Last Updated on 2024年11月1日 by 勝
就業禁止に該当するとき
感染症法による「感染症」は、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症及び新感染症が指定されています。
うち、一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症は、就業制限に該当します。
感染症法にもとづいて、都道府県知事から就業制限の通知を受けた場合は、国や地方公共団体の命令によって就業が制限されることになるので、「使用者の責に帰すべき事由による休業」(労基法26条)には該当しないため、賃金等を支払う必要はありません。
この分類は随時追加や修正が加えられているのでご注意ください。
就業禁止に該当しないとき
休業を命じたときの休業手当の扱い
例えば、ノロウイルス(感染性胃腸炎)や季節性インフルエンザは「五類感染症」に分類されるので感染症法では就業禁止の対象ではありません。
しかし、感染症法による就業禁止に該当しなくても、体調が悪ければ十分な労務提供ができませんし、仕事によっては危険なこともあるでしょう。また、他の労働者への感染の恐れもあります。このような場合は、労働者が就業を希望しても、会社が労務提供の受領を拒否することは可能と考えられています。
ただし、
法令等によらず、会社の判断で休みを命じた場合には、休業手当の支払義務が発生します。
予防的な措置として休業させた場合
本人が罹患していなくても家族が感染したことで就業を禁止した場合は、会社の指示による休業なので、休業手当の支払い義務が発生します。
本人等が罹患していなくても国等からの「自粛要請」などによって労働者を休ませた場合は、判断の主体はあくまでも会社なので、休業手当の対象になると考える意見が多いようです。
自主的に休んだときの扱い
従業員が自主的に休めば、一般的には有給休暇の残りがあれば有給休暇として処理されます。
命じられて休めば会社指示により休業手当の支払、もしくは特別休暇になり、自主的に休めば自分の有給休暇を消化しなければならないのは不公平です。このため、インフルエンザで休む場合は、会社の指示の有無にかかわらず、年次有給休暇とは別に、有休の「特別休暇」を与えるケースが増えています。
医師の診断を受けて休業している場合は健康保険の傷病手当金の対象になる場合があります。
関連記事:傷病手当金の手続き
感染経路が職場にあることが特定されるのであれば、労災保険の給付対象になることがあります。
関連記事:労災保険の給付
厚生労働省ホームページ内の「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」のページに詳細情報があります。↓↓↓
就業規則への規定
会社の判断で就業を禁止する場合について検討しておきましょう。通常のインフルエンザにかかった労働者を休ませるためには、事前に就業規則に規定しておくことが求められます。
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