メンタルヘルスケアの「3つのステップ」と「4つのメンタルヘルスケア」の関係を解説

Last Updated on 2025年9月14日 by

メンタルヘルスケアの「3つのステップ」と「4つのメンタルヘルスケア」は、どちらも企業における取り組みを体系化するための考え方ですが、異なる切り口で構成されています。両者は対立するものではなく、お互いを補完し合う関係にあると理解するのが適切です。

簡単に言えば、「3つのステップ」は時間軸(フェーズ)に沿ったアプローチを示し、「4つのメンタルヘルスケア」は誰がケアを担うかという主体に焦点を当てたアプローチです。

3つのステップ:時間軸に沿ったフェーズ

これは、メンタルヘルス不調の「予防」から「回復」までの流れを、時間的な順序で整理したものです。

  1. 一次予防(予防): メンタルヘルス不調を未然に防ぐための取り組み。
  2. 二次予防(早期発見と対応): 不調を早く見つけ、適切な対応を行うための取り組み。
  3. 三次予防(職場復帰と再発防止): 休職後の職場復帰を支援し、再発を防ぐための取り組み。

この考え方は、企業がメンタルヘルスケアの施策を立案・実施する際の、ロードマップとして機能します。

4つのメンタルヘルスケア:ケアの担い手

これは、メンタルヘルスケアの役割を、ケアを担う主体(誰がやるか)ごとに分類したものです。

  1. セルフケア: 従業員自身が行うケア。(ストレスチェックやリフレッシュ)
  2. ラインケア: 管理監督者(上司)が部下に対して行うケア。(日常的な声かけや相談対応)
  3. 事業場内産業保健スタッフ等によるケア: 産業医、保健師、カウンセラーなど、社内の専門家が行うケア。(面談や専門的な助言)
  4. 事業場外資源によるケア: 医療機関やEAP(従業員支援プログラム)など、社外の専門家が行うケア。(専門治療やカウンセリング)

この考え方は、企業におけるメンタルヘルスケアの役割分担と連携体制を明確にするのに役立ちます。

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両者の関連性:どのように結びつくか

両者は以下のように密接に関わっています。

  • 一次予防(予防)は、主にセルフケアラインケアによって推進されます。
    • 従業員が自分でストレスに気づき(セルフケア)、上司が日頃から職場環境に気を配る(ラインケア)ことで、不調が未然に防がれます。
  • 二次予防(早期発見と対応)は、ラインケア事業場内産業保健スタッフ等によるケアが中心となります。
    • 上司が部下の不調に気づき(ラインケア)、専門家である産業医などに相談(事業場内ケア)することで、早期対応が可能になります。
  • 三次予防(職場復帰と再発防止)は、事業場内ケア事業場外ケア、そしてラインケアが連携して行われます。
    • 休職中の治療は外部の医療機関(事業場外ケア)が担い、復帰の判断や復職支援は産業医(事業場内ケア)が中心となり、復帰後のサポートは上司(ラインケア)が担います。

このように、「3つのステップ」という時間的な流れの中で、それぞれの段階を「4つのケア」の各主体が役割分担して実行していく、と考えると全体像がより明確になります。


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