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安全衛生管理

医師による面接指導をオンラインでやることは可能ですか?

Last Updated on 2025年8月13日 by

医師による面接指導をオンラインで行うことは、可能です

医師による面接指導とは

労働安全衛生法に基づき、義務付けられている医師による面接指導は以下の2種類があります。

  1. 長時間労働者への面接指導
  2. ストレスチェックによる高ストレス者への面接指導

これらの面接指導をオンラインで行うことができれば、時間と移動の制約を緩和し、面談の機会を増やすことができます。

以前は対面での面接指導が原則とされていましたが、IT技術の進展や新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2020年11月に厚生労働省の通達が改正され、一定の要件を満たせば情報通信機器(オンライン)を用いた面接指導が認められるようになりました。

ただし、オンラインで面接指導を実施する際には、対面と同等の効果を確保するために、いくつかの重要な留意事項と要件が定められています。

オンライン面接指導の要件

主に以下の点が重要となります。

医師の要件

面接指導を実施する医師が、対象労働者が所属する事業場の産業医であること。

もしくは、以下のいずれかの条件を満たす医師であることが望ましいとされています。

過去1年以上にわたり、対象事業場の労働者の日常的な健康管理業務を担当していること。

過去1年以内に、対象労働者が所属する事業場を巡視したことがあること。

過去1年以内に、当該労働者と直接対面で指導等を実施したことがあること。

通信環境と機器の要件

労働者の心身の状態を十分に把握できる映像・音声の品質が確保されていること。

安定した通信環境が確保されていること。

Webカメラやマイクなど、必要な機器が整っていること。

プライバシーとセキュリティの要件

面接指導の内容が第三者に漏洩しないよう、労働者のプライバシーに配慮した環境で実施すること(個室など)。

使用する情報通信機器について、情報セキュリティが確保されていること。

録画・録音を行う場合は、事前に労働者の同意を得ることが望ましいとされています。

緊急時対応体制の要件

オンライン面接指導中に、医師が緊急に対応すべき兆候を把握した場合に備え、近隣の医師や産業保健スタッフと連携し、緊急時に対応できる体制が整備されていること。

事前の手続き

オンラインでの面接指導の実施について、衛生委員会で調査審議を行い、その方法や留意事項を事前に労働者全体に周知しておく必要があります。

これらの要件は、オンラインでも対面と同じように、医師が労働者の表情や声色、雰囲気などから心身の状態を適切に把握し、適切な指導を行うためのものです。

したがって、事情によって、産業医とオンラインで面談を行うことは法律上認められていますが、上記の要件を確実に満たすよう、機材等を整備することが不可欠です。

また、契約している産業医(または面接指導を依頼する医師)とこれらの要件について事前に相談することをお勧めします。


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