Last Updated on 2025年8月3日 by 勝
「三六協定」という言葉、なんとなく聞いたことはあるけれど、詳しくは知らない…。
そう思っている人は多いのではないでしょうか。
「残業させるには三六協定が必要」というフレーズは知っていても、なぜ必要なのか、どんな内容なのか、いざ説明しようと思うと難しいですよね。
この記事では、そんな三六協定について、誰にでもわかるように超やさしく解説します。
そもそも「三六協定」って、何?
まず、「三六協定」とは、労働基準法という法律で定められたルールの一つです。
労働基準法では、原則として労働時間を1日8時間、1週間に40時間までと定めています。これがいわゆる法定労働時間です。
この法定労働時間を超えて従業員に残業や休日労働をさせるためには、会社と従業員の間で特別な約束を交わす必要があります。
その約束事をまとめたものが、「三六協定」です。
「三六協定」の名前の由来は?
「三六協定」という不思議な名前は、労働基準法第36条にその根拠があることから、「36(サブロク)協定」と呼ばれています。
決して「3月6日」に交わす協定、というわけではありません。
三六協定を結ぶための具体的なステップ
三六協定を結ぶには、以下のステップを踏む必要があります。
使用者と労働者代表が協定を結ぶ会社と、労働者の過半数を代表する人(労働組合がある場合はその組合、ない場合は従業員の中から選出された代表者)が、協定の内容について話し合い、合意します。
労働基準監督署に届け出る協定書を作成したら、会社の所在地を管轄する労働基準監督署に提出します。この届け出が受理されて、はじめて協定が有効になります。
これら2つのステップを経ることで、会社は合法的に従業員に時間外労働や休日労働をさせられるようになるのです。
三六協定に定められる「残業時間の上限」とは?
三六協定を結べば、いくらでも残業させられる、というわけではありません。
原則として、以下のように残業時間の上限が定められています。
1ヶ月:45時間
1年間:360時間
この時間には、災害などの臨時的な特別な事情がない限り、必ず従わなければなりません。
「特別条項」って何?
通常予見できないような特別な事情(例:大規模なプロジェクトの納期が迫っている、クレーム対応など)がある場合は、上記の上限時間を超えて労働させることができます。
そのための特別なルールを定めたものが「特別条項付き三六協定」です。
ただし、特別条項を定めても、無制限に残業させられるわけではありません。
時間外労働の上限は、年720時間以内
時間外労働と休日労働の合計は、複数月平均で80時間以内、かつ1ヶ月100時間未満
これらのルールを守る必要があります。
もし会社がこれらの上限を超えて労働させた場合、労働基準法違反となり、罰則の対象になります。
まとめ
「三六協定」とは、法定労働時間を超えて残業や休日出勤をさせるために必要な、会社と従業員の約束事。
労働基準法第36条に根拠があるため「三六協定」と呼ばれる。
会社は、三六協定を締結し、労働基準監督署に届け出なければならない。
残業時間には原則として上限(月45時間、年360時間)がある。
特別条項を結んでも、残業時間にはさらに厳しい上限(年720時間、複数月平均80時間以内など)がある。
三六協定は、労働者の健康を守るための大切なルールです。自分の働き方を守るためにも、ぜひこの内容を覚えておいてください。
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