カテゴリー: 社会保険

  • 扶養者が増減したときの社会保険手続き

    扶養者の増減

    健康保険では、保険料を負担している被保険者(本人)だけでなく、被保険者に扶養されている家族も保険給付を受けられます。

    扶養者異動届

    扶養者の変更があったときは、日本年金機構(事務センター)への手続きが必要です。

    健康保険被扶養者(異動)届

    被扶養者の年間収入が130万円以上(60歳以上又は障害者の場合は、年間収入180万円以上)見込まれるとき、同居の場合、被扶養者の収入が被保険者の収入の半分以上になったとき、別居の場合、被扶養者の収入が被保険者の仕送り額を超えたとき、などのときは削除の届出を行う必要があります。

    3号被保険者

    被保険者が20歳以上60歳未満の配偶者を被扶養者として申請するとき、または第3号被保険者の住所に変更があったときは届け出が必要です。

    国民年金第3号被保険者関係届

    注意点

    健康保険被扶養者(異動)届と被扶養配偶者の国民年金第3号被保険者関係届は複写の様式です。

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  • 子どもが生まれるときの社会保険手続き

    保険料免除の手続き

    産前産後休業、育児休業中は社会保険料が免除されます。該当者に説明し提出書類について案内が必要です。

    特に届け出先を記載していないものは日本年金機構への届け出事項です。

    産前産後休業中の社会保険料免除

    産前産後休業取得者申出書

    産前産後休業を取得した場合、健康保険・厚生年金保険料が被保険者負担分・事業主負担分ともに免除されます。

    免除される期間は、休業開始月から休業終了予定日の翌日の属する月の前月までです。

    産前産後休業中に申出書を提出します。

    産前産後休業取得者変更(終了)届

    出産により、当初申出した産前産後休業期間に変更が生じた場合、または終了予定日前に休業を終了した場合に提出します。休業期間が変更されると、保険料免除開始月や終了月が変更になることがあるためです。

    産前産後休業期間の変更がわかり次第すみやかに提出します。

    関連記事:従業員が産前産後休業を申し出たときの手続きと注意点

    育児休業中の社会保険料免除

    育児休業を取得した場合、健康保険・厚生年金保険料が被保険者負担分・事業主負担分ともに免除されます。

    短期の育児休業の取得に対応して、月内に14日以上の育児休業を取得した場合には当該月の保険料を免除するとともに、賞与に係る保険料については1月(暦日で判断する)を超える育児休業を取得している場合に免除の対象になります。

    賞与にかかる社会保険料の扱い

    賞与にかかる社会保険料の扱いを補足します。月の給与とは扱いが異なります。賞与を受け取った月の末日を含む、連続した1か月以上の育児休業を取得した場合に社会保険料が免除されます。
    例1 9月5日に賞与が支給され、9月15日から10月5日まで育休を取得した場合は免除されません。対して、9月5日に賞与を受け取り9月15日から10月25日まで育休を取得した場合は免除されます。
    例2 9月5日に賞与を受け取り、9月1日から9月30日まで育休を取得した場合は免除されません。対して、9月5日に賞与を受け取り9月1日から10月1日まで育休を取得した場合は免除されます。

    健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書

    標準報酬月額の手続き

    産前産後休業終了時の報酬月額改定

    健康保険・厚生年金保険 産前産後休業終了時報酬月額変更届

    産前産後休業終了後、育児休業を取得せずに復帰し、休業前と比べて「報酬に変動があった」場合、当該被保険者の申出により、事業主が届け出るものです。

    以下の1)、2)の条件を満たす場合、産前産後休業終了日の翌日の属する月以後3ヶ月間に受けた報酬の平均額に基づき、4ヶ月目の標準報酬月額から改定されます。
    (産前産後休業期間終了日の翌日の属する月が4月である場合は7月)

     1)従前の標準報酬月額と改定後の標準報酬月額に1等級以上の差が生じるとき
     2)産前産後休業終了日の翌日の属する月以後3ヶ月のうち、少なくとも1月における「報酬の支払の基礎となる日数」が17日以上であること

    関連記事:産前産後休業終了時の報酬月額改定

    育児休業終了時の報酬月額改定

    健康保険・厚生年金保険 被保険者育児休業等終了時報酬月額変更届

    関連記事:育児休業終了時の報酬月額改定

    養育期間の標準報酬月額特例扱い

    子どもが3歳までの間、勤務時間短縮等の措置を受けて働き、それに伴って標準報酬月額が低下した場合、保険料は低下したままで、将来の年金は子どもが生まれる前の標準報酬月額に基づく計算をする制度です。

    厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届

    関連記事:養育期間の厚生年金保険料

    各種給付の手続き

    出産と育児に給付金や貸付金の制度があります。該当者に案内が必要です。

    出産手当金

    健康保険出産手当金支給申請書

    健康保険の被保険者本人が出産のため会社を休み、報酬の支払いがないときは出産手当金が支給されます。

    出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合においては、98日)から出産の日後56日までの間において労務に服さなかったときに、1日につき、標準報酬日額の3分の2が支給されます。

    関連記事:出産手当金の手続き

    出産育児一時金

    出産育児一時金支給申請書

    健康保険でいう出産は、妊娠85日以後であれば、早産、流産、人工妊娠中絶も含むのでいずれも出産育児一時金の対象になります。

    1児につき50万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関で出産した場合や妊娠週数22週未満で出産した場合は48万8千円)支給されます。(額は令和5年4月1日現在)

    関連記事:出産育児一時金の手続き

    育児休業給付金

    関連記事:育児休業給付金

    被扶養者を申請してもらう

    健康保険 被扶養者(異動)届

    出産した子について被扶養者(異動)届を提出してもらい、健康保険被保険者証の交付を受けます。

    関連記事:扶養者が増減したときの社会保険手続き

    会社の規定にしたがって、給与の扶養手当の手続きをし、出産祝い金を支給をします。


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  • 従業員が結婚したときの手続き

    結婚による変更

    姓が変わったときは社会保険などで変更が必要かどうかチェックしましょう。

    一般的な仕事上では旧姓のままで通すこともできます。従業員の希望を聞いて対応しましょう。

    社会保険の手続き

    基礎年金番号とマイナンバーがひもづいていれば手続き不要です。

    マイナンバーと基礎年金番号が紐付いているかどうかは、日本年金機構から届く「マイナンバー未収録者一覧」で確認することができます。

    マイナンバーと基礎年金番号がひもづけられていない場合は、日本年金機構(事務センター)への手続きが必要です。養子縁組、離婚・離縁などの場合も手続きが必要です。書類は「被保険者氏名変更届」と「被保険者住所変更届」です。

    氏名変更届を記載する際は、フリガナを含めて間違いがないように十分チェックしましょう。

    漢字も十分にチェックしましょう。サイトウさんの場合「齋藤」「斎藤」「齊藤」「斉藤」など、ワタナベさんの場合「渡部」「渡辺」「渡邊」「渡邉」などがあります。

    希望すれば旧姓を併記した健康保険証が発行されます。

    結婚に伴って住所が変更になった場合は、健康保険・厚生年金保険 被保険者住所変更届(国民年金第3号被保険者住所変更届)を提出します。これも、上記と同様にマイナンバーと紐付けられていれば提出不要です。

    被扶養者が増える場合は、健康保険 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)を提出します。

    家族手当の増加や通勤手当の変更で、標準月額報酬が2等級以上変更になった場合は、「月額変更届」が必要です。

    雇用保険の手続き

    以前は、姓の変更があったときは、「雇用保険被保険者氏名変更届」をハローワークへ提出する必要がありましたが、⽒名変更届は、2020年5月31日をもって廃⽌されました。ただし、まったく手続きが必要ないのではなく、別の手続きが発生したときに、その届出とあわせて氏名変更も届け出るようになったということです。

    別のというのは次のような手続きがあります。

    □ 被保険者資格喪失届
    □ 転勤届・個人番号登録変更届
    □ 育児休業給付金・介護休業給付金の支給申請
    □ 高年齢雇用継続基本給付金の支給申請
    □ 高年齢再就職給付金の支給申請

    住所については、雇用保険ではもともと住所を管理していないため、変更になっても手続きは不要です。

    法定帳簿

    氏名が変更になる場合には、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿等の記載事項変更が必要です。連絡先も変更になる可能性があります。

    給与計算の手続き

    配偶者が扶養親族になる場合は、「扶養控除等(異動)申告書」の修正が必要になります。

    扶養家族の変更があれば、家族手当を変更する必要があります。

    住所の変更があれば、通勤手当を変更する必要があります。

    手当の増額によって月額変更届(随時改定)が必要になることもあります。

    氏(姓)の変更があれば、給与の振込先口座を変更する必要があります。

    社内で使用する氏名

    氏(姓)の変更があれば、名刺や社員証、名札等を変更する必要があります。

    変更が必要な事項は、会社によって異なると思われます。事前に変更事項を整理してチェックリストを作っておくと便利です。

    なお、氏(姓)の変更があっても、希望があれば社内でこれまでの姓を続けて使えるように配慮する会社が多いようです。

    関連記事:従業員の氏名が変わったときの手続き

    チェックリスト例

    □ 結婚した戸籍上の日を確認する
    □ 結婚後の氏(姓)を確認し、変更があれば届けてもらう
    □ 仕事上は旧姓を継続するかどうか確認する
    □ 結婚後の被扶養者を確認し、変更があれば届けてもらう
    □ 住所変更の有無を確認し、変更があれば届けてもらう
    □ 通勤手当の変更に伴う届が必要であれば届けてもらう
    □ 健康保険・厚生年金保険被保険者氏名変更(訂正)届を提出する
    □ 健康保険被扶養者(異動)届を提出する
    □ 月額変更届を提出する
    □ 必要あれば新しい社員証を交付する
    □ 必要あれば新しい名刺を交付する
    □ 必要あれば新しい名札を交付する


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  • 定年後再雇用時の社会保険料改定

    社会保険の同日得喪の手続き

    定年後継続雇用の適用をうけ、それにより賃金が低下した場合には、被保険者資格喪失届および被保険者資格取得届を同時に、定年退職日の翌日付けで提出します。「同日得喪」という手続きです。

    賃金が低下した場合、原則的な処理では、差し引かれる社会保険料(厚生年金保険料・健康保険料)はすぐには変わりません。通常の手続きでは4ヶ月目から社会保険料が変更になります。この手続きによって、社会保険の月額変更に該当することを待たずに、標準報酬月額を引き下げることができ、社会保険料負担を軽減することができます。

    社会保険の手続き(採用時) →社会保険の手続き(退職時)

    その後、契約更新に伴いさらに賃金が下った場合も、何度でも同日得喪によって即時改定が可能です。随時改定のような2等級以上の変動という要件もありません。

    資格取得時の標準報酬月額は、再雇用時の月の給与額を「保険料額表」に当てはめて記載します。

    手続きの際は、定年退職したことが証明できる就業規則等の添付が必要です。

    健康保険被保険者証は扶養者分も含めて、返却してもらいます。

    あらためて資格取得の手続きが完了したら、新しい健康保険被保険者証が発行されるので従業員に渡します。必要に応じて「健康保険被保険者資格証明書」の交付手続きを行います。

    健康保険被保険者資格証明書とは、健康保険被保険者証の発行までの間、保険証の代わりに利用できる証明書です。

    被扶養者がいる場合は、被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者資格取得等届を提出します。本人の印鑑、および扶養家族の状況によっては添付書類が必要になります。

    再雇用後に1週間の所定労働時間と1ヶ月の所定労働日数が変わって社会保険の加入条件から外れると資格取得ができません。


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  • 育児休業等終了時の報酬月額改定

    標準報酬月額とは

    標準報酬月額とは、毎月の給与から引かれる健康保険料や厚生年金保険料の計算の元になる金額のことで、標準報酬月額が低くなればこれらの社会保険料は安くなります。

    ただし、すぐに連動するのではなく、随時改定では「固定的賃金の変更があったこと」「変更月以降3ヶ月連続して17日以上の勤務があること」「従前の等級より2等級変わること」などの条件がそろった場合のみに改定できます。

    育児休業終了時の扱い

    それに対し、育児休業等終了時改定では「固定的賃金に変更があったかは関係なく」「育児休業終了月以降3ヶ月以内に、17日以上勤務した月がひと月あれば対象」「従前の等級より1等級下がれば対象」と、改定の条件がゆるやかになっています。

    育児休業等を終了した被保険者が3歳未満の子を養育している場合には、申出をすれば、育児休業等の終了日の翌日の属する月以後3ヶ月間の報酬月額の平均が標準報酬月額とされます。

    この育児休業等終了時改定で改定された標準報酬月額は、その育児休業等の終了日の翌日から起算して2ヶ月を経過した日の属する月の翌月から、次回の定時決定までの各月の標準報酬月額とされます。

    育児休業に入り、報酬がゼロになっても、その時点で標準報酬月額の改定は行いません。休業期間中の保険料は免除されるので、標準報酬月額を据え置いても、被保険者本人は不利益を受けません。しかし、休業から復帰後は、保険料の徴収が再開始されます。

    この育児休業等終了時改定は、復帰後に短時間勤務を選択したり、残業ができなくなって給与額が以前より下がったときに利用できます。特に収入が変わらなかったり、逆に昇給などで以前より高くなるなら適用されません。

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