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傷病手当金の手続き

Last Updated on 2024年3月28日 by

傷病手当金とは

傷病手当金とは、健康保険の被保険者が病気やケガのために会社を休んで、給与の一部または全部が支給されないときに支給される手当金です。

支給額

金額は、よく給与の3分の2と言われますが、協会けんぽの場合は以下の計算式で求められます。

支給開始日以前の継続した12か月間の標準報酬月額 ÷ 30日 × 3分の2

給与や手当が支払われている場合は、支給額から差し引かれ、支給額以上の給与や手当が支払われているときは、その間、不支給となります。

標準報酬月額とは、従業員の月々の給与を1~50の等級に分けてあてはめたものです。例えば、月額給与(手当込み)が25万円から27万円までの人の標準報酬月額は26万円です。社会保険(厚生年金保険料・健康保険料)では実際の給料ではなく、標準報酬月額で計算します。標準報酬月額が給料明細書に記載されていない場合があります。知りたい場合は給与担当者に聞けばすぐに分かります。

支給期間

仕事ができず休業している期間が4日以上あるときに支給されます。最初の連続3日間は傷病手当金は支給されません。

最初の3日間は「連続」していなければなりません。例えば、2日目にいったん出社すれば、3日目から改めて連続3日をカウントします。4日目からは連続した休みである必要はありません。

なお、最初の3日間は有給休暇や休日、祝日に該当する日であっても対象としてカウントされます。

傷病手当金の支給期間は、支給開始日から通算して1年6か月までです。途中で給与を受け取ったなどの理由で傷病手当金が支給されない期間があれば、その期間は1年6か月の期間に含まれません。

言いかえれば、傷病手当金の支給開始日から、同一の病気やケガにより会社を休んだ日数の合計が1年6ヶ月に達するまで、傷病手当金を受給することができます。暦日の1年6ヶ月ではないのでご注意ください(以前は暦日でした)。

傷病手当金の手続き

基本的には従業員が自ら申請する手続きですが、申請書に会社記入欄もあることから、会社が手続きをサポートするのが一般的です。

従業員から病気やケガで休むという連絡を受けたときは次の点を確認します。

□ その傷病は仕事に関係あるか
仕事に関係があれば労災の可能性があります。労災であれば傷病手当金の手続きはできません。

□ 何日休む予定か
4日以上であれば傷病手当金の支給を受けることができることを伝えます。待機期間の3日間、あるいはそれ以降に有給休暇を使用するかも確認します。

申請手続きの流れ

協会けんぽまたは健康保険組合のホームページから「傷病手当金申請書」の用紙を入手します。

本人が「被保険者本人記入欄」に記入します。

医師に「療養担当者が意見を記入する欄」の記入を依頼します。

会社が「事業主が証明する欄」に記入します。

すべての事項を記入したら、「申請書」を協会けんぽまたは健康保険組合に提出します。

添付書類として、賃金台帳の写し、出勤簿又はタイムカードの写しなどが必要です。添付書類は状況によって異なります。問い合わせるか、協会けんぽや所属する健康保険組合のホームページでの確認が必要です。

提出は通常は郵送で行います。

1か月以内の復帰が見込める場合は復帰後に申請するのが一般的です。1か月以上になるときは、給与締め日ごとに申請することもあります。

支給について

申請されれば必ず支給されるわけではありません。審査があります。申請してから支給決定までに通常1~2か月かかるようです。

支給決定があれば従業員の自宅に通知書が届き、支給決定から1週間くらいで従業員の銀行口座に傷病手当金が振り込まれます。

従業員から思っていたより少ないと言われることがあります。多くの場合は支給対象の認識違いによるものです。医師が労務不能と認定した期間に出勤した場合。逆に、医師が労務不能と認定しない日に、本人が大事をとって仕事を欠勤した場合などは傷病手当金の支給対象期間になりません。本人が申し出た申請期間にこうした期間が入っていることがあります。

退職後の継続給付

傷病手当金は条件が適合すれば退職して被保険者でなくなってからも支給される場合があります。

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