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社会保険

賞与に対する社会保険料

Last Updated on 2021年7月28日 by

賞与からも社会保険料を差し引く

賞与を支給するときは、社会保険料を差し引いて支給し、賞与支払届を提出しなければなりません。

従業員は、被保険者資格を取得した日の属する月から喪失した日(退職日の翌日)の属する月の前月までの保険料を負担します。

退職する月に支給する賞与は、月末に退職する場合を除いて社会保険料控除の対象になりません。

手続き上の資格喪失日は、退職日の翌日です。ですから、7月31日に退職すると資格喪失日は8月1日になり、7月支給の賞与に対する社会保険料を負担しなければなりません。

これが、7月30日の退職であれば、資格喪失日は月内の7月31日になるので、7月支給の賞与に対する社会保険料を負担する必要がありません。

なお、これに該当して保険料がかからない場合であっても、賞与支払届には記載が必要です。

資格取得と資格喪失の月が同一の場合で賞与が支給された場合には保険料がかかります。

社会保険料の計算方法

賞与のときの社会保険料計算は、毎月の給与のときとは少し違います。

社会保険料は、保険料は標準賞与額に保険料率を乗じて計算します。

標準賞与額には上限があります。健康保険については、年度(4月から3月まで)の累計が573万円。厚生年金保険については、一回の支払ごとに150万円です。

標準賞与額は、賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額です。

平成31年4月の時点で、厚生年金保険料は18・30%、協会けんぽの健康保険料は都道府県により違いますが、例えば東京都の40歳未満は9.90%です。

計算した保険料を、(一部を除いて)事業者と被保険者が半分ずつ負担します。

健康保険料(事業主と被保険者で折半)
健康保険料(介護保険料込み・事業主と被保険者で折半)
厚生年金保険料(事業主と被保険者で折半)
子ども・子育て拠出金(全額事業主負担)

計算例

賞与が224,360円の人(介護保険対象外の40歳未満とします)がいるとします。

この人の標準賞与額は、「賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額」である224,000円です。

この金額に、社会保険料率を掛けて計算すると、

健康保険料が、224,000円×9.91%(平成29年度東京都の場合)×1/2=11,099.2円→11,099円

厚生年金保険料が、224,000円×18.30%×1/2=20,496円→20,496円

です。料率の後に2で割っているのは、社会保険料は労使折半だからです。

また、上端数の処理は、「50銭以下の場合は切り捨て、50銭を超える場合は切り上げて1円とする」です。

賞与支払届を提出する

賞与を支払ったときは、5日以内に「被保険者賞与支払届」と「被保険者賞与支払届総括表」を提出しなければなりません。賞与を支給しなかった場合には、「総括票」のみ提出します。提出は年金事務所の窓口、または事務センターに郵送します。

期限が短いので、後で、と思っていると遅れがちです。実務的には、賞与の支払いと同時に提出するように心がけましょう。

電子申請もできます。

用紙は、支払予定月を年金機構に通知してある事業所には、前月中には記入例などと共に届くことになっています。届かない場合は、書類は年金事務所に置いてありますが、日本年金機構のホームページからダウンロードして郵送で提出すればよいでしょう。

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