Last Updated on 2025年9月18日 by 勝
経理課とは
経理課は、会社のお金の流れを管理する部署です。企業活動におけるお金の出入りを記録、計算、報告することで、会社の財政状態を明確にし、健全な経営を支える重要な役割を担っています。
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主な業務内容
日常の経理業務
- 入出金管理: 銀行口座の管理や、現金での支払いや受け取りを正確に記録します。
- 伝票処理: 会社のすべての取引(購入、販売など)を伝票に記入し、記録します。
- 経費精算: 従業員の立て替えた交通費や出張費などをチェックし、精算を行います。
固定資産管理と棚卸資産管理
- 固定資産管理:会社が長期わたって使用する有形・無形の資産を管理する業務です。
- 棚卸資産管理:販売目的で保有する商品や製品、仕掛品、原材料などを管理する業務です。
月次・年次の決算業務
- 月次決算: 会社が1ヶ月でどれだけ儲かったか、または損失を出したかを計算し、経営者に報告します。
- 年次決算: 1年間の会社の財政状況をまとめた財務諸表(貸借対照表、損益計算書など)を作成します。これらの書類は、税金の計算や株主への報告に必要です。
税務関連業務
- 税金計算と申告: 法人税や消費税など、会社が支払うべき税金を計算し、税務署に申告・納税します。
- 税務調査対応: 税務署から調査が入った際に、経理書類を提示し、説明を行います。
経理課の仕事の重要性
経理課の仕事は、単なる計算業務ではありません。会社のお金の状況を正確に把握することで、経営者が将来の投資や事業拡大といった重要な経営判断を下すための基礎データを提供します。また、法律や税法に則った適切な処理を行うことで、会社のコンプライアンス(法令遵守)を保つ役割も担っています。
経理の日常業務
経理課の日常業務は、会社の「お金の流れ」を日々正確に記録・管理するための地道な作業であり、主に以下の項目に細分化できます。
入出金管理
会社の銀行口座や現金の動きを管理する業務です。売上金の入金や仕入れ代金の支払い、経費の精算など、日々発生するお金の動きを預金通帳や現金出納帳に正確に記録します。これにより、会社の現金残高や預金残高を常に把握し、計画的な資金運用が可能になります。また、帳簿上の残高と実際の残高が一致しているかを確認する「照合作業」も重要な仕事です。
伝票処理
会社のすべての取引を伝票という書面に記録する業務です。例えば、商品を購入すれば「仕入伝票」、商品を販売すれば「売上伝票」を作成します。これらの伝票には、取引日、取引先、金額、取引内容などが詳細に記載されており、この伝票の情報が、後の帳簿への記帳や決算業務の基礎となります。すべての取引を漏れなく、かつ正確に伝票に起こすことが、会社の会計の透明性を保つ上で不可欠です。
経費精算
従業員が業務で立て替えた費用(交通費、出張費、消耗品費など)を精算する業務です。従業員から提出された経費精算書や領収書をチェックし、会社の規定に沿っているか、金額に間違いがないかなどを確認します。問題がなければ、指定された期日に従業員へ精算金を支払います。この業務は、会社の費用を正確に把握するだけでなく、従業員の立て替え負担を解消し、スムーズな業務遂行を支える役割も担っています。
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月次・年次の決算業務
経理課の決算業務は、会社の財務状況を一定期間ごとに明確にするための重要なプロセスで、月次と年次の2つに大きく分かれます。これらは、会社の成績表を作成するようなものです。
月次決算
月次決算は、毎月、会社の経営状況を迅速に把握するために行われます。主な目的は、その月の売上、費用、利益を確定させることです。これにより、経営者は日々の業務が計画通りに進んでいるか、どこに問題があるかを早期に発見し、次の経営判断に活かせます。具体的には、その月に発生した未払金や未収入金などの調整を行い、月次損益計算書を作成します。これは、四半期や年次の決算よりも簡潔で、よりスピーディな対応を可能にします。
年次決算
年次決算は、会社の1年間の活動を総括する、より大がかりな業務です。このプロセスでは、1年間のすべての取引を正確に集計し、財務諸表という正式な書類を作成します。主要な財務諸表は以下の通りです。
- 損益計算書(P/L): 1年間の売上から費用を差し引き、会社の儲け(利益または損失)を示します。
- 貸借対照表(B/S): 決算日時点の会社の財政状態、つまり資産(現金、建物など)、負債(借金など)、純資産(資本金など)を示します。
- キャッシュフロー計算書(C/F): 会社の現金の動きを営業、投資、財務の3つの活動に分けて示します。
これらの財務諸表は、株主や金融機関、税務署など、社外のステークホルダーに会社の状況を正確に報告するために不可欠です。また、税金の計算や申告の基礎データにもなります。
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固定資産管理と棚卸資産管理
固定資産管理と棚卸資産管理は、どちらも会社の資産を管理する重要な業務ですが、対象となる資産の種類と目的が異なります。
固定資産管理
固定資産管理は、会社が長期にわたって使用する有形・無形の資産を管理する業務です。具体的には、土地、建物、機械設備、車両、ソフトウェアなどが該当します。これらの資産は高額で、一度購入すると何年も会社に存在するため、取得から除却(売却や廃棄)までのライフサイクル全体を追跡する必要があります。主な業務には、取得価額や減価償却費の計算、固定資産台帳への記載、実際の資産と台帳の照合などがあります。適切な管理は、会社の財産を正確に把握し、正しい減価償却費を計上することで、税務申告を適正に行う上で不可欠です。
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棚卸資産管理
棚卸資産管理は、販売目的で保有する商品や製品、仕掛品、原材料などを管理する業務です。これらの資産は、販売されることで現金に変わる流動的なものであり、会社の利益に直結します。主な業務は、在庫の数量や品質のチェック、在庫評価額の計算、そして実地棚卸です。実地棚卸とは、実際に倉庫や店舗にある在庫を数え、帳簿の数量と一致しているかを確認する作業です。在庫管理を適切に行うことで、過剰在庫による保管コストの増加を防いだり、在庫不足による販売機会の損失を回避したりすることができます。
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税務関連業務
経理課の税務関連業務は、会社が法律に則って正しく税金を計算し、納税するための重要な仕事です。この業務は主に以下の項目に細分化できます。
法人税等の計算と申告
会社の利益に対して課される法人税や、事業規模に応じてかかる法人事業税、法人住民税といった国税・地方税を計算し、申告書を作成する業務です。年次決算で確定した損益計算書をもとに、税務上のルールに沿って税額を計算します。これらの申告書は、税務署や地方自治体に期日までに提出する必要があります。会社の利益を正しく計算し、適切な納税を行うことで、企業のコンプライアンス(法令遵守)を守る上で不可欠な業務です。
消費税の計算と申告
商品やサービスの販売時に受け取った消費税と、仕入れや経費で支払った消費税を集計し、その差額を計算して納税する業務です。消費税には原則課税方式や簡易課税方式などがあり、会社の状況に応じて最も適切な方法を選択し、税額を算出します。この計算も年次決算に合わせて行われることが多く、申告書を作成し税務署に提出します。
税務調査対応
税務署から税務調査の連絡があった際に、調査官の質問に対応し、必要な会計帳簿や関連書類を提示・説明する業務です。経理課が日々の取引を正確に記録し、適切に税務申告を行っていることを証明する場となります。調査官から指摘があれば、その内容を精査し、必要に応じて修正申告を行います。日常の経理業務をいかに正確に行っているかが問われる、非常に重要な業務です。
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