労働基準監督署の調査(臨検監督)で、安全衛生管理に関してチェックされるポイントは非常に多岐にわたりますが、「管理体制の整備」「健康管理の実施」「現場の安全対策」の3つの柱で調べられることが一般的です。
安全衛生管理で調べられる主な項目
労働基準監督署は、会社が「労働安全衛生法」を守っているかを以下の視点で確認します。
安全衛生管理体制(組織づくり)
- 選任状況: 産業医、衛生管理者、安全管理者が適切に選定され、労基署に届出がされているか。
- 委員会の開催: 「衛生委員会」や「安全委員会」が月1回以上開催され、議事録が保管されているか。
- 推進者の配置: 50人未満の事業場でも、安全衛生推進者(または衛生推進者)が選任されているか。
健康管理の実施
- 健康診断: 1年以内ごとに1回(夜勤等がある場合は6ヶ月に1回)、定期健康診断を全対象者に実施しているか。
- 事後措置: 異常所見があった者に対し、医師の意見聴取を行い、必要に応じて就業制限などの措置をとっているか。
- ストレスチェック: 50人以上の事業場で、年1回の実施と労基署への報告がされているか。
- 面接指導: 長時間労働者に対し、医師による面接指導を行っているか。
現場の安全対策(主に製造・建設・物流など)
- 機械の点検: クレーンやフォークリフト、プレス機などの「特定自主検査」や定期点検がされているか。
- 資格・教育: 危険な業務(溶接、クレーン運転など)に無資格者が就いていないか。雇入れ時の安全衛生教育が記録されているか。
- 保護具: ヘルメットや安全帯(フルハーネス)、防塵マスクなどが適切に備えられ、使用されているか。
- 就業制限と特別教育:危険有害業務の中には、一定の有資格者又は技能講習修了者以外の従事が禁止されている就業制限業務と、法律で定められた特別教育が必要な業務があります。
是正勧告を受けるのはどんな場合か?
「是正勧告」とは、法律違反が見つかった際に「期限までに改善しなさい」という行政指導です。以下のようなケースでよく出されます。
| 違反のタイプ | 具体的な是正勧告の事例 |
| 体制の不備 | 「産業医を選任していない」「衛生委員会を開いていない」 |
| 健康管理の怠慢 | 「未受診者が放置されている」「診断結果を労基署に報告していない」 |
| 現場の危険放置 | 「機械の安全装置を外して使用している」「通路に荷物が山積みで避難できない」 |
| 過重労働 | 「36協定の上限を超えて働かせ、医師の面接も受けさせていない」 |
| 労災かくし | 「労働災害が起きたのに、労働者死傷病報告を提出しなかった」 |
注意点: 調査でいきなり罰金になることは稀ですが、是正勧告を無視したり、重大な事故につながる危険を放置したり、虚偽の報告をしたりすると、書類送検(刑事罰)の対象になる可能性があります。
調査時に準備しておくべき書類
事前に調査通知があったときは以下の書類を整理しておきましょう。
- 健康診断結果報告書(労基署の受付印がある控え)
- 健康診断個人票(直近数年分)
- 産業医・衛生管理者の選任届(控え)
- 衛生委員会・安全委員会の議事録
- ストレスチェックの実施結果報告書
- 労働者名簿および賃金台帳(労働時間の確認とセットで見られます)




