カテゴリー: 株主総会

  • 株主から電話がきたらどう対応すればよいか?

    株主から電話があったら

    株式を上場している会社には、割に高い頻度で株主からの電話がかかってきます。

    基本的には、一般株主や投資家からのご質問には丁寧に回答し、意見を承るという姿勢が大事です。

    特に大株主からの電話にはより丁寧さが求められます。

    しかし、株主を名乗って会社にかかってくる電話には、とても大変な電話が多い印象があります。

    例えば、

    君の名前は何と言うんだ

    いきなり名前を聞いてくる人がいます。こういう人は、だいたい良くない方向に話しを進めようという意図をもっています。

    名乗らないと名乗らないことを口実に「株主に対して名乗らないとは何事だ。会社はそのように教育をしているのか」などと発展します。

    まずは、会社として、名乗るかどうか方針を決めておきましょう。名乗らないと決めるなら何と答えるかも含めて決めておかないと、応対に詰まってしまいます。

    普通は名前くらいは答えます。

    すると、

    君の所属と役職名を言いなさい

    名前と同様に所属と役職名くらいは仕方ないでしょう。しかし、その後に「念のために電携帯の話番号を聞いておこうか」などと発展したら、明確に断りましょう。「そうしたことはお答えしないことになっております」

    これらの質問は、一つにはプレッシャーを与えるのが目的のようです。そして、何かの折には「誰それがこう言った」と言えるように証拠を固めているのです。

    お前じゃ話にならない

    所属と役職名を答えると、「お前じゃ話にならない。責任者をだせ」となることがあります。

    この場合は、事前に会社で決めてある役割分担で対応するしかありません。つまり、自分が対応することになっている部分であれば、簡単に上司に代わることはできません。「私が承ることになっています。お話を承りたいと思います」

    今の株価はいくらだ

    電話を掛けてくる株主は、ほとんどの人は株価を知っているはずです。それをいきなり聞くのは、揺さぶりをかけているのです。「知らない」というと鬼の首を取ったように騒ぎ立てます。株式担当者であれば、市場が動き始めた段階で一度はチェックしておきましょう。

    なぜ株価が下がったのか

    これが一番多い質問です。ときには、なぜ上がっているのか、という質問もあります。

    株価というものは市場が決めることであって、会社がコントロールできるものではありませんから、基本的には答えることができない質問です。しかし「株価は市場で決まりますので」などだけでは納得してくれません。

    担当者としては、決算開示やプレスリリースの内容の範囲で「そういう影響があるかもしれませんが、詳細はわかりかねます」などと抑えた説明をするしかありません。

    赤字決算になったなどの明確な理由があるときで、開示後であれば「大変申し訳ないことに前期は赤字になってしまいました。これも影響していると思っております」という対応になります。

    なお、丁寧に答えても、「大損をしてしまった!」と怒鳴りつけてくる人もいます。どうしようもないので「はあ、申し訳ありません」などと相槌で逃げ切るようにします。間違っても何らかの約束をしてはいけません。こういう人は、そのうち「おい、ちゃんと聞いてるのか!」と怒鳴り始めるので、大変厄介です。

    君の個人的な見解はどうなのか

    答えれる範囲で答えていると「そういうことは分かっている。君自身はどう思っているんだ。」と個人の見解を尋ねる人がいます。

    わざわざ電話してくるのですから、生の情報が欲しいのでしょう。気持ちは分かります。

    しかし、いくら個人の意見だと念を押しても、会社の担当者が発言すれば会社として発言したことになってしまいます。また、後から「こう言ったじゃないか。どう責任をとるんだ」などと責められるのは目に見えています。

    答えてはいけません「個人的な意見は言ってはならないことになっています」

    株主総会のお土産を送ってくれ

    株主総会が終わってから、お土産が出たか、そのお土産は何だったかという電話がくることがあります。そういう問い合わせのあと、多くは「用事があって行けなかったから自宅に送ってくれ」と言います。

    普通は送りません。わざわざ総会場所にお出でいただいた人に差し上げたものですから、来なかった人に差し上げる道理はないのです。しかし、送らないと言うと、怒りだします。

    想定問答集をつくるべき

    株主からの電話は、そんなに多くのパターンはありません。これまでの事例を振り返って基本になる想定問答集をつくり、何か聞かれそうなトピックスがあれば、都度追加していきましょう。

    想定問答集があるかないかで担当者の気持ちに大きな違いが出ます。出たとこ勝負で対応していると、精神をやられてしまう人もいるようです。

    電話対応を廃止することも選択肢

    電話での株主対応は、ネチネチと責め立てられたり、罵倒されることもあり、仕事として生産的でないことが多いの事実です。

    株主からの問い合わせはウェブサイトからに限定することも選択肢です。

    また、IRのページのQ&Aを充実して、ほとんどの質問に対する答えを用意すれば、株主にとって電話をする必要性が減少することになります。また、電話があっても、Q&Aに沿って答えればよいので担当者も楽になります。


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  • 株主総会受付マニュアルのサンプル

    受付の事前準備

    受付で人の流れが滞ったりするとイライラする人が現れて険悪な雰囲気になることがあります。

    受付で「バカにするな!」などと大声を発する者も稀に現れますが、ひるまずに、法律上、判例上に裏付けがある対応をすれば問題ありません。

    しっかりした対応をするためには、場数も大事ですが、正確な知識が一番重要です。

    法律的にはどのように対応するのが正解か、事前にシミュレーションし、しっかりしたマニュアルを作り、リハーサルをやっておけばスムーズに対応できます。

    準備する物

    □受付票:事前に送付した議決権行使書、または当日配布用の受付票。

    □株主土産

    □株主名簿:基準日時点の株主名簿の最新版。議決権数、株主番号、氏名、住所が確認できるもの。

    □予備の招集通知(議案)

    □案内表示:会場案内、受付場所への誘導表示、委任状や本人確認が必要な場合を案内する提示。

    □筆記用具等:ボールペン、マジック、メモ用紙、書類トレー、ホチキスなど。

    □その他:筆談器、拡大鏡、車椅子の方への配慮用具、感染症対策をするのであれば必要な用具、救急用品など。

    受付の人数

    前回までの出席株主数から今回の出席株主数を推定して、対応人数を決めます。何か注目される要素があれば激増することがあるので注意を要します。

    人数が多い場合、仕事がない人は挨拶していればよいので困ることはありませんが、少ないと流れが滞って困ることになります。余裕をもって配置する必要があります。

    受付の流れ

    あいさつの言葉

    「おはようございます」
    「いらっしゃいませ」
    「ありがとうございます」
    など、ある程度は事前に決めておきましょう。無言で応対する人がいないようにしましょう。

    議決権行使書用紙を受け取る

    初めから差し出す人が多いので「ありがとうございます」と応えます。

    何も言わずに受付に立った人には「議決権行使書はお持ちでしょうか」と問いかけます。

    議決権行使書をチェックする

    自社の株主総会のものかチェックします。(複数の会社の株主であることが多いので間違えて他社のものを持ってくる人も稀にいます)

    本年度の議決権行使書かチェックします。(これも稀にいます)

    イレギュラー対応

    議決権行使が終わっている場合

    インターネットにより既に議決権行使を行ったとの申出があれば、「提出済」と議決権行使書用紙に朱記します。

    入場してもらうことに問題はありません。

    議決権行使書を提示しない場合

    議決権行使書を紛失、忘れた場合は、株主名簿にて、株主情報と照合し、本人であることを確認します。併せて、身分証明書(運転免許証、パスポートなど)の提示を求め、本人確認を厳格に行います。

    確認が取れ次第、手書きで受付票を作成し交付します。

    株主名簿にない場合は入場させることができませんが、一応、株取得の経緯を尋ねて確認します。

    複数の議決権行使書が提示された場合

    複数の証券会社に口座を持つ場合など、複数の議決権行使書を提示する人がいた場合、全ての議決権行使書を受け取り、それぞれの株主情報を確認・照合し、議決権数を合算し、合計議決権数を記載した受付票を交付します。

    同伴者がいる場合

    一枚の議決権行使書で同伴者がいた場合、原則として入場をお断りしますが、介助者等、やむを得ない事情がある場合どう対応するか事前に取り決めておきましょう。

    名義人以外が来場した場合

    来場者が会社が事前に送付した議決権行使書用紙を持参していれば、特段の事情がない限り、議決権行使書用紙の持参者を真正な株主とみなして、それ以上の確認をすることなく入場を認める扱いが多く行われています。ただし、そうした簡便なやり方により問題が生じることがあります。

    代理人による出席の場合は、代理人であることを証明する有効な委任状(株主本人の署名・捺印があるもの)を提出してもらいます。また、来場者の本人確認が必要です。マイナンバーカード、運転免許証等の公的証明書の提示を求めます。

    代理人が当社の株主でない場合はどう対応するか事前に取り決めておきましょう。

    関連記事:株主総会における代理人の扱い

    法人株主の場合は通常その法人の役職員が来場します。厳密に言えば委任状が必要ですが、委任状等がなくても名刺や社員証で確認して入場を許可する運用がなされているケースも見られます。

    受付で資料の要求があった場合

    「招集通知」は多めに用意しておくべきですが、それ以上の、例えば有価証券報告書等を求められることも稀にあります。

    インターネットで開示することにより、提供したとみなされているので、法律上はその場で交付する義務はありません。その旨を丁寧に伝えましょう。

    議決権行使書の集計

    受付業務の中心は議決権行使書の集計です。

    議決権行使書の集計をする係は、雑事に惑わされず集計に専念できるよう配慮しなければなりません。

    チェック(数え直し)する人も必要です。

    集まった議決権行使書は、どんどん集計係に渡します。集計係が別室にいるときなど、ある程度まとまってから渡す場合もあります。

    集計係は、受付した議決権を前日までの集計分に加えて、当日の議決権を確定させます。

    総会開始後直ちに議決権の数字が読み上げられるので、実務的には総会時刻の数分前で締め切る必要があります。

    その結果、時間ギリギリに駆け込んできた株主の分は入らないことになりますが、後日作成する株主総会議事録には、本当の確定数を記載します。総会場で読み上げた数字と違うことになりますが、議決に影響を及ぼすほどのの違いでなければ問題になることはありません。

    外部スタッフの協力

    上場会社であれば、信託銀行等の株主名簿管理人から職員が派遣されてくることが多いようです。詳しい人がくるので、判断に迷うときは聞きながらやればよいでしょう。派遣されてこないときは、担当窓口に株主総会の時間を事前に連絡しておき、いつでも連絡できるようにしておきましょう。

    トラブルが起きそうな予兆がある場合、あるいは、前の総会でトラブルがあった場合は、所轄の警察署に事前に相談すると、警察官を派遣してくれることがあります。

    特に問題がない会社であれば自社で対応できますが、出席株主数によっては、念のため、警備会社と契約する会社も多いようです。


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  • 株主総会進行マニュアルのサンプル

    株主総会の進行例

    1 議長就任 社長 定款〇〇条により社長が議長に就任
    2 開会宣言 議長 第〇〇期定時株主総会の開会宣言
    3 ルール説明 議長 議事進行上のルール説明
    4 株主数報告 議長 本総会の議決権株式数及びその株主数を報告
    5 充足宣言 議長 定足数を満たしていることを宣言
    6 議事
    報告事項 計算書類の承認(出席株式数の過半数)
    1号議案 株式配当の承認(出席株式数の過半数)
    2号議案 定款変更(発行済株式数の過半数が出席し、その3分の2以上)
    3号議案 役員の選任(発行済株式数の3分の1以上が出席しその過半数)
    4号議案 退職慰労金(出席株式数の過半数)
    7 監査報告 〇〇監査役 監査報告
    8 営業報告 議長 営業報告書の説明、貸借対照表、損益計算書の説明
    9 質疑応答 議長 報告事項に関する質疑応答
    10 第1号議案 議長 利益処分案の承認
    11 第2号議案 議長 定款の1部変更の承認
    12 第3号議案 議長 監査役の選任
    13 第4号議案 議長 退職慰労金贈呈の承認
    14 終了宣言 議長 全目的事項の終了
    15 新監査役紹介 挨拶
    16 閉会宣言 議長 総会の閉会を宣言
    17 退場 全員 株主席の方へ一礼以上

    通常の進行シナリオ

    役員入場

    【社長以下役員の入場】
    〔役員一同は株主席の方に対し一礼〕
    〔役員全員着席〕
    (係員) (定刻になりましたので、社長、議長席の方へお願い致します。)
    【社長】 【議長席に着き株主に対し一礼】
    (株主)(拍手)
    【社長】 おはようございます。
    (株主)(おはようございます。)

    議長就任

    【社長】 社長の〇〇でございます。本日は、お忙しいところ本総会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。定款第〇〇条の定めによりまして、私が議長を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
    (株主)(拍手)

    開会宣言

    【議長】 ありがとうございます。それでは、ただいまより、第〇〇期定時株主総会を開会いたします。本日の会議の目的事項といたしまして、お手元の書類に記載してあります通り本総会に提出いたします。

    ルール説明

    【議長】 また、議事の秩序を保ちますため、ご発言につきましては、私の指示に従ってなされますようお願い申し上げます。
    (株主)(拍手)

    株主数報告

    【議長】 それでは、本総会におけますご出席株主数ならびに、その株式数をご報告申し上げます。本総会におきまして、議決権を有する株主数は〇〇〇名、その議決権株式数は〇〇〇〇株でございます。本総会にご出席の株主数は、委任状をご提出いただきました方を含め〇〇〇名、その議決権株式数は〇〇〇〇株でございます。

    充足宣言

    【議長】従いまして、定足数の定めのある各議案を審議する為に必要な定足数を満たしております。
    (株主)(異議ありません)(拍手)

    監査報告

    【議長】 それでは営業報告ならびに各議案の審議に入ります前に、監査役会より監査報告をお願い致します。〇〇監査役どうぞ。
    (監査役) 〔その場に起立、株主に対し一礼〕(常勤監査役の〇〇でございます。監査役会を代表いたしまして、私から監査報告をさせていただきます。当監査役会は、第〇〇期営業年度における取締役の業務執行全般について監査を行なって参りましたが、監査役会の監査報告書の謄本に記載致しました通り、法令・定款に違反する事項および不当な事項はございません。また、会計監査人である〇〇監査法人の会計に関しての監査方法、およびその結果につきましても相当であります。また、会計以外の業務につきましても、法令・定款に適合いたしており不当な事項はございません。また、本総会の各議案および書類に関しましても、法令・定款に違反する事項および不当な事項はございません。

    営業報告

    【議長】それでは、令和〇年〇月〇日から令和〇年〇月〇日までの第〇〇期の営業報告書についてご報告申し上げます。お手元の書類〇頁から〇頁に記載の通りでございますが、その概略につきまして、ご説明申し上げます。
    当期におけます、わが国経済につきましては、(以下、略)。したがいまして、当社と致しましては、今後とも〇〇の使命を自覚し、積極的な営業方針のもと、高度化、多様化するユーザーニーズにきめ細かく応えていく所存でございます。今後ともなお一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
    次に、貸借対照表の内容につきましてご説明申し上げます。お手元の招集ご通知の〇頁をご覧いただきたいと存じます。(以下、略)
    次に、損益計算書についてご説明申し上げます。お手元の招集ご通知の〇頁をご覧いただきたいと存じます。(以下、略)

    質疑応答

    【議長】 報告事項につきましては以上でございますが、これまでの事項に関しましてのご質問をお受け致します。
    ご発言を希望される方は、挙手をお願いしたいと存じます。ご質問はございませんでしょうか。
    (株主) (質問ありません)

    説明・審議

    【議長】 ご質問が無いようでございますので、議案の第1号議案の審議の方に移らせていただきます。
    お手元の書類〇頁に記載してございます決議事項の第1号議案の内容をご説明申し上げます。お手元の書類〇頁をご覧下さい。
    利益処分案と致しまして、
    利益準備金〇〇万円
    利益配当金〇〇万円これは、1株当たり普通配当を〇円とするものでございます。
    別途積立金〇〇万円
    利益処分額合計〇〇万円
    次期繰越利益〇〇万円とするものでございます。

    ここで、第1号議案に関してのご質問をお受け致します。ご発言を希望される方は、挙手をお願いしたいと存じます。ご質問はございませんでしょうか。

    (株主) (質問ありません)

    採決

    【議長】 ご質問がございませんので、議案の採決に移らせていただきたいと存じます。第1号議案「第〇期利益処分案承認の件」の採決を致します。原案にご異議ございませんか。

    (株主)(異議ありません)(賛成)(拍手)

    【議長】 ありがとうございました。過半数のご賛同を得ましたので、本議案は原案通り承認可決されました。

    (株主) (拍手)

    説明・審議

    【議長】 それでは、第2号議案の審議に移らせていただきたいと存じます。
    お手元の書類〇頁から〇頁に記載してございます第〇号議案をご説明申し上げます。
    定款の一部変更のご承認をお願いするもので、2項目ございます。
    1つめは、(以下、略)
    以上ですが、第2号議案に関してのご質問をお受けいたします。ご発言を希望される方は、挙手をお願いしたいと存じます。ご質問はございませんでしょうか。

    (株主)(質問ありません)

    【議長】 ご質問がございませんので、議案の採決に移らせていただきたいと存じます。

    採決

    第2号議案「定款一部変更の件」の採決を致します。原案にご異議ございませんか。
    (株主)(異議ありません)(賛成)(拍手)

    【議長】 ありがとうございました。3分の2以上のご賛同を得ましたので、本議案は原案通り承認。決されました。

    (株主)(拍手)

    説明・審議

    【議長】 続きまして、第3号議案の審議に移らせていただきたいと存じます。お手元の書類〇頁をご覧下さい。本総会終結のときをもちまして、監査役であります〇〇氏が辞任されますので、その補欠と致しまして、監査役1名の選任をお願いするものでございます。なお、選任された場合の任期は、前任の監査役の任期満了時である令和〇〇年の定時株主総会終結のときまでとなります。監査役候補者としましては、お手元の書類〇頁に記載の通りでございます。
    ここで、第3号議案に関するご質問をお受け願いしたいと存じます。ご質問はございませんでしょうか。
    (株主)(異議ありません)(質問ありません)

    採決

    【議長】 質問がございませんので、議案の採決に移らせていただきたいと存じます。 第3号議案「監査役1名選任の件」の採決をいたします。原案にご異議ございませんか。

    (株主)(異議ありません)(賛成)(拍手)

    【議長】 ありがとうございました。過半数のご賛同を得ましたので、本議案は原案通り承認可決されました。
    (株主)(拍手)

    説明・審議

    【議長】 続きまして、第4号議案の審議に移らせていただきたいと存じます。
    本総会終結のときをもちまして辞任されます監査役の〇〇氏に対しまして、その在任中の功労に報いますため、当社役員退職慰労金規程に基づき退職慰労金を贈呈いたしたく、ご承認をお願いするものでございます。なお、贈呈の金額、時期、方法等につきましては、監査役の協議にご一任を願いたいと存じます。
    ここで、第4号議案に関するご質問をお受けいたします。ご発言を希望される方は、挙手をお願いしたいと存じます。ご質問はございませんでしょうか。

    (株主) (質問ありません)

    採決

    【議長】 ご質問がございませんので、議案の採決に移らせていただきます。
    第4号議案「退任監査役に対する退職慰労金贈呈の件」の採決を致します。原案にご異議ございませんか。

    (株主) (異議ありません)(拍手)

    【議長】 ありがとうございました。過半数のご賛同を得ましたので、本議案は原案通り承認可決されました。

    審議終了

    【議長】 以上で、本日の目的事項はすべて終了しましたが、この場をお借りしまして、新監査役の紹介をさせていただきたいと存じます。新監査役〇〇さんどうぞ。

    〇〇〔起立し、株主席の方に対し一礼〕〇〇でございます。よろしくお願い致します。(株主)(拍手)

    閉会宣言

    【議長】 以上をもちまして、本総会は閉会と致します。本日は、誠にありがとうございました。〔株主に対し一礼〕
    〔役員全員起立し一礼〕
    (退場)〔全員退席〕

    出席株主から発言があった場合

    質問があった場合

    【議長】 【挙手している人を指し示す】そちらの株主様、出席票の番号と名前をおっしゃってください。
    (株主) (〇番の〇〇と申します。)
    〔事務局は名前と番号を記録〕
    【議長】 〇〇様、ご質問をどうぞ。
    (株主)(先程の業績のところでお聞きしたいことが云々)
    【議長】 ただいまのご質問にお答えいたします。〇〇につきましては云々。以上ご説明申し上げました。

    他の取締役が回答する場合

    【議長】 その件につきましては、担当取締役の方からご説明申し上げます。
    〇〇取締役どうぞ
    〇〇取締役 (取締役の〇〇でございます。ただいまのご質問にお答えいたしま云々。以上、ご説明申し上げました。)

    質問に回答しない場合

    【議長】 その件に関しましては、〇〇ですので、お答えを差し控えさせて頂きたいと存じます。
    【議長】 他にご質問はございませんか。
    (株主)(質問ありません)

    修正動議が出された場合は原案先決

    【議長】 ただいま、〇番の株主様から第〇号議案の修正動議が提出されましたが、原案を先に審議せて頂きたいと存じますが、皆様いかがでしようか。
    (株主)(異議ありません)(拍手)
    【議長】 ありがとうございます。それでは会社提案につきまして審議を続けさせて頂きます。
    〔説明・審議の続行〕
    原案の採決
    【議長】 それでは、第〇号議案「〇〇の件」の採決をいたします。原案にご異議ありませんか。
    (株主)(異議ありません)(賛成)(拍手)
    【議長】 ありがとうございました。過半数(or3分の2以上)のご賛同を得ましたので、本議案は原案通り承認可決されました。
    (株主)(拍手)
    【議長】 なお、先程ご提案されました修正案は、原案可決により否決されるものとして取扱わせていただきます。
    (株主)(異議有りません)(賛成)(拍手)
    【議長】 ありがとうございました。

    休憩の動議が出た場合

    【議長】 ただいま、〇番の株主様から休憩の動議が提出されました。私はその必要はないものと考えますが、皆様いかがでしょうか。
    (株主)(異議無し)(拍手)ありがとうございました。ただいまの動議は否決されましたので、このまま議事を進めさせて頂きます。

    議長不信任の動議が出た場合

    【議長】 ただいま〇番の株主様から議長不信任の動議が提出されました。私は、定款の定めに従って議長を務めさせて頂き、公正に議事を進めておりますので、ご指摘のようなことは無いものと考えますが、皆様いかがでしょうか。
    (株主)(異議無し)(拍手)
    ありがとうございました。ただいまの動議は否決されましたので、このまま議事を進めさせて頂きます。

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  • 株主総会議事録の書き方

    記載しなければならない事項

    会社法318条第1項、会社法施行規則72条3項に、株主総会議事録に必ず記載しなければならない事項が定められています。

    1.株主総会が開催された日時および場所
    2.株主総会の議事の経過の要領およびその結果
    3.監査役等による意見または発言の内容の概要
    4.出席役員等の氏名または名称
    5.議長が存するときは、議長の氏名
    6.議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

    上記の内容が記載されていれば、細部は、適宜作成することができます。

    議事の経過の要領とは

    経過の「要領」ですから、発言内容のすべてを記載する必要はありません。発言内容を適宜要約して記載します。

    具体的な要約方法については、いろいろな議事録サンプルが参考になります。

    議事に関係のない質問や発言があった場合には、そもそも「議事の経過」には当たらないので、一切記載しないのが一般的です。

    ただし、不規則発言を繰り返す株主に対し、議長が退場を命じた場合など、特に際立ったことがあれば「議事の経過」としてその旨を議事録に記載する必要があります。

    株主から「この発言は議事録に残しておいてほしい」と要求されても、議事録の書き方について、個々の株主に権利があるわけではないので、従う必要はなく、あくまでも、その発言内容が法定記載事項に該当するか否かで、会社として判断すればよいでしょう。

    議事録作成者

    議事録の作成に関して責任を有する取締役の氏名は、一般的には代表取締役が議事録作成者となります。議事録作成者は、定款で定めていること多いです。

    押印について

    会社法には、株主総会に出席した取締役の株主総会議事録への署名義務に関する規定はありません。

    ただし、法律上の義務はないとしても、定款に定めている場合があるので注意が必要です。

    定款例1

    株主総会の議事については、開催日時、場所、出席した役員並びに議事の経過の要領及びその結果その他法務省令で定める事項を記載又は記録した議事録を作成し、議長及び出席した取締役がこれに署名若しくは記名押印又は電子署名をし、株主総会の日から10年間本店に備え置く

    定款例2

    株主総会の議事については、開催日時、場所、出席した役員並びに議事の経過の要領及びその結果その他法務省令で定める事項を記載又は記録した議事録を作成し、株主総会の日から10年間本店に備え置く

    定款例1は、旧商法下で定められていた規定を踏襲した定款です。このような定款であれば、議長及び出席した取締役の押印が必要です。代表取締役議長は会社代表印、その他の出席取締役については認印を押印して下さい。

    定款例2は、現行の会社法に則した定款の記載です。押印する必要はありませんが、真正な議事録であることを示すために、押印しておくことは、無難であり問題はありません。

    実印が必要な場合がある

    取締役会を設置していない非公開会社の株式会社の場合、代表取締役を選定する株主総会議事録は、登記申請には出席取締役全員が実印を押印し、印鑑証明書を添付する必要があります。

    ただし、代表取締役が再任(重任)する場合や、前任の代表取締役が株主総会に出席し、登記所に提出している会社実印を押印している場合は不要です。

    取締役会を設置していない非公開会社の株式会社の場合、新たな取締役が選任された場合で、新取締役が席上で就任承諾した場合、議事録に就任承諾の旨を記載し就任承諾書代わりにする場合は、選任された取締役は実印による押印が必要で、印鑑証明書が必要です。

    さらに、新たに就任する取締役の住所も議事録に記載する必要があります。

    なお、取締役会設置会社の場合は、取締役の選任には印鑑証明書の添付は不要なので、議事録で就任承諾の旨を援用したとしても、新任取締役は議事録に実印を押印する必要はありません。ただし、議事録への住所記載は必要です。

    議事録はいつまでに

    法律上、議事録の作成期限はありませんが、株主総会終了後、速やかに作成すべきです。

    議事録の保管期間

    株主総会議事録は、本店に10年間、支店ではその謄本を5年間備え置いて、株主・会社債権者が閲覧・謄写できるようにしなければならず、これに反する場合は100万円以下の過料の対象となります。

    株主総会議事録を電磁的記録で作成した場合は、これをクラウドに保管することもe-文書法により認められるのですが、通信障害が発生した場合は見ることができなくなるので、クラウドだけでなく記録媒体をおかなければなりません。


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  • 株主とは

    株主とは

    会社に会社にお金を提供することを「出資」といいます。

    出資した代わりに、株式を受け取った人を「株主」といいます。株主は、その会社の株主名簿に記載されて、株主としての権利を行使することができます。

    株主の権利

    自分が持っている株式の数に応じて会社の利益の一部を配当金として受け取ることができます。

    株主総会で意見を言ったり、配当金や、役員の人事、定款の変更などの決議に際しては投票できます。議決権の行使といいます。

    会社によっては、株主優待をと言って、自社製品や自社サービスの利用券などがもらえます。

    株主の責任

    株主は、会社が経営困難に陥っても経営上の責任をとりません。会社が倒産してしまった場合でも、その会社の借金を背負う必要はありません。株主の責任は、株式を買った時に自分が出したお金を失うだけです。これを「有限責任」といいます。

    株券

    平成18年5月1日に会社法が施行され、株式会社は株券を発行しないのが原則になりました。

    したがって、この日以前に設立された株式会社で、定款に「株券を発行しない」という規定が入っていない場合は、依然としてその会社は、株券を発行する義務があるということになります。これを「株券発行会社」といいます。

    株券を発行しない会社では、株主名簿に記載された人を株主として管理します。

    なお、全ての上場会社の株券は電子化されています。

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  • 株主総会を省略することはできますか?

    株主全員の同意で省略できます

    株主総会を省略することは可能です。この制度はみなし決議(または書面決議)と呼ばれ、会社法によって認められています。

    議決権を行使できる株主の全員が、書面か電磁的記録かにより、決議を省略することについて同意の意思表示をした時は、株主総会で提案が可決したものとみなすことができます。

    この制度は、主に株主が少数の会社で活用されます。例えば、一人会社、家族経営の会社、完全子会社などが該当します。株主が不特定多数にわたる上場企業などでは、株主全員の同意を得ることが事実上不可能なため、この方法は使えません。

    このように書面だけで株主総会を開いたことにできる制度を、株主総会の書面決議といいます。

    株主総会の決議の省略を提案ができるのは取締役か株主です。

    手続き

    みなし決議の提案

    「みなし決議」は、株主総会を実際に開催せず、書面上の手続きで決議を成立させる方法です。そのため、通常行われる招集通知は不要です。

    「みなし決議」を行う場合は、株主全員に議案の内容と同意を求める旨を伝える必要があります。これは、「招集通知」ではありませんが、実質的にはそれに代わる役割を果たします。

    みなし決議の提案書(文例)

    以下に、みなし決議を行う際の提案書の文例を示します。

    (株主様名)

    提案者:○○株式会社 取締役 ○○

    件名:株主総会決議の省略に関するご提案

    拝啓

    時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

    さて、このたび当社の重要事項につきまして、会社法第319条第1項の規定に基づき、株主総会の決議を省略し、書面によるご同意を賜りたく、下記の通りご提案申し上げます。

    何卒ご同意のほどお願い申し上げます。

    敬具

    1.決議の目的事項

    (例:第〇期事業年度決算報告の承認について)

    (例:取締役○○の選任について)

    2.提案の理由

    当期における事業活動の結果、および財務状況を報告し、その承認を求めるものです。また、株主の皆様の利便性を考慮し、迅速な意思決定を目的として、書面での決議にご同意いただきたく、ご提案いたします。

    3.ご同意の方法

    お手数をおかけいたしますが、本状にご同意いただける場合は、同封の「同意書」にご署名・ご捺印の上、〇月〇日までに当社宛にご返送いただけますようお願い申し上げます。

    以上

    同封する同意書

    株主総会決議の省略に関する同意書

    私、○○は、上記提案書に記載された事項について、会社法第319条第1項の規定に基づき、株主総会の決議があったものとみなすことに同意します。

    署名・捺印:

    みなし決議の成立

    提案書と同意書を、議決権を行使できるすべての株主に送付し、全員の同意を得ることで、みなし決議が成立します。

    全員の同意書が集まった段階で、すでに株主全員が書面で議案に同意しているため、総会を開く必要がなくなります。

    議事録作成

    このように、株主総会を開催せずに、株主総会決議の効力が発生しますが、株主総会の議事録は作成しなければなりません。

    議事録には、決議があったとみなされた事項の内容、提案者の氏名、決議があったとみなされた日などを記載し、会社に10年間備え置く必要があります。

    株主総会議事録(文例)

    〇〇株式会社臨時株主総会議事録

    会社法319条第1項の規定に従い、株主総会の目的である事項につき株主が提案を行い、同提案につき当社株主全員の同意を得たので、会社法318条及び同施行規則第72条第4項1号に従い、本議事録を作成する。

    1.株主総会の決議があったとみなされた事項

    1.決議の目的事項

    (例:第〇期事業年度決算報告の承認について)

    (例:取締役○○の選任について)

    2.提案をした者の氏名または名称
    〇〇株式会社(当会社の単独株主)

    3.株主総会の決議があったとみなされた日
    令和〇年〇月〇日

    〇〇株式会社代表取締役〇〇〇〇印

    余談

    「みなし決議」と「書面決議」は、同じ制度を指す言葉として使われることが多く、どちらを使っても間違いではありません。ただし、厳密なニュアンスや法律上の用語としては「みなし決議」がよいでしょう。

    「みなし決議」は会社法上の用語

    会社法第319条では、株主総会の決議を省略する手続きについて、以下のように規定しています。

    取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。

    このように、法律の条文では、「あったものとみなす」という表現が使われています。これが「みなし決議」という名称の由来です。

    「書面決議」は慣習的な用語

    一方、「書面決議」という呼び方は、この制度が「書面」による株主全員の同意を要件としていることから、実務上や慣習的に広く使われています。

    書面投票制度

    また、混同されやすい制度として「書面投票制度」があります。これは、株主総会を実際に開催する前提で、出席できない株主が書面で議決権を行使する制度です。「みなし決議」が総会そのものを省略するのに対し、「書面投票制度」は総会を開催することが前提であるため、全く別の制度です。この点も注意が必要です。


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