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労働基準法

出勤簿の記載事項と管理上の注意点

Last Updated on 2023年9月27日 by

出勤簿の作成義務

出勤簿は、賃金台帳や労働者名簿とともに法定三帳簿の一つといわれています。ただし、賃金台帳は労働基準法108条、労働者名簿は107条に明記されていますが、労働基準法に出勤簿の文言はありません。

出勤簿は、第109条の「賃金その他労働関係に関する重要な書類」に該当します。

(記録の保存)
第109条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。

そして、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に、「使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること」とあります。この「記録」が「出勤簿」です。

出勤簿とは、出勤日ごとに実際に仕事を始めた時刻と実際に仕事を終えた時刻が明示されていて、1か月の労働時間が集計されたものです。

そして「使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。(ア)使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。(イ)タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。」とあります。

つまり、タイムカード、ICカード等は、記録(出勤簿)の基礎として使うものなので、タイムカード等と出勤簿は別のものということになります。

タイムカードで代用できるか

従業員の労働時間管理をタイムカードだけでやっている会社もありますが。タイムカードだけでは出勤簿の代わりになりません。

出勤簿に求められている「始業・終業時刻」は、単にタイムカードに打刻された時刻ではなく、賃金の支払対象になる実際に働いた労働時間の「始業・終業時刻」だからです。

タイムカードの打刻時間が賃金を払う労働時間と一致しているなら問題ありませんが、たとえば、タイムカードを打刻してから始業のチャイムがなるまでの間、机でぼんやりと始業時間を待っていたり、同僚と雑談していることもあると思います。「タイムカードが出勤簿だ」ということにするのであれば、そうした時間も労働時間にカウントしなければならなくなります。

正確な労働時間をもとに給与計算をするには、タイムカードと作業日報・残業申請書などの実際の労働時間を証明する資料を照合して、実際の労働時間を記録した出勤簿を作成するのが原則的なやり方です。

もし、タイムカードを出勤簿として使いたいのであれば、タイムカードに実際の始業・終業時刻を追加記入する必要があります。

賃金台帳を別途作成するのは手間がかかので、タイムカード等と連動させる勤怠管理システムを利用する会社が多くなっています。

保存期間

出勤簿の保存期間は5年です。また、タイムカード等、時間外勤務の申請書、その他の労働時間を証明できる書類も同様に5年間保存しなければなりません。

なお、賃金台帳を源泉徴収簿と兼ねている会社では、出勤簿やタイムカードなど勤務時間を証明する書類も含めて、確定申告書を提出する期限の翌日から7年間の保存が必要となるといわれています。5年保存の書類もあるので、具体的には専門家にお尋ね下さい。

罰則

出勤簿を調製していなかったり、虚偽の記載をしたような場合には30万円以下の罰金を科せられる可能性があります。


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