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パワハラの定義

Last Updated on 2023年9月26日 by

パワハラとは

職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題(パワハラ)に関して定めた改正労働施策総合推進法=労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律が令和2年6月1日に施行されました。

第30条の2 事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること(以下「職場におけるパワーハラスメント」という。)のないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

整理すると、

パワハラとは、

職場において行われる

① 優越的な関係を背景とした言動であって、
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③ 労働者の就業環境が害されるものであり、

①から③までの要素を全て満たすもの。ということになります。

指針

下のリンクは、厚生労働省ホームページに掲載されている「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」ヘのリンクです。

以下、指針に基づいてパワハラの定義を説明します。

優越的な関係を背景とした言動とは

当該言動を受ける労働者が行為者に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるもの。

□ 職務上の地位が上位の者による言動
□ 同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
□ 同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの

業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動とは

社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないもの。

□ 業務上明らかに必要のない言動
□ 業務の目的を大きく逸脱した言動
□ 業務を遂行するための手段として不適当な言動
□ 当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動

就業環境を害することとは

ある言動により、労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること。

この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者の多くが、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうかを基準とすることが適当。

パワハラの代表的な言動の類型

職場におけるパワーハラスメントの状況は多様であるが、代表的な言動の類型ごとに、パワーハラスメントに該当し、又は該当しないと考えられる例としては、次のようなものがある。

ただし、個別の事案の状況等によって判断が異なる場合もあり得ること、また、次の例は限定列挙ではないことに留意が必要。

暴行・傷害(身体的な攻撃)

該当すると考えられる例

□ 殴打、足蹴りを行うこと。
□ 怪我をしかねない物を投げつけること。

該当しないと考えられる例

□ 誤ってぶつかる、物をぶつけてしまう等により怪我をさせること。

脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)

該当すると考えられる例

□ 人格を否定するような発言をすること。(例えば、相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な発言をすることを含む。)
□ 業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと。
□ 他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うこと。
□ 相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等を当該相手を含む複数の労働者宛てに送信すること。

該当しないと考えられる例

□ 遅刻や服装の乱れなど社会的ルールやマナーを欠いた言動・行動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して強く注意をすること。
□ その企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行動を行った労働者に対して、強く注意をすること。

隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)

該当すると考えられる例

□ 自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりすること。
□ 一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させること。

該当しないと考えられる例

□ 新規に採用した労働者を育成するために短期間集中的に個室で研修等の教育を実施すること。
□ 処分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させる前に、個室で必要な研修を受けさせること。

業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)

該当すると考えられる例

□ 長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ずること。
□ 新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責すること。
□ 労働者に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせること。

該当しないと考えられる例

□ 労働者を育成するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せること。
□ 業務の繁忙期に、業務上の必要性から、当該業務の担当者に通常時よりも一定程度多い業務の処理を任せること。

業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)

該当すると考えられる例

□ 管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせること。
□ 気にいらない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えないこと。

該当しないと考えられる例

□ 経営上の理由により、一時的に、能力に見合わない簡易な業務に就かせること。
□ 労働者の能力に応じて、業務内容や業務量を軽減すること。

私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

該当すると考えられる例

□ 労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりすること。
□ 労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること。

該当しないと考えられる例

□ 労働者への配慮を目的として、労働者の家族の状況等についてヒアリングを行うこと。
□ 労働者の了解を得て、当該労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、必要な範囲で人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促すこと。


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