Last Updated on 2024年11月1日 by 勝
記録と保存の義務
労働安全衛生法第66条の3 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第六十六条第一項から第四項まで及び第五項ただし書並びに前条の規定による健康診断の結果を記録しておかなければならない。
「第六十六条第一項から第四項まで」というのは、定期健康診断、有害業務健康診断、歯科医師による健康診断、当道府県労働局長の指示による臨時の健康診断です。「第五項ただし書き」というのは、労働者の希望する医師等による健康診断です。「前条の規定」というのは、自発的健康診断です。
さらに、労働安全衛生規則51条では、雇入時の健康診断、定期健康診断、特定業務従事者の健康診断、海外派遣労働者の健康診断、給食従業員の検便、歯科医師による健康診断、当道府県労働局長の指示による臨時の健康診断、労働者の希望する医師等による健康診断、自発的健康診断について、健康診断個人票(様式第五号)を作成して、5年間保存しなければならないと定めています。
様式5号
様式第5号にある項目が記載されていれば、厚生労働省が示した書式と違っていても構いません。
個票でなく、一覧表形式のものでも認められます。ただし、一覧表の場合「医師の意見」欄がないことがあるので注意してください。
健診機関が発行する健康診断個人票はほとんどの場合様式5号の要件を満たしていますが、まれに様式5号を満たしていない健康診断個人票を発行されることがあります。健康診断の依頼時に確認しておきましょう。
医師の意見の欄
労働安全衛生法で健診の都度、健診結果に基づき就業の可否
判断を仰ぐことが事業者の義務となっています。これを「医師の意見聴取」といいます。
医師は就業可否の判定結果を健康診断個人票の「医師の意見」欄に記載し、署名又は押印することになっています。つまり、ここに記載をもらうことが健康診断の大きな実施目的なので、事業主にとって重要な記載事項です。(異常なしの所見が望ましいのですが、そうでない場合は、就業上の措置について医師の意見をもらって、就業上の措置について検討しなければなりません。)
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また、「押印又は署名」という定めがあるので書類の電子化に馴染みません。電子データにする場合は、別途押印された書類の保存が必要だと解されています。
長期保管が必要な健康診断個人票
特殊健康診断のなかには長期間の保存義務期間を指定されているものがあるので注意が必要です。
じん肺管理区分に応じた健康診断の健康診断個人票は、エックス線フィルムとともに7年間保存する必要があります。
特定化学物質健康診断の健康診断個人票は、原則5年間保存ですが、一定の物質については30年間保存です。
電離放射線健康診断の健康診断個人票は、30年間保存する必要があります。
石綿健康診断の健康診断個人票は、40年間保存する必要があります。
労働基準監督署への報告
従業員数が50人以上の場合は、健康診断実施の都度労働基準監督署への報告が必要です。
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