはできません。

監査役会を招集するには、監査役は、監査役会の日の1週間(定款で短縮可)前までに、各監査役に対して招集通知を発しなければなりません。

監査役全員の同意があるときは、招集手続を省略して開催することができます。

監査役会の決議は、監査役の過半数をもって行いますが、会計監査人の解任決議は監査役の全員一致が必要です。

監査役会の職務

会社法上、監査役は「独任制の機関」であり、個々の監査役が独立して監査権限を行使します。一方で、監査役会は、複数の監査役によって構成される「合議体」として、以下の監査役会として行わなければならない(または行うことができる)独自の職務が定められています。

監査役会として行う職務

監査報告の作成

個々の監査役が行った監査の結果をまとめ、監査役会としての監査報告を作成します。これは、会社が作成する計算書類や事業報告等が適切であるか否かについての監査役会としての意見を表明する重要な文書です。

監査役会がある場合の監査意見は、監査役会の多数決で決定しますが、異なる意見を持つ監査役は、監査役会監査報告に自己の監査意見の内容を付記することができます。

常勤の監査役の選定及び解職

監査役会の内部において、常勤の監査役を誰にするかを選定し、またその職務を解くことを決定します。

常勤監査役とは、他に常勤の仕事がなく、会社の営業時間中、原則として、当該会社の監査役としての職務に専念する者のことです。常勤監査役は、会社の業務執行状況を常時監視する役割を担います。

監査の方針、監査役会設置会社の業務及び財産の状況の調査の方法その他の監査役の職務の執行に関する事項の決定

個々の監査役がバラバラに監査を行うのではなく、監査役会全体としてどのような方針で監査を行うか、どのような方法で調査を進めるか、各監査役がどのような役割分担をするかといった、監査業務の基本的な枠組みや進め方を決定します。ただし、この決定があっても、個々の監査役の権限行使は妨げられません(会社法390条2項ただし書)。

会計監査人の選任、解任及び不再任に関する議案の内容の決定(会社法344条)

株主総会に提出する会計監査人の選任・解任・不再任に関する議案について、監査役会として同意・決定を行います。

会計監査人の報酬等に関する同意(会社法399条)

会計監査人の報酬について、監査役会として同意を与えます。

監査役会の実務上の役割

上記の法的な義務や権限に加えて、監査役会は実務上、監査役の合議等を通して以下の重要な役割を担います。

各監査役が個々に行った監査結果や、会社の状況に関する情報を監査役会で共有し、議論することで、より多角的で深度のある監査意見の形成に繋げます。

個々の監査役の監査活動を調整し、重複を避けたり、特定の重要事項に重点を置いたりすることで、監査全体の効率性と有効性を高めます。

個々の監査役が取締役会に意見を述べることも可能ですが、監査役会として合議された意見や提言は、より強い影響力を持ち、経営陣への改善を促す効果が期待されます。

このように、監査役会は個々の監査役の独立性を尊重しつつも、組織としての監査機能を強化し、企業統治の健全性を確保するための重要な役割を担っています。

監査役会議事録

監査役会設置会社は、監査役会を開催する都度議事録を作成しなければなりません。

監査役会議事録の書き方


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