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36協定特別条項の注意点

Last Updated on 2020年6月26日 by

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36協定の特別条項とは

法定労働時間を超えて働かせることは原則として禁止されています。例えば、一日の法定労働時間は8時間ですから、8時間を1分でも超えて働かせれば労働基準法違反になります。

法定労働時間

やむを得ないによって法定労働時間を超えて働かせなければならない事情がある場合は、労使協定(36協定)を結ぶことによって、法定労働時間を超えて働かせることができます。ただし、延長できる時間が指針で示されており、1週間につき15時間、1ヶ月につき45時間、1年につき360時間などと上限が示されています。

時間外労働の手続き

通常の36協定の基準を上回る協定を結ぶことも認められています。これが、「特別条項」付き36協定といわれるものです。

普通の36協定より長い時間働かせる仕組みなので、乱用してはいけないことになっています。「特別の事情」「臨時的なもの」に限られます。

「特別の事情」は、通常の時間外労働をさせる必要のある具体的事由よりも、限定的である必要があります。

例えば、「システムのトラブル」、「ボーナス商戦」、「納期のひっ迫」、「クレーム対応」、「機材のトラブル」などです。

「業務上やむを得ないとき」、「業務繁忙なとき」、「使用者が必要と認めるとき」などのような漠然とした表現は認められません。

「臨時的なもの」とは全体として年の半分を超えないことが見込まれるものです。

時間外労働の上限規制

臨時的特別な事情がある場合でも、年間の(法定休日労働を含まない)時間外労働は年720時間以内、単月の(法定休日労働を含んだ)時間外労働は100時間未満までにしなければなりません。

100時間未満には、時間外労働のほか、休日労働時間も含まれることに注意が必要です。(法の定める原則である、1ヶ月45時間、1年360時間の方は休日労働時間を含まずにカウントします。)

改正後の特別条項について重要な点をまとめると、以下の通りになります。

1.特別条項によっても、時間外労働時間は年720時間(この部分は休日労働を含みません)を上回ることができない。
2.特例の適用(時間外労働が月45時間を超える)は、年6回を上限とする。
3.いずれの月も、休日労働を含んで100時間未満に抑える。
4.2か月、3か月、4か月、5か月、6か月の平均で、いずれにおいても、休日労働を含んで80時間以内に抑える。

個々の労働者ごとに、上記枠内の条件をすべて満たす時間管理をしなければなりません。特に4の「平均で80時間以内」の部分は「今月はどれくらいできるか」を計算する必要がでてきます。過去の時間外労働及び休日労働の時間数を把握したうえで当該月の時間外労働(休日含む)の許容時間を算出し、当人ならびに管理職に伝えて超えないように限度時間を守らせなければなりません。

大企業は2019年4月1日施行、中小企業については、2020年4月1日の施行となります。

中小企業の定義

なお、施行日前(3月31日以前)を含む期間を定めた36協定については、協定の初日から1年間は従前の法令が適用されます。

特別条項の記載例

一定期間についての延長時間は、1か月45時間、1年360時間とする。
ただし、通常の生産量を大幅に超える受注が集中し、特に納期がひっ迫したときは、労使の協議を経て、6回を限度として1か月60時間まで延長することができ、1年450時間まで延長することができる。
なお、延長時間が1か月45時間を超えた場合又は1年360時間を超えた場合の割増賃金率は35%とする。

上記のように、具体的な理由、労使協議等の手続きに関する事項、限度時間を超えることができる回数の限度(1か月単位で運用している場合は6回が上限。3か月単位で運用している場合は年2回が上限)等を定めます。

割増賃金率については、できるだけ法定割増率を超えることが求められています(割増賃金率は、1日を超え3か月以内の期間、1年、についてそれぞれ定める必要があります)。

通知と協議

特別条項付の36協定を締結しても、実際に特別条項を適用するには、「労使当事者間において定める手続きを」をとることが必要です。具体的には、「通知」による方法と、「協議」による方法があります。

協議書の記載例

「協議」は当然に事前にする必要がありますが、「通知」による場合でも、事前に通知しなければなりません。実質的にはほとんど同じでなので、ここでは協議による場合の文書例を示します。

特別延長に係る協議書

令和〇年〇月〇日

(労働者代表)殿

〇〇株式会社人事部長〇〇〇印

時間外労働に関する協定(特別条項)に基づき以下のとおり協議する。

対象労働者
〇月〇日時点の時間外労働時間数
特別条項に基づく事由
特別条項適用回数

上記の協議事項については了承する。

なお、下記事項について要請する。
1.特別延長時間を抑制するために人員配置について見直しをすること
2.特別条項適用者のうち希望者に対して面接指導を実施すること

令和〇年〇月〇日

労働者代表 〇〇〇印

※1 「〇月〇日時点の時間外労働時間数」については、基本協定の労働時間を超えそうになった時点の時間外労働時間数です。実務的には一定の日を決めて、定期的に点検する必要があります。
※2 「要請事項」についてはあくまでも例です。

期間の定めをする

協定に定める一定期間とは「1日を超え3ヶ月以内の期間及び1年間」をいい、例えば「1日と1ヶ月と1年」、「1日と3ヶ月と1年」の延長時間を定めます。

ほとんどの会社は、1ヶ月の上限時間を定めていますが、3ヶ月の上限時間を定めている会社もあります。

これは3ヶ月の上限時間を120時間と決めておくと、45時間を超える月があったとしても、それが特別に忙しいときに限られるのであれば、翌月と翌々月を合わせた3ヶ月では120時間以内に収まり、上限時間を超えていないため、特別条項を適用する必要がないという利点があるからです。

3ヶ月の上限時間を定めた場合は、特別条項を定める場合も1ヶ月で定めることはできず、3ヶ月で定めなければなりません。

上限規制の猶予

一部の業種については、上述の時間外労働の上限規制に猶予期間や適用除外規定が設けられています。

上限規制の導入を猶予される事業等