変形労働時間制の適用
女性が「妊産婦」(妊娠中の女性および産後1年を経過しない女性)である場合に請求したときは、変形労働時間制の適用に制限があります。
労働基準法に基づき、妊産婦が請求した場合は、使用者は以下の制限を守る必要があります。
- 法定労働時間を超える労働の禁止変形労働時間制(1ヶ月単位、1年単位、1週間単位)が適用されている場合でも、妊産婦からの請求があれば、1週間または1日の法定労働時間(原則として1日8時間、1週40時間)を超えて労働させてはなりません(労働基準法第66条第1項)。
- 時間外労働、休日労働、深夜業の禁止妊産婦が請求した場合は、法定労働時間を超える時間外労働、休日労働、または深夜業(午後10時から午前5時までの労働)をさせてはなりません(労働基準法第66条第2項、第3項)。
ポイント:
- この制限は、女性が妊産婦であること、かつ本人が会社に請求した場合に適用されます。
- 妊産婦からの請求があれば、変形労働時間制の適用自体ができなくなるわけではなく、法定労働時間を超える部分の労働が制限されます。
- 請求は、口頭でも可能であり、全部または一部のみの請求、および変更も可能です。
妊産婦
労働基準法において「妊産婦」とは、「妊娠中の女性」 および 「産後1年を経過しない女性」を指します。
これは、労働基準法に定められている母性保護のための規定(変形労働時間制の制限、時間外労働・休日労働・深夜業の禁止、危険有害業務の就業制限など)の対象となる女性の範囲です。
- 妊娠中の女性(妊婦): 妊娠が判明した時から出産の日まで。
- 産後1年を経過しない女性(産婦): 出産日の翌日から1年間。
したがって、出産後であっても、まだ1年が経過していない女性は「妊産婦」として、労働基準法による特別な保護の対象となります。
管理監督者
労働基準法第41条第2号に規定されている「監督または管理の地位にある者」(いわゆる管理監督者)については、原則として労働時間に関する規定の適用がありません。そのため、管理監督者の地位にある妊産婦からの「変形労働時間制の適用制限」や「時間外労働・休日労働の禁止」の請求は適用されないとされていますが、深夜業の禁止については、管理監督者であっても妊産婦が請求した場合は適用されます。