熱中症対策を強化しなければならない

安全衛生管理

熱中症対策をする義務があります

先生: 田中社長、本日は先般お話しておりました、職場における熱中症対策の強化についてご説明させていただきます。

田中社長: ああ、山田先生。昨年の猛暑は本当に堪えましたからね。うちの従業員も何人か体調を崩しかけて何度も心配していました。

先生: はい。近年、なぜか暑さが厳しくなっていることもあって、労働者の健康を守るための対策がより一層重要になっています。実は、来年2025年4月に安全衛生規則が改正されて、6月1日から施行されることになっています。

田中社長: そうなんですね。具体的にどのような点が変更になるんでしょうか?

先生: それについては、この資料でご説明します。

屋外作業の温熱条件について

屋外作業の温熱条件について、労働者の安全と健康を守るための規則が定められています。

特に、熱中症の危険性から、屋外作業における温熱条件への対策は義務化が強化されています。

屋外作業の温熱条件については、「熱中症の予防」という形で具体的な対策が定められています。

労働安全衛生規則による義務

2025年6月1日施行の改正労働安全衛生規則により、以下の特定の条件を満たす作業において、事業者に具体的な措置が義務化され、違反時には罰則の対象となります。

項目基準(以下の両方を満たす作業)
環境条件暑さ指数(WBGT値)が28℃以上、または気温が31℃以上の場所
時間条件上記の環境下で、継続して1時間以上、または1日の合計で4時間を超えて行われることが見込まれる作業

この条件に該当する場合、事業者は以下の措置を講じることが義務となります。

  • 作業環境管理の強化: WBGT値の測定と結果の掲示、直射日光を遮るための日陰(簡易な屋根など)の確保
  • 作業管理の徹底: 休憩時間・場所の確保、水分・塩分補給のための環境整備、作業時間・作業強度の短縮
  • 健康管理体制の整備: 熱中症の自覚症状や兆候を発見した場合の報告体制の整備と周知(誰に、どのような手段で報告するかなど)。

快適職場指針における屋外作業の位置づけ(努力目標)

快適職場指針でも、屋外作業の温熱条件に言及しています。

  • 指針の記載: 「屋外作業場については、夏季及び冬季における外気温等の影響を緩和するための措置を講ずることが望ましいこと。」

これはあくまで努力目標であり、具体的な数値基準はありませんが、屋外作業における暑さ・寒さの影響を緩和することが、快適な職場づくりにおいて望ましい配慮であるとしています。例えば、夏場のミストファンや冬場の暖を取る休憩場所の設置などがこれにあたります。