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労働基準法

寄宿舎設置の留意点

Last Updated on 2023年10月10日 by

寄宿舎とは

寄宿舎とは、学校や会社が学生や労働者を集団で住まわせるために設置した宿泊施設のことです。

事業付属寄宿舎とは

労働基準法第10章(第94条~第96条の3)及び事業附属寄宿舎規程・建設業附属寄宿舎規程によって規制される寄宿舎があります。

典型的なものとしては、山間部での工事などで、工事現場近くに労働者を宿泊させる必要がある場合に設けられる寄宿舎があります。

該当するか否か

使用者が労働者に提供する宿泊施設がすべて労働基準法等で規制されるわけではありません。

寄宿舎という名称を用いていても、「事業経営の必要上その一部として設けられて」いない施設や、一人一部屋を与えられてそれぞれ独立した生活を営む施設は労働基準法上の寄宿舎ではありません。「共同生活の実態」がないからです。

福利厚生施設として設置されている独身寮や社宅などは、ほとんどの場合規制の対象外です。

寄宿舎に該当するかどうかは、おおむね次の事項を考慮して総合的に判断します。

□ 事業場敷地内又はその付近にあるか否か
□ 事業の上で共同生活の必要性があるか否か
□ 個々の生活の独立性が確保されているか否か
□ 宿泊する労働者の人数は相当数いるか否か

判断が難しい場合は、所轄労働基準監督署に相談した方がよいでしょう。

事業場附属寄宿舎であれば

労働基準法等が適用される寄宿舎であれば、運用中はもちろん、設置計画の段階から法令の基準を順守しなければなりません。
事業附属寄宿舎に関する規制

届出等の書式は、厚生労働省ダウンロードコーナーに掲載されています。

寄宿舎生活の自治

使用者は寄宿舎で生活する労働者の私生活の自由を侵してはいけません。(労働基準法第94条)

寄宿舎の役員の選任

使用者は、寄宿舎の役員の選任に干渉してはいけません。(労働基準法第94条2)

寄宿舎規則の作成

寄宿舎規則を作成して、労働基準監督署に届け出ないといけません。(労働基準法第95条)寄宿舎規則を変更した場合も労働基準監督署に届け出ないといけません。

寄宿舎規則のサンプル

過半数代表者の同意

寄宿舎規則を作成、変更するときは、寄宿舎に寄宿する労働者の過半数代表者の同意を得ないといけません。(労働基準法第95条2)

寄宿舎規則の同意書

寄宿舎規則を労働基準監督署に届出する際には、過半数代表者が同意したことを証明する書面を添付しないといけません。(労働基準法第95条3)

寄宿舎規則の遵守義務

使用者も寄宿舎に寄宿する労働者も共に寄宿舎規則を遵守しないといけません。(労働基準法第95条4)

寄宿舎の設備

使用者は寄宿舎の換気、採光、照明、保温、防湿、清潔、避難、定員の収容、就寝等について、労働者の健康や安全のために必要な措置を講じないといけません。(労働基準法第96条)

寄宿舎の計画の届出

労働者数が10人以上の使用者や危険有害な業務を行う使用者が寄宿舎を設置、移転、変更しようとするときは、工事を着手する14日以上前にその計画書を労働基準監督署に届け出ないといけません。(労働基準法第96条の2)

寄宿舎工事の差止め

労働基準監督署は、労働者の安全衛生に問題があると認めたときは、寄宿舎の工事の差止めや計画の変更を命じることができます。(労働基準法第96条の2の2)

寄宿舎の使用停止命令

寄宿舎に安全衛生上の問題があるときは、労働基準監督署は寄宿舎の使用停止や変更を命じることができます。(労働基準法第96条の3)

労働者への命令

労働基準監督署が寄宿舎の使用停止や変更を命じたときに、必要な事項については労働者に命じることができます。(労働基準法第96条の3の2)

事故届等

火災等の事故が発生したとき、および事故による死亡等については、消防署や警察署などの他に労働基準監督署にも報告しなければなりません。

寄宿舎での事故発生報告


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