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ハラスメント

細かなことに口出しする先輩の言動はパワハラにあたりますか?

Last Updated on 2025年8月22日 by

この春に入社して営業部門に配属されました。10人の小さな課なので、仕事は課長から直接指示され、報告も課長に直接することになっています。課内に3年ほどのキャリアがある先輩が居て、権限が無いはずなのに、課長がいないところであれこれ細かなことに口出しをします。課長の指示と違うことを言われることもあります。とても鬱陶しいのですが、新人なので我慢しています。先日、そのことを社外の友人に愚痴を言ったら、それはパワハラではないかと言われました。思っていませんでしたが、客観的にはどうでしょうか?

先輩が課長と違うことを言ってくると、どう対応していいかわからず戸惑いますよね。それがパワハラかどうか、客観的に考えてみましょう。

パワハラの定義

まず、一般的にパワハラ(パワーハラスメント)は、以下の3つの要素をすべて満たす行為とされています。

  1. 優越的な関係に基づいている: 指示をする側とされる側に、上下関係や影響力の差があること。
  2. 業務の適正な範囲を超えている: 仕事の必要性を超えた行為であること。
  3. 労働者の就業環境が害される: 精神的、身体的な苦痛を与え、仕事をする上で見過ごせない問題が生じること。

あなたの状況を当てはめてみる

ご相談の状況をこれらの定義に当てはめてみると、次のように考えられます。

優越的な関係

この点については、課の先輩という立場なので、あなたに対して優越的な関係があると言えます。

業務の適正な範囲

「権限がないはずなのに細かな口出しをする」「課長の方針と違うことを言う」という点から、先輩の指示が業務の適正な範囲を超えている可能性があります。しかし、先輩として新入社員にアドバイスをするという行為自体は、業務の一環と見なされることもあります。

重要なのは、そのアドバイスが本当に業務を円滑に進めるためのものなのか、それとも個人的な感情や意図によるものなのかという点です。

就業環境が害されている

「とても鬱陶しい」と感じていることから、精神的なストレスを受けている状態です。しかし、これが「見過ごせない問題」にまで達しているかは、判断が難しいところです。

パワハラかどうか

これらの点を総合的に考えると、パワハラに発展するリスクのあるグレーゾーンだと言えます。もっと具体的な言動を分析しなければなりませんが、ご提示いただいた範囲で検討すると、パワハラかどうかの判断は難しいです。

ただし、課長と先輩の間で指示内容に矛盾が生じ、あなたが板挟みになって悩んでいる状況は、健全な職場環境とは言えないので改善しなければなりません。

先輩が良かれと思ってアドバイスをしている可能性もありますが、新人指導という名目で不当な圧力をかけている可能性もあります。

どう対処すべきか

すぐにパワハラだと決めつけるのではなく、まずは冷静に対処することをおすすめします。

  • 先輩と穏やかに話す: 「いつもご指導ありがとうございます。先輩のご意見も参考にさせていただきたいと思いますが、私の上司は課長なので、その件については課長の指示に従いたいと思いますがどうでしょうか?」などと、柔らかめに話して、本心を探ってみましょう。
  • 課長に相談する: 当人と話してもうまく意思疎通ができなければ、課長に相談するべきです。課長に「先輩からこのような指示をいただいたのですが、課長の方針と少し違うように感じますが、どのように進めるのが良いでしょうか?」といった形で、穏やかに確認してみるのが良いでしょう。

それでも状況が改善しない場合は、一人で抱え込まず、会社のパワハラ相談窓口に相談することを検討してください。

いずれにしても、ご自身の気持ちと向き合い、無理のない範囲で行動することが大切です。


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