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OJT教育の効果的な進め方と指導法の教育カリキュラム

Last Updated on 2025年8月11日 by

OJTとは

OJT(on-the-job training)は教育方法の一つです。 一般的には上司や先輩社員が、部下に対し、仕事を通して、仕事に必要なことを教えることです。

難しいことではなく、通常の職場で日常的に当たり前にやっていることでもありますが、OJTは会社の社員研修の一環なので計画的に実施する必要があります。

OJTの方法を会社として統一して、その内容をマニュアルとしてまとめ、冊子にして指導を行う人に携帯させなければなりません。

関連記事:OJT指導員用マニュアル:新入社員の成長を促すために

OJTの問題点

OJTをきちんとやれば、それだけで充分に社員のレベルが上るはずです。ところが、現実にはそうなりません。

新人が配属されても何も教えようとしない上司もいます。また、とんでもない間違ったやり方で指導する上司もいます。

そういう上司にかぎって「あいつらは、どんな教育を受けてきたんだ」とか「なんであんなのを採用したんだろう」と責任転嫁を言いだします。

つまり、部下の指導を上司に任せっきりにするのは危険だということがわかります。OJTは、会社が目標と期間を示して計画的に実施させなければなりません。

OJT実施の手順

OJTを実施するときは、最低限次の3つを決めます。

□ OJT指導員の決定
□ OJTの目標項目
□ OJT期間の決定

これと前述のマニュアルをOJT指導員に示すことで、OJTをスタートできますが、もう少し会社が関与しましょう。

指導員にOJTの計画書を作成させるべきです。計画書を作成することで、指導員がOJTの目的や具体的なステップを整理でき、より体系的で効果的な指導につながるからです。また、新入社員の進捗を記録し、客観的に評価する際の基礎資料にもなります。

OJTの計画書のテンプレート

指導員の負担を減らすためには、簡潔で記入しやすいテンプレートを用意することが重要です。以下の要素を含むテンプレートが効果的です。

1. 基本情報

OJT期間: いつからいつまでOJTを行うか

新入社員名: 指導を受ける側の名前

指導員名: 指導を行う側の名前

2. OJT目標

全体目標: OJT期間終了時に新入社員に習得してほしいこと(例: 一人で簡単な資料作成ができるようになる)

スキル目標: 業務に必要な具体的なスキル(例: Word/Excelの基本操作、電話応対)

マインド目標: 社会人としての心構えや姿勢(例: 報告・連絡・相談の徹底)

3. OJTスケジュール

月別スケジュール: 月ごとに何を重点的に指導するかを記載します。

1ヶ月目: 会社のルール、ビジネスマナー、簡単なOJT

2ヶ月目: 部署内の主要業務、実務を通じたOJT

3ヶ月目: 応用的な業務、独り立ちに向けたOJT

週別スケジュール: 毎週のテーマや目標を設定します。

日別スケジュール: 一日の流れを具体的に記載し、何を教え、何をさせるかを明確にします。

4. 指導内容と評価

指導内容: 指導するタスク(例: 議事録作成、顧客リスト更新)

指導方法: タスクの指導方法(例: 4段階職業指導法、ロールプレイング)

進捗確認: 新入社員の理解度や習熟度を、定期的に確認します。

評価: 指導員の主観的な評価と、新入社員自身による振り返りを記載します。

このテンプレートは、指導員が新入社員の成長プロセスを可視化し、計画的に指導を進めるための羅針盤となります。

OJT指導員に対する研修

OJTで指導させる場合には、その指導する立場の人に対する教育が重要です。OJT指導員養成研修を受講させるようにしましょう。

効果的なOJTには、指導者自身のスキルアップと体系的なアプローチが不可欠です。以下に、新入社員の成長を促すための3つの柱からなる研修カリキュラムを提案します。

1. OJTの目的と役割の理解

研修の冒頭では、OJTの基本的な考え方を共有します。単なる業務指導ではなく、新入社員の成長を支援し、組織の一員として自立させるための重要な役割であることを強調します。

OJTの意義: なぜOJTを行うのか? 企業文化の伝承やエンゲージメント向上など、その多角的な意義を理解します。

指導員の心構え: 新入社員の「伴走者」としての姿勢を学びます。一方的に教えるのではなく、共に考え、成長するパートナーシップを築くことが大切です。

OJTとOff-JTの違い: 研修(Off-JT)との違いを明確にし、現場での実践を通じた学習の重要性を再認識します。

2. 実践的な指導スキル

このセクションでは、具体的な指導手法を習得します。座学だけでなく、ロールプレイングを多用し、実践的なスキルを身につけます。

コーチング: 質問を通じて相手の自発的な思考や行動を引き出す技術を学びます。「どうすればいいと思う?」といった問いかけで、新入社員自身に答えを探させます。

フィードバック: 新入社員の成長を促すためのフィードバック方法を学びます。

承認と改善点: 良かった点(承認)と改善すべき点(改善点)を具体的に伝えます。

“I”メッセージ: 「〜してほしい」ではなく、「私は〜だと良いと思う」のように、主語を「私」にして伝えることで、相手への負担を減らします。

ティーチング: 業務知識や手順を効率的に伝える方法を学びます。

4段階職業指導法: 「やってみせる」→「説明する」→「やらせてみる」→「評価・確認する」のステップを習得します。これは特に、複雑なタスクを教える際に非常に有効です。

メンタリング: 業務外の相談にも応じる、より長期的な支援関係の築き方を学びます。キャリアパスや人間関係など、幅広い視点から新入社員をサポートします。

3. 指導計画の策定と実践

最後に、学んだ知識を具体的な指導計画に落とし込む方法を学びます。

年間・月間計画の立て方: 新入社員のスキルレベルや部署の目標に合わせて、具体的な指導内容と期間を定めます。

日々のコミュニケーション: 新入社員との定期的な面談や、日々の雑談を通じて信頼関係を築く重要性を再確認します。

指導記録のつけ方: 成長の進捗を記録し、客観的な評価や今後の指導方針を検討するための方法を学びます。

このカリキュラムは、新入社員だけでなく、指導員自身の成長にも繋がる内容となっています。それぞれのセクションで具体的な事例やワークショップを取り入れることで、より実践的な研修となるでしょう。


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