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経理の事務

小口現金の管理

Last Updated on 2023年7月9日 by

小口現金とは

小口現金とは、日常的に発生する経費の支払いに備えて手元におく少額の現金のことです。

管理のポイント

取り扱い者を限定する

小口現金を扱えるのは経理責任者から指名された小口現金担当者だけとします。

小口現金担当者は、工場・支店・営業所などにおいては経理部門以外の者を指名することもあります。その場合、日常業務は直属の上司の指揮監督下にあるとしても、小口現金に関する事項は本社経理部門から直接指揮監督される仕組みにします。

事業所の規模にもよりますが、小口現金担当者が一名だけのところも多いと思われます。多少不便でも小口現金担当者が不在のときは小口現金の払い出しはできないことを徹底する必要があります。緊急な必要が生じたときは本社の経理部の指示を仰ぐようにしておきます。

保管場所

小口現金は小型のキャッシュボックスなどで管理します。

必要なとき以外は机の引き出しに入れるようにします。また、外出や退勤の際は鍵のかかるところに保管するようにします。どこにどのように保管するかは担当者任せにしないで、経理部門から直接指示する必要があります。

帳簿類

小口現金の受払は小口現金出納帳に記載します。小口現金出納帳は毎日締め切って写しを本社経理に送付します。

領収証書等はスクラップブックに貼り付けるなどして保管します。

支払

小口現金を払い出すときは領収証書との引き換えが原則です。

補充

小口現金は、必要最小限の額で運用する必要があります。これまでの出納記録から必要な金額を見積もり、限度額を経理責任者が決定します。

小口現金の額は通常は数万円程度です。職場の事情によっては少し多くなることもあります。一定の限度額を決めて、限度を超える場合は都度経理責任者の決裁を必要とするなど厳格な上限管理がポイントです。

残高確認

小口現金担当者は、毎日一定の時間に手元の現金を数えて小口現金出納帳の残高と照合して間違いがないか確認します。

規程

経理規程

第◯条 経理部長は、日々の現金支払いにあてるために小口現金を置くことができる。
2 小口現金の出納責任者、小口現金の限度額、その他小口現金について必要な事項は経理部長が定める。
3 小口現金の出納責任者は小口現金の受払についての帳簿を調整し、小口現金の残高を毎日実地に調査して帳簿残高と照合しなければならない。

小口現金マニュアル

第1条
本マニュアルは、経理規程第◯条の規定に基づいて当社における小口現金の取扱いを正確かつ円滑に行うために必要な事項を定めたものである。

第2条
小口現金とは、経理部長が業務上必要と認める少額経費の支払のために小口現金担当者に前渡しする現金をいう。

第3条
経理部長は小口現金担当者を指名する。経理課長は小口現金担当者の事務を監督する。

第4条
小口現金の限度額は経理部長が決定する。

第5条
小口現金は前条の限度額を超えて保管してはならない。やむを得ない事情により限度額を超過する必要があるときは、経理部長の事前承認が必要である。

第6条
小口現金は慎重に取り扱うとともに安全な方法により保管しなければならない。

第7条
小口現金による支払を行うときは、相手方が発行する領収証書を受領しなければならない。やむを得ない事情により正規の領収証書を受領できないときは、受領者が発行する受領書によることができるが、事後速やかに正規の領収証書と交換しなければならない。

2 小口現金により「仮払金」の出納を行う場合は、別に定める仮払申請の手続を経なければならない。

第8条
小口現金担当者は、小口現金の受払を発生の都度所定の「小口現金出納帳」に記帳し、支払に関する証憑を適切に保管し、毎日一定の時間に小口現金の現在高と帳簿残高との照合しなければならない。

2 小口現金担当者は、毎日一定の時間に小口現金出納帳と支払に関する証憑のコピーを経理課長に提出しなければならない。

3 小口現金の現在高と帳簿残高が一致しないときは直ちに経理課長に連絡してその指示のもとに原因の究明をしなければならない。

第9条
小口現金担当者は、必要に応じて小口現金補充を経理課長に申請し、小口現金の補充を行うものとする。

小口現金の廃止

社内に置く現金は盗難や不正のもとになるので、なるべく少なくしなければなりません。

小口現金についても、漫然と継続するのでなく、どうしても必要なのか、なにか代替手段はないのか、定期的に検討する必要があります。

代替手段としては、多少手数料がかかっても振込払にする、一定の従業員に法人カードをもたせる、などの方法があります。


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