おメールの誤字脱字に気づいたときの対応は、ミスの重要度と相手との関係性によって判断するのが基本です。「ささいなミス」「中程度のミス」「ミスの程度が悪い」に分けて、具体的なアドバイスをいたします。
ささいなミスの場合
例: 変換ミスで意味が取れなくもないもの、送り仮名や助詞の軽い間違いなど
対応のポイント | 具体的なアクション |
原則 | 放っておく |
理由 | 相手にとって手間をかけさせないことを優先します。訂正メールを送ることで、かえって相手の業務を中断させたり、「細かいミスを気にする人」という印象を与えたりする可能性があるためです。 |
ただし | その後のメールや次の機会に「失礼いたしました」と軽く触れる程度は問題ありません。 |
中程度のミス
ビジネスメールにおける「中程度のミス」とは、内容の正確性に関わるが、緊急の訂正や謝罪メールを送るか判断に迷うレベルのものを指します。
「中程度のミス」の例と対応判断
中程度のミスの具体例 | 影響と判断のポイント | 推奨される対応 |
敬語の誤り | 致命的ではないが、相手への敬意に欠ける印象を与える。 | 基本は訂正メールは送らない。 次のメールで丁寧な言葉遣いを心がけ、挽回する。 |
軽微な誤字・脱字 (意味は通じるがプロらしくない) | 「ささいなミス」と「中程度」の境界線。読む相手が「ん?」と一瞬立ち止まる程度の誤り。 | 原則として訂正メールは送らない。 相手の業務を止めないことを優先。今後のチェックを徹底する。 |
句読点や記号のミス (文脈を大きく変えないもの) | 見た目の問題であり、内容の理解に支障はない。 | 放っておく。 |
自社の部署名、担当者名の誤り (相手に直接的な影響はない) | 内部情報だが、正確性に欠ける。 | その後の正確な情報を伝えるタイミングで改めて正確に記載する。 |
【行動指針】迷ったら「手間」と「信頼」を天秤にかける
「中程度のミス」で訂正メールを送るかどうか迷ったときは、以下の2点を天秤にかけて判断してください。
判断結果 | 結論 |
ミスが原因で相手に混乱や誤解が生じる可能性がある場合 | → 訂正メールを送る (信頼の維持を優先) |
ミスがあっても相手の業務に影響がない場合 | → 訂正メールは送らない (相手の手間を考慮) |
多くの場合、意味が通じる範囲の「中程度の誤字・脱字」であれば、訂正メールは送らず、今後のチェックを徹底する方が賢明です。
ミスの程度が悪い
ミスの影響度が高いほど、迅速な対応が必要です。
A. ミスの影響度が高い場合
例:
- 日時、場所、金額、個数などの重要な情報の間違い。
- 相手の会社名、役職、名前の漢字や表記の間違い。(特に社外、目上の方)
- 添付ファイルの間違いや添付漏れ。
- 本文の内容が誤解を招く可能性があるもの。
- 誤変換の程度があまりにも酷い場合
対応のポイント | 具体的なアクション |
迅速な対応 | すぐに「お詫びと訂正」のメールを送る。 |
件名 | 【重要・お詫びと訂正】、または【再送】など、一目で訂正だとわかるようにする。(例:【お詫びと訂正】〇〇に関するご連絡) |
本文 | 1. 謝罪の言葉を述べる。 2. 誤りの内容と正しい内容を明確に記載する。(「誤:〇〇」「正:〇〇」のように対比させると分かりやすい) 3. 今後このようなミスがないよう、再発防止の姿勢を一言添える。 |
電話でのフォロー | 状況次第では、メールの前に電話で一報入れて謝罪と訂正を行い、その後に訂正メールを送るのが最も丁寧です。 |
B. 相手や状況によって判断する
相手との関係性 | 考慮事項 | 推奨される対応 |
社外・目上の方 | 礼儀を重んじ、丁寧な対応が求められます。名前や役職の間違いは特に失礼にあたります。 | 迅速に訂正メールを送る方が無難です。(重要事項でなくても、相手の名前間違いは訂正すべきです。) |
社内・親しい同僚 | 形式的な訂正メールはかえってわずらわしいことも。 | チャット、口頭、電話などで簡潔に「さっきのメール、〇〇が正しかったです、すみません」と伝える。 |
文案
迅速かつ丁寧な対応が必要な場合の「お詫びと訂正メール」の文例を提案します。ここでは、日付のミスを想定しています。
件名:【お詫びと訂正】先日お送りした「〇〇に関するご連絡」について
〇〇株式会社
〇〇様
いつもお世話になっております。株式会社△△の△△でございます。
先ほどお送りしました「〇〇に関するご連絡」メールの本文に、一部誤りがございました。私の確認不足により、ご迷惑をおかけし大変申し訳ございません。
つきましては、下記のように訂正させていただきます。
【誤】
ご提出期限:10月25日(金)
【正】 ご提出期限:10月28日(月)
お忙しいところ、お手数をおかけいたしましたこと、重ねてお詫び申し上げます。
今後は送信前の確認を徹底し、このようなミスがないよう、より一層注意してまいります。誠に恐縮ではございますが、何卒ご容赦いただけますようお願い申し上げます。
引き続き、よろしくお願い申し上げます。
署名
まとめ
- ミスの確認: 何を間違えたか冷静に確認する。
- 重要度の判断:
- 日時・金額・名前などの重要な間違い 即、訂正メール(場合によっては電話も)。
- ひどい誤字 訂正メール
- 軽微な誤字
基本的に放置。
- 訂正メールのポイント: 迅速に、件名を明確に、「誤」と「正」を分かりやすく記載し、謝罪の意を伝える。
焦って訂正メールにまたミスがないように、送信前には必ず再チェックをしましょう。