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時間外労働の手続き

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時間外労働は原則禁止

労働基準法は、労働時間は1日8時間、1週40時間を超えてはいけない、かつ休日を週1回以上与えなければならないと定めています。

しかし、現場の実情は、杓子定規では運営できない場合もあることから、次の場合には、例外的に、時間外と休日の勤務を認められることになっています。

①災害その他避けることのできない事由があるとして労働基準監督署長が許可した場合

災害時の時間外労働

②公務のために必要がある場合
③労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出た場合

36協定について

一般的には、時間外労働や休日労働をさせる場合には、上記の③を使います。

(時間外及び休日の労働)
労働基準法第36条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。

e-Gov法令検索 2020/08/28

この労使協定を36協定と言います。この協定は、時間外労働をさせる前に締結しなければなりません。

36協定を結ばないで時間外労働をさせると、たとえ残業手当を支払っていても、労働基準法違反となり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金という重い罰則があります。

また、10人以上から作成義務が生じる就業規則と違って、36協定は10人未満でも必要です。

指針について

36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針が出ています。

労働基準法第36条7 厚生労働大臣は、労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするため、第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、労働者の健康、福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して指針を定めることができる。
8 第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長及び休日の労働を定めるに当たり、当該協定の内容が前項の指針に適合したものとなるようにしなければならない。
9 行政官庁は、第七項の指針に関し、第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。
10 前項の助言及び指導を行うに当たつては、労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならない。

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下のリンクは指針を要約した厚生労働省のリーフレットです。

作成ツール

厚生労働省の「スタートアップ労働条件」のサイトから作成支援ツールを利用できます。

下は、2018年4月より様式変更となる36協定の記入見本です。

36協定で定める事項

協定に定めるべき事項は、36条の2で示されています。

労働基準法第36条2 前項の協定においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲
二 対象期間(この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、一年間に限るものとする。第四号及び第六項第三号において同じ。)
三 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合
四 対象期間における一日、一箇月及び一年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数
五 労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項

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1.時間外労働や休日労働をさせる具体的理由
具体的な理由の欄は、「業務上やむを得ない場合」などという曖昧なものではなく、臨時の受注、納期変更、急な顧客対応、クレーム対応、月末の経理作業、給与計算などのように、業務別に、具体的に記載しなければなりません。

2.その業務の種類
これも具体的に記載します。「〇〇工場」、「営業部」などの部課名でもよいし、複数の部課が同じ業務を行っている場合は、一括して「製造部門」などと書いてもかまいません。

3.対象となる労働者数
労働者数は、業務の種類ごとに時間外労働や休日労働をする可能性がある従業員数を記入します。18歳未満の従業員は時間外労働や休日労働をさせることができないので、労働者数には含みません。

4.延長することができる時間
36協定によって延長できる時間ですが、指針では1週間につき15時間、1ヶ月につき45時間、1年につき360時間などと上限が示されています。

労働基準法第36条3 前項第四号の労働時間を延長して労働させることができる時間は、当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して通常予見される時間外労働の範囲内において、限度時間を超えない時間に限る。
4 前項の限度時間は、一箇月について四十五時間及び一年について三百六十時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間及び一年について三百二十時間)とする。

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↓厚生労働省の基準|時間外労働の限度に関する基準

5.協定の有効期限
期間については特に定めがありませんが、定期的に見直しを行う必要があるとして、有効期間は1年とするように指導されています。労働協約による場合は、労働組合法の規定で上限3年が適用されます。36協定に自動更新の規定を置くことはできますが、自動更新の都度、更新する旨を所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります。実質的には手間は同じです。

36協定の特別条項

特別の事情(臨時的なもの)がある場合に限るという条件で、1ヶ月45時間超える残業など、基準を上回る協定を結ぶことが認められています。これが、「特別条項」付き36協定といわれるものです。

労働基準法第36条5 第一項の協定においては、第二項各号に掲げるもののほか、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に第三項の限度時間を超えて労働させる必要がある場合において、一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間(第二項第四号に関して協定した時間を含め百時間未満の範囲内に限る。)並びに一年について労働時間を延長して労働させることができる時間(同号に関して協定した時間を含め七百二十時間を超えない範囲内に限る。)を定めることができる。この場合において、第一項の協定に、併せて第二項第二号の対象期間において労働時間を延長して労働させる時間が一箇月について四十五時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間)を超えることができる月数(一年について六箇月以内に限る。)を定めなければならない。

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36協定の特別条項

労使協定を調印する人

通常は、会社側は社長、労働者側は労働組合委員長がそれぞれを代表して調印します。

労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する人を選出して調印しなければなりません。

過半数代表者の選出

就業規則の定めも必要です

36協定を結べば、法定労働時間を超えて労働させても、協定の範囲であれば労働基準法違反になりません。

しかし、時間外労働を命じることは別の問題です。従業員に時間外労働を業務として命令するには、36協定だけでは足りず、就業規則に「時間外勤務を命じることがある」という規定が記載されている必要があります。

規定例→労働時間・休憩|就業規則

規定例→休日|就業規則

労使委員会等の決議を労使協定に代えることができる

36協定の締結・届け出に代えて、労使委員会(労働基準法第38条の4第1項に基づくもの)又は、労働時間等設定改善委員会の決議・届け出により、時間外及び休日の労働を行うことができます。

適用除外の規定

労働基準法第36条11 第三項から第五項まで及び第六項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務については適用しない。

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