Last Updated on 2024年11月1日 by 勝
特殊健康診断とは
特殊健康診断とは、一定の有害な業務に従事する労働者等を対象として実施する健康診断です。労働安全衛生法第66条第2項、第3項、じん肺法第3条に定められている健康診断です。
特殊健康診断の結果によって、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮などの措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は改善などの適切な措置を講じなければなりません。
また、記録を作成し、5年間若しくは30年間保存する必要があります。
特殊健康診断を行う業務
労働安全衛生法で特殊健康診断を実施しなければならないとされている業務は、次の通りです。
1.高気圧業務
高圧室内業務または潜水業務に従事する労働者に対して、雇入れの際或いは当該業務への配置換えの際6ヶ月以内1回健康診断を実施しなければなりません。
2.放射線業務
放射線業務に従事する労働者に対しては雇入れの際、当該業務への配置替えの際およびその後6月以内ごとに1回定期に、健康診断を実施しなければなりません。
3.特定化学物質業務
特定化学物質を取り扱う労働者に対しては雇入れの際、当該業務へ配置替えの際および6月以内ごとに1回定期に実施しなければなりません。また過去に特定化学物質を取り扱ったことのある労働者についても6月以内ごとに同様に健康診断を実施しなければなりません。
4.石綿業務
粉じん作業に従事または従事した労働者に対しては、①就業時②定期③定期外④離職時に、健康診断をしなければなりません。
5.鉛業務
鉛業務に従事する労働者に対して、雇入れの際或いは配置換えの際6ヶ月以内1回健康診断を実施しなければなりません。
6.四アルキル鉛業務
四アルキル鉛等業務に従事する労働者に対しては雇入れの際、当該業務への配置替えの際およびその3月以内ごとに1回定期に、健康診断を実施しなければなりません。
7.有機溶剤業務
有機溶剤業務に従事する労働者に対して、雇入れの際或いは配置換えの際6ヶ月以内1回健康診断を実施しなければなりません。
以上のうち、一定の特定化学物質業務や石綿業務などについては、それらの業務に従事しなくなった場合でも実施しなければなりません。
指導勧奨による特殊健康診断
指導勧奨による特殊健康診断とは、労働安全衛生法により定められた特殊健康診断とは別に、行政からの通達により指導勧奨されている特種健康診断のことです。
これは6ヶ月に1回とされています。
1.紫外線、赤外線にさらされる業務
2.強烈な騒音を発する場所における業務
3.マンガン化合物(塩基性酸化マンガンに限る。)を取り扱う業務、またはそのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
4.黄りんを取り扱う業務、またはりんの化合物のガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
5.有機りん剤を取り扱う業務またはそのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
6.亜硫酸ガスを発散する場所における業務
7.二硫化炭素を取り扱う業務またはそのガスを発散する場所における業務(有機溶剤業務に係るものを除く。)
8.ベンゼンのニトロアミド化合物を取り扱う業務またはそれらのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
9.脂肪族の塩化または臭化化合物(有機溶剤として法規に規定されているものを除く。)を取り扱う業務またはそれらのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
10.砒素またはその化合物(三酸化砒素を除く。)を取り扱う業務またはそのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
11.フェニル水銀化合物を取り扱う業務またはそのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
12.アルキル水銀化合物(アルキル基がメチル基またはエチル基であるものを除く。)を取り扱う業務またはそのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
13.クロルナフタリンを取り扱う業務またはそのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
14.よう素を取り扱う業務またはそのガス、蒸気もしくは粉じんを発散する場所における業務
15.米杉、ネズコ、リョウブまたはラワンの粉じん等を発散する場所における業務
16.超音波溶着機を取り扱う業務
17.メチレンジフェニルイソシアネート(M.D.I)を取り扱う業務またはこのガスもしくは蒸気を発散する場所における業務
18.フェザーミル等飼肥料製造工程における業務
19.クロルプロマジン等フェノチアジン系薬剤を取り扱う業務
20.キーパンチャーの業務
21.都市ガス配管工事業務(一酸化炭素中毒)
22.地下駐車場における業務(排気ガス)
23.チェンソー使用による身体に著しい振動を与える業務
24.チェンソー以外の振動工具(さく岩機、チッピングハンマー、スインググラインダー等)の取り扱い業務
25.重量物取り扱い業務
26.金銭登録の業務
27.引金付工具を取り扱う業務
28.肢体不自由児施設、特別養護老人ホーム等重症心身障害児者の入所施設における介護業務
29.VDT作業
30.レーザー機器を取り扱う業務またはレーザー光線にさらされるおそれのある業務
結果報告
特殊健康診断を実施したときは実施後遅延なく結果報告書を労働基準監督署に提出しなければなりません。
健康診断結果報告書の様式は厚生労働省ホームページの「各種健康診断結果報告書」のページに掲載されています。
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