Last Updated on 2023年9月21日 by 勝
作業環境測定
事務所でも作業環境測定が必要な場合があります。
労働安全衛生法第65条第 1 項に基づき施行令第21条第 5 項に「中央管理方式の空気調和設備(空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給することができる設備をいう。)を設けている建築物の室で、事務所の用に供されるもの」について、作業環境測定を行わなければならない、と定められています。
つまり、中央管理式の空気調和装置を設置している場合です。通常はビルに入っている事務所が該当します。
これを受けて、事務所衛生基準規則には次の規定があります。
(作業環境測定等)
第七条 事業者は、労働安全衛生法施行令第二十一条第五号の室について、二月以内ごとに一回、定期に、次の事項を測定しなければならない。
一 一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率
二 室温及び外気温
三 相対湿度
以上のように原則として2ヶ月に一回と定められていますが、前年の一年間に、①気温が17度以上28度以下、②相対湿度が40パーセント以上七70パーセント以下等の基準を満たせば、測定間隔を変更することができます。
また、事務所を建築し、大規模の修繕又は大規模の模様替を行ったときは、使用を開始した日以後最初に到来する六月から九月までの期間に一回、測定しなければなりません。
測定結果の記録についても定められています。
2 事業者は、前項の規定による測定を行なつたときは、そのつど、次の事項を記録して、これを三年間保存しなければならない。
一 測定日時
二 測定方法
三 測定箇所
四 測定条件
五 測定結果
六 測定を実施した者の氏名
七 測定結果に基づいて改善措置を講じたときは、当該措置の概要
以下は、測定方法についての定めです。
(測定方法)
第八条 この章(第七条を除く。)に規定する次の表の上欄に掲げる事項についての測定は、同表の下欄に掲げる測定器又はこれと同等以上の性能を有する測定器を使用して行うものとする。
事項 | 測定器 |
浮遊粉じん量 | グラスフアイバーろ紙を装着して相対沈降径がおおむね10マイクロメートル以下の浮遊粉じんを重量法により測定する機器等 |
一酸化炭素の含有率 | 検知管方式による一酸化炭素検定器 定電位電解法による測定器 |
二酸化炭素の含有率 | 検知管方式による二酸化炭素検定器 非分散型赤外線吸収法(NDIR)による測定器 |
気温 | 0.5度目盛の温度計 |
相対湿度 | 0.5度目盛の乾湿球の湿度計 |
気流 | 0.2メートル毎秒以上の気流を測定することができる風速計 |
ホルムアルデヒドの量 | 二・四―ジニトロフェニルヒドラジン捕集―高速液体クロマトグラフ法により測定する機器等 |
通常の事務所では、有害物質等を使用することはほとんどなく、空調やストーブの安全性能も向上していることから、事務所内の空気が問題になることはほとんどありません。このため、事務所の作業環境測定は軽視されがちですが、法令に定められた条件に該当する事務所は、作業環境測定を実施しなければなりません。
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