育児・介護休業法では、育児を行う労働者(男女問わず)が仕事と家庭を両立できるように、労働時間に配慮するための複数の制度を設けるよう、事業主に義務付けています。
主な制度は以下の通りです。
育児のための短時間勤務制度(義務)
- 対象者: 3歳に満たない子を養育する労働者(日雇いを除くなど、一部例外あり)。
- 内容: 労働者が請求した場合、1日の所定労働時間を原則として6時間とする短時間勤務制度を設けなければなりません。
所定外労働の制限(残業の免除)(義務)
- 対象者: 3歳に満たない子を養育する労働者。
- 内容: 労働者が請求した場合、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定労働時間を超えて労働させてはなりません(いわゆる「残業」の免除)。
時間外労働の制限(残業時間の上限設定)(義務)
- 対象者: 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者。
- 内容: 労働者が請求した場合、1ヶ月で24時間、1年で150時間を超えて時間外労働(法定労働時間外の労働)をさせてはなりません。
深夜業の制限(義務)
- 対象者: 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者。
- 内容: 労働者が請求した場合、午後10時から午前5時までの時間帯に労働させてはなりません。
その他の柔軟な働き方の措置(努力義務)
子の養育のために、以下の柔軟な働き方を可能にする措置を講じることが、事業主の努力義務として求められています(子の年齢の上限はありません)。
- フレックスタイム制度
- 始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ(時差出勤)
- テレワーク等の措置
- 育児目的の休暇制度(育児両立支援休暇など)
補足:労働基準法による「育児時間」
育児・介護休業法とは別に、労働基準法では、生後満1年に達しない子を養育する女性労働者が請求した場合に、通常の休憩時間のほかに、1日2回、それぞれ少なくとも30分の育児時間を与えることを義務付けています。