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棚卸資産の評価方法

Last Updated on 2023年7月9日 by

種類

棚卸によって在庫の数を数えたら、その資産の価格を計算しなければなりません。その方法には「低価法」と「原価法」があり、原価法はさらに複数の評価方法が税務上認められていますが代表的ものは ①先入先出法 ②移動平均法 ③総平均法 ④最終仕入原価法 です。

特定の棚卸評価方法を適用したいときは、事前に管轄の税務署へ届け出なければなりません。普通法人の場合は、設立第1期の確定申告書の提出期限まで(もっと早い届け出を要する場合もあります)に「棚卸資産の評価方法の届出書」を提出します。

この届出をしない場合には、自動的に「最終仕入原価法」によることになります。途中変更も可能ですが、初回適用から3年以上経過していること、合理的変更であることなどが求められるので簡単ではありません。

低価法

低価法とは、「原価法のいずれか1つの方法で評価した価額」と期末時点の「時価」のうち、いずれか低い方の価額で棚卸資産を評価する方法です。

低価法は、商品の価格変動がタイムリーに反映されます。上場企業では低価法によることになっています。

原価法

代表的な原価法を説明します。

先入先出法

通常は、先に仕入れた商品から先に販売(出庫)します。これを「先入先出法」といいます。「さきいれさきだしほう」と読みます。この場合、古いものから出ていくので、在庫として残るのは最も新しい商品です。

実務上の扱いとも一致しています。同じ商品であれば古いものから販売したいのが自然です。特に有効期限や消費期限のある薬品や食品などは、最新のものから先に出庫していけば、期限切れが大量に発生してしまいます。

移動平均法

移動平均法とは、棚卸資産を仕入れる都度、これまでの平均価額と合わせて計算する方法です。計算が面倒ですが、業務システムを使えば難なく利用できます。

総平均法

総平均法とは、「期首棚卸資産の取得価額+期中に取得した棚卸資産の取得価額の総額」を総数量で割った単価によって棚卸資産を評価する方法です。簡便法の一つですが、期末にならないと単価が確定しないというデメリットがあります。

最終仕入原価法

最終仕入原価法とは、期末に最も近い仕入時の金額を単価として評価する方法です。計算が簡単なので中小企業ではよく用いられる方法です。

以上ですが、現在は用いられなくなった後入先出法についても説明しておきます。

後入先出法

後入先出法は、棚卸資産の払出単価の計算方法のひとつで「あといれさきだしほう」と読みます。LIFO と表記することもあります。Last In First Out です。

後から仕入れた商品が優先的に出庫され、先に仕入れた商品は在庫として残るということにして払い出し単価が決定されます。

「棚卸資産の評価に関する会計基準」の改正により、「後入先出法」は平成22年4月1日以降に開始する事業年度から廃止されました。

後入先出法には「市場価格に左右されない」というメリットがありますが、そのことは「市場価格を反映していない」というデメリットがあると認識されるようになったからです。


税法の評価方法を適切に選択するためには、税務専門家や公認会計士に相談しましょう。

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