カテゴリー
経理の事務

印紙税のあらまし

Last Updated on 2021年7月28日 by

印紙税とは

印紙税は、国税の一つで、一定の文書に課税する税金です。契約書や領収書など、印紙税法で定められた一定の課税文書に課税されます。例えば、5万円のお買い上げをしたお客に発行する領収書には、200円の収入印紙を貼って、消印をしなくてはなりません。

この場合、「領収書」と記載された文書でなくても、レシートも対象になるし、納品書に「代金受領」「収受」などと記載しただけのものでも「金銭又は有価証券の受取書」として印紙が必要になります。

印紙税は、商品の売り買いや利益に課せられる税金とは別に、領収書という「文書」を発行したことに対する税金です。したがって、お客が領収書は要らないということであれば、領収書を発行しないので、印紙税はかかりません。

契約書のように同じ内容の文書を2通以上作成したときは、それぞれの文書に対して印紙を貼らなくてはなりません。

上記は国税庁の印紙税についてのページです。下の方に「印紙税額一覧表」へのリンクがあります。

印紙税の納税

印紙を文書に貼って消印を押した時点で納税したことになります。一般的には、印紙を購入した時点で「租税公課」という科目で経費処理し、期末で印紙が残っている場合は、経費から戻す処理をします。

税金を納めるというと、税務署や銀行の窓口で納付するのが一般的ですが、印紙税の場合は、印紙を貼って消印したときに税金を納付したことになります。

消費税の金額が区分記載されている場合

消費税の金額が、「消費税額等が区分記載されているとき」、または「税込価格及び税抜価格が記載されている」ことにより消費税額が明らかとなっている場合には、「建物売買契約書」などの第1号文書、「工事請負契約書」などの第2号文書、「領収書」などの第17号文書について、その消費税額等の金額は記載金額に含めなくてもよいとされています。

つまり、総額表示で領収書に記載したとしても、領収書に「うち消費税〇〇円」、または「税抜き金額〇〇円」と付記すれば、消費税抜きの金額を領収金額として印紙税の額を計算できます。

金額の大きな文書では、少しのところで大きな違いが出てきます。

消印とは

印紙を貼るだけでなく。消印が必要です。消印とは、貼り付けた印紙に、印を押すことです。通常は発行者の印鑑を押します。これによってその印紙が再利用されないようにするのです。

消印は、印紙が使用済みになったということを示すだけなので、契約書など二人以上の人が共同して作る文書にはそのうちの一人が消印するだけで差しつかえありません。

関連記事:消印は印紙や切手の再使用を防ぐための押印

印紙を貼っていない文書

もし、課税文書に印紙が貼っていなかったとしても、文書の効力には問題がありません。印紙が貼っていない領収書が無効だということはありません。ただし、課税文書の発行者が脱税したことになりますから、判明したときに、遡って過怠税などが徴収されることになります。

印紙税のかかる文書の作成者が、印紙税を納めなかったときは、知識が無かったり、うっかり忘れた場合であっても、納めなかった印紙税の額の3倍(収入印紙をはっていないことを自主的に申し出たときは 1.1倍)の過怠税が課税されます。また、文書にはり付けた収入印紙に消印をしなかったときは、その消印しなかった収入印紙の金額と同額の過怠税が課税されます。なお、過怠税は、法人税の損金や所得税の必要経費に算入することはできません。

印紙を貼り間違えた場合

印紙税のかからない文書に収入印紙を貼ってしまったり、定められた金額以上の収入印紙を貼ってしまったときには、その文書を税務署に持参し書類を出せば、戻してもらうことができます。ただし、契約書を作成したあとにその契約が解除された場合や、いったん客先に渡した領収書など、その書類が後に不要になったとしても、作成時点で有効だったものは還付の対象になりません。

印紙の交換

未使用の収入印紙は、郵便局で他の額面の収入印紙と交換することができます。交換の際には手数料がかかります。郵便局で収入印紙を現金に交換することはできません。

会社事務入門経理の基礎知識>このページ