事業を始めたときは、5日以内に事業所として社会保険(健康保険と厚生年金保険)に加入する手続きをして、同時に、個々の従業員を社会保険に加入させる手続きをしなければなりません。
まずは適用可否を判定する
まずは、自分の事業が強制適用か否かを判断します。
法人の事業所
法人の場合は、すべて強制適用事業所であり、事業主や従業員の意思に関係なく、必ず健康保険と厚生年金保険の加入手続きをとらなければなりません。また、法人の場合は社長を含め常勤の役員も被保険者になります。
よって、法人の場合は、従業員が一人もいない段階でも、社長を加入させなければならないので社会保険の適用事業所になる手続きをしなければなりません。
個人の事業所
個人事業所(法人ではない)が社会保険(健康保険・厚生年金保険)の「強制適用事業所」となるかどうかは、業種と常時使用する従業員数で判断されます。
5人以上で強制適用となる業種(法定業種)
以下の業種に該当する個人事業所は、常時5人以上の従業員を使用する場合、社会保険の強制適用事業所となります。
| 強制適用となる主な業種 | 具体例 |
| 製造業、建設業、運送業 | 各種工場、建設現場、運送会社など |
| 通信・報道業、金融・保険業 | 新聞社、広告業、銀行、保険代理店など |
| 物品販売業、不動産業 | 小売店、卸売業、不動産仲介業など |
| 士業 | 弁護士、税理士、行政書士など(2022年10月に追加) |
| 医療業、社会福祉事業 | 病院、診療所、介護施設など |
5人以上でも強制適用とならない業種(非適用業種)
以下の業種に該当する個人事業所は、常時5人以上の従業員を使用しても、社会保険の強制適用事業所とはなりません(任意で加入することは可能です)。
| 非適用となる主な業種 | 具体例 |
| 飲食サービス業 | 飲食店、居酒屋、カフェ |
| 宿泊業 | 旅館、ホテル |
| 生活関連サービス業 | 理容業、美容業、公衆浴場業、洗濯業 |
| 農林水産業 | 農業、漁業など |
| 宗教業 | 神社、寺院、教会など |
【注意】
これまで強制適用事業所とされていなかった個人事業所の「非適用業種」が撤廃され、常時5人以上の従業員を使用するすべての個人事業所が、原則として社会保険の強制適用事業所となります。(2029年10月施行予定)
事業主の加入
個人事業の場合は、強制適用であっても、事業主は社会保険に加入できません。国民年金と国民健康保険のままです。
新規適用届を提出する
強制適用に該当する場合は、健康保険・厚生年金保険新規適用届を、所轄年金事務所または加入する健康保険組合・厚生年金基金に提出します。提出期限は事業を始めてから(強制適用に該当してから)5日以内です。
下記のページは、日本年金機構ホームページの新規適用についてのページです。健康保険・厚生年金保険新規適用届の書式と記載例をダウンロードできます。
任意適用事業所
強制適用事業所に該当しなければ加入する義務はありませんが、あえて社会保険に加入したい場合は、任意適用事業所の認可を受けて健康保険・厚生年金保険の適用事業所となることができます。
労働保険の届け出
労災保険と雇用保険の手続きも忘れてはいけません。





