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労働基準法

レイオフと一時帰休は違うのですか?

Last Updated on 2025年8月14日 by

レイオフとは

アメリカのレイオフは、景気悪化や業績不振などを理由に、企業が従業員を一時的に解雇する制度です。再雇用を前提としているのが特徴で、業績が回復すれば再び雇用する可能性があります。しかし、レイオフされた従業員は、再雇用されるまでの間は企業との雇用関係が途切れるため、給与の支払いはありません。

日本の場合

日本には、アメリカのような「レイオフ」の制度はありません。

日本の労働法では、解雇は厳しく規制されており、客観的で合理的な理由がない限り認められません。そのため、アメリカのような再雇用を前提とした一時的な解雇は、通常は難しいとされています。

日本で企業が経営不振などで人員整理を行う場合、「整理解雇」という制度がありますが、これは厳格な4つの要件(人員削減の必要性、解雇回避の努力、人選の合理性、手続きの妥当性)を満たす必要があり、アメリカのレイオフとは性質が異なります。

一時帰休と雇用調整助成金

コロナ禍で企業が従業員を一時的に休業させて、国から「雇用調整助成金」を受け取る制度は、一般的に「一時帰休」と呼ばれました。

  • 一時帰休: 企業が従業員との雇用契約を維持したまま、一時的に休業させる措置です。休業中は企業が労働者に対して「休業手当」(平均賃金の60%以上)を支払う義務があります。
  • 雇用調整助成金: 企業が従業員を休業させて雇用を維持した場合に、国が休業手当の一部を助成する制度です。

つまり、一時帰休は「休業」であり、レイオフのような「解雇」ではありません。雇用関係が継続している点が大きな違いです。

企業は休業手当を支払う必要があるため、雇用調整助成金は企業の経済的負担を軽減し、従業員の雇用を守るための重要な役割を果たしました。


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