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経理の事務

株式会社の解散手続き

Last Updated on 2021年7月28日 by

株式会社を解散する手順

株式会社を解散する流れは次のようになります。

自分でやる場合は、ネットで下調べをしてから、最寄りの法務局に行って聞いて手続きすることになります。

株主総会を開いて解散を決議する

株主の同意を取り付ける必要があります。株主が自分一人であれば議事録を作成するだけです。

法務局で解散登記をする

ここでいう登記は、解散登記と清算人の登記です。解散決議から2週間以内にする必要があります。

ここが最も重要なところです。この手続きは司法書士に頼めば代行してくれます。当然料金がかかりますが。費用によっては依頼したいということであれば、料金は事務所のホームページにも掲載されています。ただし、掲載価格は定価のような場合もあるので、電話等で問い合わせた方が良いでしょう。

解散登記および清算人の登記

税務署等に廃止等の届をだす

解散登記をすれば1週間ほどで登記が完了して履歴事項全部証明をもらえるようになります。

この履歴事項全部証明を添付書類として、税務署、都道府県税事務所、年金事務所、労働基準監督署、公共職業安定所での廃止届等を出すことができます。

事業を廃止するときの社会保険の手続き

事業を廃止するときの労働保険の手続き

会社を解散したときの税務手続き

登記の次は解散公告

税務署等への廃止届と同時進行になりますが、登記が終わったら、遅滞なく官報に解散公告を出します。解散から2ヶ月以内です。公告という手段で解散することを債権者等に知らせなければならないのです。

解散公告の出し方

解散確定申告をする

税務署に解散の届を出すと、解散確定申告の申告書用紙を渡されます。この申告書は、原則として解散日から2ヶ月以内に提出しなければなりません。

公告の次は清算開始

清算結了登記を行うには、債権債務関係がゼロになっている必要があります。つまり、資産が残っていたり、負債が残っている状態では清算結了登記を行うことはできません。資産が残っている場合は株主に分配します。負債が残っている場合は、役員からの借入金以外を返済して、役員からの借入金は債権放棄してもらって債権債務関係をゼロにすることが多いようです。

清算結了登記をする

清算手続きが終了したら、法務局で清算結了登記を行うことができます。ここで会社が登記から抹消されます。

清算結了登記

清算結了登記をすれば1週間位で登記の手続きが完了し、清算結了が登記された閉鎖事項証明書をもらうことができます。

清算確定申告をする

清算年度について、清算確定申告書を作成し申告します。

残余財産確定日の属する事業年度の確定申告をする

残余財産確定日の属する事業年度について、「残余財産確定事業年度の確定申告書」を、残余財産確定日から1月以内に提出、及び申告税額の納付をしなければなりません。

清算結了届出書を提出する

解散した会社の清算結了登記が完了した後、国税及び地方税について、異動届出書の「異動事項等」欄に清算結了、「異動年月日」欄に清算結了日及び清算結了登記日を記載して遅滞なく届け出なければなりません。

国税及び地方税の異動届を出すときに閉鎖事項証明書が必要になります。添付する閉鎖事項証明書はコピーで大丈夫です。

休眠会社にする手もある

株式会社を解散するには、コストと手間がかかります。そこで、放置する人も多いようです。いわゆる休眠会社というものです。

しかし、実態は無くなったとしても、法的には会社が存在しているのですから、消えない義務がいろいろあります。

まず、法人税は、

全く活動していなければ、売上も経費もゼロ、利益もゼロです。この場合は、法人税はかかりません。しかし、ゼロという確定申告は毎年しなければなりません。

法人住民税はやっかいです。

休眠会社に対する法人住民税の均等割は、どうも自治体によって扱いが異なるようです。休眠会社であっても課税されるという話しもありますし、「休眠」を届け出ることで課税されないという話しもあります。

休眠中は課税されないが再開するときにはまとめて課税されるという話しもあります。いろいろな情報があるので、所在地の都道府県の税務事務所、および市区町村の税務課に問い合わせるのが安全です。

登記も注意しなければなりません。

株式会社は、一定期間ごとに役員変更の登記手続きが必要です。これも怠ると過料(罰金)の対象になります。

解散を選択する方が良い

結論としては、

休眠中の会社の多くは、税務申告もせず、役員変更登記もせずにほったらかしの状態になることが多いようです。

違反ではあるが、実害はないと言う人が多いですが、再開の見通しが立たないのであれば、しっかりと解散の手続きを行う方が良いでしょう。

費用のことなどで、難しければ、少なくとも法人住民税の均等割りのことだけでも当局に相談しましょう。

資金的に余裕があるのであれば、休眠中の事務について、税理士に依頼すると法的に問題のないやり方で引き受けてくれると思います。経理処理がほとんどないので、料金も格安になるようです。

事業を継続するのであれば、解散手続きから引き続いて、税務署に個人事業の開業届を出します。

個人事業から会社に移行することを「法人成り」と呼びますが、その逆の「個人成り」です。

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