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領収書の書き方

Last Updated on 2023年2月26日 by

領収書とは

領収書とは、商品やサービスを提供して代金を受領したときに、確実に代金を受け取ったことを証明するために発行する文書です。

民法第486条は、「弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる。」と定めています。受取証書とは領収書のことです。代金を支払った者は領収書の発行を請求できるのが原則です。

印紙税法では、金銭または有価証券の受取書と言います。金銭を支払ったという事実を証明するための証憑書類です。

レシートも、領収日付、売上代金に係る金額、発行元、受領した事実が認められる表記があるものは領収書として取り扱われます。

領収書の記載事項

あて名

あて名に記載するのは支払った側の企業名などです。支払者の氏名または企業名を正式名称で記載します。

例えば、(株)と省略せずに株式会社と記入し、前株(会社名の前にある株式会社)と後株(会社名の後ろにある株式会社)にも注意しましょう。税務上の書類ですから正確さが大事ですが、それだけでなく名前を間違えるのはお客様に対して大変失礼です。

顧客の指示であっても偽りのあて名を書いてはいけません。

あて名を「上様」と書くことについては、あて名が入っていないレシートも領収書として認められていることから問題ないという解釈もありますが、消費税法の仕入税額控除に係る帳簿の記載方法を援用して宛名がない領収書は無効であると解釈されているので、税務調査で領収書として認められない可能性があります。

領収日付

代金を受け取った日付を年月日で記入します。

省略せず「令和3年」「2021年」など、年号や西暦のすべての桁まで正確に記入しましょう。

売上代金に係る金額

受け取った金額を正確に書きましょう。空欄で良いと言われても空欄で出してはいけません。とんでもないトラブルに巻き込まれることがあります。

3桁ごとに桁区切りの「,」を入れます。改ざん防止のために、数字の頭には「¥」や「金」、末尾には「-」や「也」を入れましょう。

税抜き金額と消費税額は内訳欄に記載します。

発行元

自店、自社の社名を記載します。住所、連絡先(電話番号)を記載します。

社名または店名が書いてあれば代表者名は必須ではありません。

社印が押されていなければ無効ということではありませんが一般的には社印を押します。印刷所に発注した領収書では社印をあらかじめ赤字で印刷しておくことが多いです。担当者印は押印欄があれば必ず押します。

ただし書き

ただし書きには、提供した商品やサービスの内容を記載します。通常は一品一品書く必要はありませんが、「飲食代として」「書籍代として」など、どのような商品やサービスを提供したのか分かるように書きます。

「お品物代」や「お品代」ではどのような商品やサービスが提供されたのか分からないので不適切です。

品目別の記載が必要であれば、明細が分かる書類を添付して、ただし書きには「別紙明細の通り」と記載します。

収入印紙

受け取ったのが売上代金の場合、金額が50,000円以上になると印紙税の課税対象となり、領収書には金額に見合った収入印紙の貼り付けが必要となります。50,000円以上100万円以下は200円などと、金額によって印紙税法に定められています。国税庁のウェブサイトに掲載されています。

領収書の再発行

失くしたなどの理由で再発行を求められても、支払い側に再発行の義務はありません。

二重発行した領収書を不正使用される可能性も考えられ、実際に悪用されれば、善意で発行しても共犯とされるおそれがあります。

よって、基本的には断れば良いのですが、顧客との関係性や要求の強さによっては、再発行に応じなければならないケースがあるかもしれません。

どうしても再発行に応じなければならない場合には、同じ内容の領収書を発行して「再発行」と記入します。

再発行の場合でも、金額が5万円以上だと収入印紙と割印が必要です。

クレジットカード決済の場合

クレジットカード決済の場合は、直接代金のやりとりが発生しません。つまり、店側は顧客から直接支払いを受けていないため、領収書を発行する義務がありません。

クレジットカード払いのときに店からの領、顧客は同じ商品サービスの提供に対して、店とクレジットカード会社の両方に支払ったことになってしまいます。

これも前述した再発行と同様に、どうしても領収書発行に応じなければならない場合には、「クレジットカード決済」と記載した領収書を発行しましょう。

クレジットカード払いときに領収書を発行するときは収入印紙を貼る必要はありません。クレジットカード払いの際の領収書は、現金取引の領収書と違い、印紙税の課税対象である「金銭または有価証券の受取書」にあたらないからです。ただし、領収書中に「クレジットカードを利用した」ことを明記する必要があります。この記載がないと「金銭または有価証券の受取書」に該当し、収入印紙の貼り付けが必要となります。

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