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初心者向け!減価償却費の計算と償却資産申告書の作成ガイド

Last Updated on 2025年8月10日 by

「減価償却費の計算」と「償却資産申告書」…言葉を聞くだけで難しそうと感じる方も多いかもしれません。ですが、これらは会社の財産を正しく管理し、税金を納める上で非常に重要な手続きです。

この記事では、固定資産管理の初心者向けに、減価償却の計算方法から、償却資産申告書の作成までをわかりやすく解説します。

1. 減価償却計算の基本

減価償却とは、固定資産の取得費用を、利用できる期間(耐用年数)にわたって少しずつ費用として計上していく会計上の手続きです。

計算に必要な3つの要素

取得価額: 固定資産を購入した金額(付随費用を含む)。

耐用年数: 固定資産の種類ごとに法律で定められた使用可能期間。国税庁のウェブサイトで確認できます。

償却方法: 減価償却費を計算する方法。主に「定額法」と「定率法」があります。

定額法:毎年同じ金額を償却する方法

定額法は、毎年同じ金額を費用として計上していく、シンプルでわかりやすい方法です。

計算式: 取得価額×定額法の償却率

例: 取得価額100万円、耐用年数5年のパソコンの場合(償却率0.200)

1年目の償却費: 100万円×0.200=20万円

2年目の償却費: 100万円×0.200=20万円

…5年間、毎年20万円を費用として計上します。

定率法:初年度に多くの金額を償却する方法

定率法は、初年度に最も多くの金額を償却し、年数が経つにつれて償却額が減少していく方法です。

計算式: (取得価額−期首簿価)×定率法の償却率

例: 取得価額100万円、耐用年数5年のパソコンの場合(償却率0.400)

1年目の償却費: 100万円×0.400=40万円

2年目の償却費: (100万円−40万円)×0.400=24万円

3年目の償却費: (60万円−24万円)×0.400=14.4万円

…というように計算します。

2. 償却資産申告書とは?

償却資産申告書とは、会社が所有する事業用の固定資産(土地・家屋を除く)を、毎年1月1日時点の状況で市区町村に申告するための書類です。この申告に基づいて、「固定資産税(償却資産)」が課税されます。

申告の対象となる資産

会社が事業で使用しているパソコンや机、エアコン、看板

製造用の機械装置、建設機械

営業用の車両(自動車税の対象外のもの)

3. 減価償却計算から申告書作成までの流れ

1.固定資産台帳の整備: まず、会社が保有するすべての償却資産をリストアップした固定資産台帳を作成します。取得価額、取得日、耐用年数、償却方法などを正確に記録します。

2.減価償却費の計算: 固定資産台帳の情報に基づき、個々の資産についてその年度の減価償却費を計算します。

3.期末簿価の算出: 取得価額から、これまでの償却費の累計額を差し引いて、期末時点の帳簿上の資産価値(簿価)を算出します。

4.申告書の作成: 計算した期末簿価をもとに、償却資産申告書を作成します。

5.申告期限: 申告書の提出期限は、原則として毎年1月31日です。

4. 償却資産申告書の書き方

申告書は、主に「償却資産申告書(償却資産課税台帳)」と「種類別明細書」の2つの書類で構成されます。

償却資産申告書(償却資産課税台帳): 会社の基本情報や、償却資産全体の合計額などを記入する書類です。

種類別明細書: 資産の種類(構築物、機械装置など)ごとに、取得年や取得価額、減少資産などを詳細に記入します。

まとめ:正確な計算と申告が大切

減価償却費の計算は、会社の財務状況を正しく把握するために欠かせません。また、その計算結果をもとに、償却資産申告書を正確に作成・提出することで、固定資産税の納税義務を適切に果たすことができます。

これらの作業は、固定資産管理のソフトやクラウドサービスを使うと、より効率的に、正確に行いことができます。

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