労働安全衛生法の計画届出

安全衛生管理

労働安全衛生法の計画届出

労働安全衛生法第88条は、労働災害を未然に防ぐため、特に危険または有害な作業を伴う建設物や機械などの設置・変更、または大規模な建設工事を始める前に、その計画を国(労働基準監督署長など)に提出しなさい、というルールを定めています。

有資格者の参画

労働安全衛生法第88条4 事業者は、第一項の規定による届出に係る工事のうち厚生労働省令で定める工事の計画、第二項の厚生労働省令で定める仕事の計画又は前項の規定による届出に係る仕事のうち厚生労働省令で定める仕事の計画を作成するときは、当該工事に係る建設物若しくは機械等又は当該仕事から生ずる労働災害の防止を図るため、厚生労働省令で定める資格を有する者を参画させなければならない。

計画届の作成にあたっては、工事の施工管理又は設計管理及び安全管理について、知識を有している者が参画しなければなりません。厚生労働省令で定める資格は、労働安全衛生規則別表9に記載されています。

届出義務者

5 前三項の規定(前項の規定のうち、第一項の規定による届出に係る部分を除く。)は、当該仕事が数次の請負契約によつて行われる場合において、当該仕事を自ら行う発注者がいるときは当該発注者以外の事業者、当該仕事を自ら行う発注者がいないときは元請負人以外の事業者については、適用しない。

届出義務者は、仕事を開始しようとする事業者です。ただし仕事が数次の請負によって行われる場合において、その仕事を自ら行う発注者がいるときは、その発注者、そのような発注者がいないときは元請負人が届出義務者となります。

差止命令等

6 労働基準監督署長は第一項又は第三項の規定による届出があつた場合において、厚生労働大臣は第二項の規定による届出があつた場合において、それぞれ当該届出に係る事項がこの法律又はこれに基づく命令の規定に違反すると認めるときは、当該届出をした事業者に対し、その届出に係る工事若しくは仕事の開始を差し止め、又は当該計画を変更すべきことを命ずることができる。

工事もしくは仕事の開始を差し止め、または計画の変更を命じることがあるとの定めです。

勧告等

7 厚生労働大臣又は労働基準監督署長は、前項の規定による命令(第二項又は第三項の規定による届出をした事業者に対するものに限る。)をした場合において、必要があると認めるときは、当該命令に係る仕事の発注者(当該仕事を自ら行う者を除く。)に対し、労働災害の防止に関する事項について必要な勧告又は要請を行うことができる。

第6項の命令をしたときは、併せて勧告または要請を行うことがあるとの規定です。

届出の種類

機械等の使用計画

第88条 事業者は、機械等で、危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、厚生労働省令で定めるものを設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の三十日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。ただし、第二十八条の二第一項に規定する措置その他の厚生労働省令で定める措置を講じているものとして、厚生労働省令で定めるところにより労働基準監督署長が認定した事業者については、この限りでない。

事業者が、危険または有害な作業が必要な機械や、危険な場所で使う機械、または危険や健康障害を防ぐために使う機械などのうち、厚生労働省令で定めるものを、

  • 設置(新しく作る)
  • 移転(場所を移す)
  • 主要構造部分の変更(大きく改造する)

しようとする場合、工事開始の30日前までに、その計画を労働基準監督署長に届け出る必要があります。

機械や設備を使い始める前、または大きく改造する前に、行政機関がその計画の内容をチェックし、安全対策が十分か労働者の健康を害する恐れはないかを確認し、必要に応じて改善を促すことで、将来的な事故や病気を防ぐことを目的としています。 具体的な対象となる機械等には、ボイラー、クレーン、プレス機械、特定化学設備などが含まれます。

特に大規模な仕事の計画

2 事業者は、建設業に属する事業の仕事のうち重大な労働災害を生ずるおそれがある特に大規模な仕事で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の三十日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に届け出なければならない。

「厚生労働省令で定めるもの」は労働安全衛生規則第89条に記載されています。

重大な労働災害のおそれがある特に大規模な仕事(例:高さ300メートル以上の塔の建設、堤高100メートル以上のダムの建設など)。この場合、工事開始の30日前までに都道府県労働局長などに届け出ます。

一定の仕事の計画

3 事業者は、建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事(建設業に属する事業にあつては、前項の厚生労働省令で定める仕事を除く。)で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の十四日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。

「厚生労働省令で定めるもの」は労働安全衛生規則90条に記載されています。

一定の規模・種類の建設工事(例:高さ31メートルを超える建築物、特定の橋梁の建設など)。この場合、工事開始の14日前までに労働基準監督署長に届け出ます。