Last Updated on 2025年8月8日 by 勝
会社の本店移転登記の流れと、電子申請についてご説明します。
会社の本店移転登記の流れ
会社の本店移転登記は、主に以下の流れで進めます。
なお、「住所変更登記」という言葉も耳にするかもしれませんが、これは一般的に、不動産を所有している個人の住所が変わった際に行う手続きなどを指します。会社の本店の移転は「本店移転登記」です。
株主総会・取締役会の決議
会社の定款に記載されている本店所在地が変更になる場合、株主総会の特別決議が必要です。
特別決議とは、議決権を行使できる株主の過半数が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成で行う決議です。
本店所在地は、定款の絶対的記載事項(必ず記載しなければならない事項)となっていますが、ほとんど場合、定款に最小行政区画である市区町村まで記載されています。したがって、例えば、定款に「本店を東京都中央区に置く」と書いてある場合、同じ東京都中央区内に本店を移転するのであれば、定款を変更する必要はないので株主総会を開く必要はありません。
定款の範囲内で、同じ市区町村内で移転する場合は、取締役会設置会社であれば、取締役会での決議で足りる場合もあります。取締役会を設置していない場合は取締役の過半数の一致を証明する書面を提出します。
会社の住所変更に関する決議日(株主総会または取締役会)は、新しい住所に移転する前に行います。
これは、変更の意思決定が先になされるべきだからです。株主総会や取締役会で決議された内容に基づいて、その後の手続きが進められます。
決議議事録を作成し保存します。これは登記の添付書類になります。
登記申請書の作成
法務局のウェブサイトから登記申請書のひな形をダウンロードするか、法務局の窓口で入手します。
会社の商号、本店所在地、役員の情報などを正確に記載します。
収入印紙を貼付します(登録免許税)。
添付書類の準備
変更の内容に応じて、必要な添付書類を準備します。
主な添付書類:
株主総会議事録または取締役会議事録
株主リスト(株主総会で決議した場合)
委任状(司法書士などに代理で申請を依頼する場合)
法務局への申請
会社の所在地を管轄する法務局に、登記申請書と添付書類を提出します。
登記申請は、移転日から2週間以内に行う必要があります。
窓口での申請、郵送による申請、そして電子申請が可能です。
登記完了
法務局での審査が完了すると、登記が完了し、登記事項証明書に新しい住所が反映されます。
申請から完了までには、数日から1週間程度かかります。
法務局への手続きは電子申請でも出来ますか?
はい、法務局への手続きは電子申請でも可能です。
電子申請は、法務局が提供する「登記・供託オンライン申請システム」を利用して行います。
申請には、電子証明書(電子署名)が必要になります。
電子申請は難しいですか?
結論から言うと、初めての方には少し難しく感じるかもしれません。
その理由は、主に以下の点にあります。
専用のソフトウェアが必要: 申請には、法務省が提供する専用のソフトウェアをインストールする必要があります。
電子証明書の取得と設定: 電子証明書を取得し、パソコンに設定する作業が必要です。
操作が複雑: 申請システムの操作が直感的ではなく、マニュアルを読みながら進める必要があります。
専門用語が多い: 登記に関する専門用語が多く、慣れていないと戸惑うことがあります。
これらのハードルがあるため、多くの中小企業では、司法書士に依頼して手続きを代行してもらうケースが多いです。
もし、ご自身で電子申請を行う場合は、法務局のウェブサイトで公開されているマニュアルをよく読み、不明な点があれば法務局に問い合わせることをお勧めします。
また、商業登記電子証明書を利用する際は、発行元である法務局のウェブサイトで、取得方法や利用方法を確認してください。