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初心者でもわかる!固定資産管理の基本

Last Updated on 2025年8月10日 by

「固定資産管理」と聞くと、なんだか難しそう、専門的な知識が必要そう、と感じる方も多いかもしれません。ですが、実は事業を続ける上でとても大切な業務の一つです。この記事では、固定資産管理の基本を、初心者の方にもわかりやすく解説します。

そもそも「固定資産」ってなに?

固定資産とは、会社が長期にわたって保有し、事業のために使う資産のことです。

たとえば、

建物(オフィス、工場、倉庫)
土地
機械装置(製造用機械、建設機械)
車両運搬具(営業車、トラック)
工具器具備品(パソコン、机、エアコン)

これらは、日々の営業活動で消費される商品や現金(流動資産)とは異なり、すぐに現金化するものではなく、会社の基盤を支えるものです。

なぜ固定資産管理が必要なの?

「買ったものを記録しておけばいいんじゃない?」と思うかもしれませんが、固定資産管理には主に3つの重要な目的があります。

1.正確な財務諸表の作成:会社の財産状況を正確に把握し、貸借対照表(バランスシート)に正しく記載するためです。

2.減価償却費の計算:固定資産は時間が経つにつれて価値が減っていきます。この価値の減少分を「減価償却費」として費用計上することで、正しい利益を計算できます。

3.資産の所在・状態の把握:どこに、どんな固定資産があるのか、現状はどうなっているのかを管理することで、無駄な購入を防ぎ、紛失や盗難のリスクを減らします。

特に、減価償却費の計算は固定資産管理の核となる部分です。

「減価償却」ってなに?

たとえば、会社が120万円の機械を購入したとしましょう。この120万円を、購入した年の費用として全額計上してしまうと、その年の利益が大きく減ってしまいます。しかし、この機械は数年以上にわたって使うものです。

そこで、「減価償却」という考え方を使います。

「120万円の機械を4年間使う」と仮定した場合、毎年30万円ずつ費用として計上していく、という方法です。

1年目:30万円を費用に
2年目:30万円を費用に
3年目:30万円を費用に
4年目:30万円を費用に

このように、固定資産の取得費用を、使用する期間にわたって少しずつ費用に振り分けていく手続きが「減価償却」です。(分かりやすくするために定額式で説明しましたが、実際はほとんど定率式で計算します。)

この減価償却費を正確に計算するには、いつ、いくらで、どんな資産を購入したのかを正確に把握しておく必要があります。

減価償却計算をもとに、償却資産申告書を作成して、市区町村に申告して償却資産税を納付します。

関連記事:初心者向け!減価償却費の計算と償却資産申告書の作成ガイド

固定資産管理、何から始めればいい?

まずは、手元にある固定資産をリストアップすることから始めましょう。

1.資産の洗い出し:帳簿上の固定資産と、実際に会社にある固定資産が一致しているかを確認します。

2.台帳の作成:固定資産台帳を作成し、取得日、取得価格、耐用年数、減価償却の方法などを記録します。

3.減価償却計算:台帳の情報を元に、毎年の減価償却費を計算します。

4.現物管理:資産に管理番号をつけたり、所在を定期的に確認したりして、紛失や盗難を防ぎます。

これらの作業は、Excelなどの表計算ソフトでもできますが、固定資産管理専用のソフトやクラウドサービスを使うと、より効率的に、正確に行うことができます。

関連記事:これで解決!固定資産管理を楽にするクラウドシステム

まとめ

固定資産管理は、会社の財産を正確に把握し、健全な経営を続けるための大切な業務です。会社の財産をきちんと管理することで、無駄な出費をなくし、将来にわたって安定した経営基盤を築くことができます。


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