交際費はどこまで損金算入できる?知らないと損する税務上のルール

Last Updated on 2025年9月6日 by

交際費とは

交際費等とは、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待等のために支出する費用をいいます。

直接に飲食に要した費用だけでなく、関連する費用、例えば会場に行くために利用したタクシー代も税務上は交際費となります。

交際費の損金算入

交際費は原則として損金不算入、つまり損金として処理できませんが、現状は以下のようになっています。

企業規模による違い

原則として、交際費は経費(損金)にできません。しかし、会社の規模によって、経費として認められる範囲が異なります。

資本金1億円以下の中小企業:年間800万円まで経費にできる。または、飲食費の50を経費にできる(どちらか有利な方を選べる)。

資本金100億円を超える大企業:原則として全額経費にできない。

その他の会社:飲食費の50%までを経費にできる。

要するに、交際費は全額を経費にできるわけではなく、会社の規模によって経費として認められる上限が違うということです。

金額による除外

1人当たり10,000円以下の飲食費は、一定の要件の下で税務上の交際費から除外されます。(専らその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)

1人当たり10,000円以下の飲食費を交際費から除外するためには、領収書等で、次の事項を明かにすることが必要です。

  • 飲食等の年月日
  • 飲食等に参加した得意先、仕入先など事業に関係ある者の氏名または名称及びその関係
  • その飲食に参加したものの数
  • その費用の金額並びに店名とその住所
  • その他参考となるべき事項

実務的には、領収書の他に、この支出に関する報告書を作成させそれを保存すればよいでしょう。もし、飲食の参加者の氏名を明かせない場合は、この除外を適用させることはできません。

その他、交際費にならないもの

以下の費用は、会社が負担しても交際費にならず、全額損金処理できます。

  • 従業員のための費用: 運動会や社員旅行など、従業員への慰安を目的とした費用。通常要する費用
  • 宣伝目的の物品: カレンダー、手帳、うちわなどを贈答する場合の費用。通常要する費用。
  • 会議費: 会議で出すお茶やお弁当代。通常要する費用。

これらには、「通常要する費用」という条件が付いています。

通常要する費用とは

会議に関連する費用の場合

「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用」とありますが、この「通常要する費用」はどのように解釈すればよいのでしょうか。世間並みという意味だと思うのですが、勝手に解釈しても否認されそうで怖いのですが。

これは、実務で悩むことが多いポイントです。

税法上の「通常要する費用」という表現は、常識的な範囲・社会通念上妥当と認められる程度の金額を指しています。つまり、会社が恣意的に高額な接待や飲食を「会議費」と称して経費処理することを防ぐための制約です。

解釈のポイント:

  • 社会通念基準
    世間一般で「会議中に出すお茶や弁当」として妥当と考えられる程度。たとえば、茶菓やお弁当、軽食などです。
  • 税務上の取扱い
    会議費とされるためには「会議に通常要する費用」として相当である必要があります。実務では1人あたり5,000円以下の飲食費であれば「交際費等」には該当させず、会議費として処理することが多いです。
  • ただし、「会議の実態」が必要です。議事録や会議出席者名簿を残しておくと、会議費としての妥当性が強まります。

少額の贈答品の場合

「カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用」の場合の「通常要する費用」はどうでしょうか。

今度は「物品贈与」の場面ですね。

「カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用」は、いわゆる少額の記念品・販促用グッズを指しています。

こちらも「会議費」の場合と同じで、社会通念上、一般的に妥当とされる程度の金額を指します。要は「贈答目的の高額品」を経費として認めないための縛りです。

解釈のポイント:

  • 実務では、「一人あたり3,000円以下の物品の贈与」を目安にしていることが多いです。
  • ただし、「カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品」と例示されているので、3,000円以下だったら何でも良いというものではありません。あくまでも「少額の記念品」程度と考えるべきでしょう。

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