健康診断結果の報告

安全衛生管理

結果報告のあらまし

常時50人以上の労働者を使用する事業者は、定期健康診断の結果報告を所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。定期健康診断のうち歯科診断については、使用する労働者数にかかわらず労働基準監督署への結果報告が必要です。(定期健康診断結果報告書(様式第6号))

労働安全衛生規則第13条に定められている深夜業などの有害業務に従事する労働者に対して実施する特定業務従事者の健康診断は、常時50人以上の労働者を使用している場合に所轄労働基準監督署長に結果報告が必要です。

特殊健康診断は事業所の労働者数にかかわらず所轄労働基準監督所長への結果報告が必要です。特殊健康診断のうち、じん肺健康管理実施状況報告は、所轄労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長への提出が必要です。

雇入時の健康診断は、所轄労働基準監督署長への報告は必要ありません。

海外派遣労働者の健康診断は所轄労働基準監督署長への報告は必要ありません。

注意事項

労働基準監督署に提出する「健康診断結果」について、特に注意すべき点は「提出義務の有無」「提出期限」「報告書の正確な記載」の3つです。

1. 提出義務の有無と対象事業場

すべての事業場が健康診断結果を提出する必要があるわけではありません。

報告書の名称提出義務の対象となる事業場提出期限
定期健康診断結果報告書常時50人以上の労働者を使用する事業場遅滞なく(実施後1ヶ月以内が目安)
特殊健康診断の結果報告書 (有機溶剤、鉛、特定化学物質など)労働者数にかかわらず、特殊な業務に従事する労働者に実施した事業者遅滞なく
有害な業務に係る歯科健康診断結果報告書労働者数にかかわらず、有害な業務に従事する労働者に実施した事業者遅滞なく
  • ポイント:
    • 一般の定期健康診断の結果は、常時雇用する労働者が50人以上の事業場にのみ提出義務があります。
    • 特殊健康診断(特定有害物質を扱う業務など)の結果は、50人未満の事業場でも提出義務があります。

2. 提出期限と方法

提出期限と提出方法についても注意が必要です。

提出期限は「遅滞なく」

法令上は「遅滞なく」と定められており、明確な期日はありませんが、健康診断実施後1ヶ月以内が実務上の目安とされています。年をまたぐことなく、速やかに提出することが望ましいです。

提出方法の電子申請義務化

特定の報告書(定期健康診断結果報告書など)は、2025年1月1日以降、原則として電子申請(e-Govの利用)が義務化されています。紙での提出が認められなくなるため、電子申請への対応が必要です。

3. 報告書作成時の注意点

報告書(様式第6号など)を記入する際は、特に以下の点に注意してください。

  • 労働保険番号の正確な記載
    • 報告書上部に記載する労働保険番号(14桁)は、雇用保険の番号と間違えやすいため、年度更新申告書などで確認し、正確に記入しましょう。
  • 「常時使用する労働者数」のカウント
    • パート・アルバイトでも、正社員の所定労働時間の概ね4分の3以上働き、常時雇用されていると見なされる場合は、人数に含める必要があります。
  • 「有所見者数」の正確な集計
    • 「所見のあった者の人数」は、各検査項目の有所見者数の合計ではありません。複数の項目に異常があっても、その労働者1人としてカウントします。
    • 医師から「要再検査」の指示が出た人数(再検査で異常が判明していない者)は、この「有所見者」には含めません。

4. 提出後の対応(事後措置)に関する注意

健康診断結果の報告は提出で終わりではありません。以下の事後措置が法律上の義務です。

  • 従業員への結果通知
    • 健康診断の結果は、遅滞なく本人に通知しなければなりません。
  • 医師の意見聴取と就業上の措置
    • 診断結果に異常の所見があった労働者については、産業医などの医師の意見を聴き、必要に応じて就業場所の変更作業の転換労働時間の短縮などの措置を講じる義務があります(安全配慮義務の一環)。
  • 健康診断個人票の作成と保存
    • 健康診断の結果をまとめた「健康診断個人票」を作成し、5年間(特殊健診は5年~40年)保存する義務があります。