Last Updated on 2023年2月26日 by 勝
出向者の賃金はどちらが支給するか
出向者の賃金をどちらが支給するかは、特に法律上の制限はありません。出向元と出向先が出向契約によって定めます。
3つのパターンがあります。
□ 出向元が賃金の全額を支給する
□ 出向先が賃金の全額を支給する
□ 二つの会社から賃金を支給する
どちらが賃金を支払うのかによって、保険料の負担の方法が異なります。
なお、これは、出向者に賃金を支給するのがどちらかということで、実質的にどちらが負担しているかということではありません。
例えば、出向先が賃金を支払うが、その費用を出向元の会社が負担している場合は、2つの会社が支払っていることにはなりません。実際に賃金を支払っている出向先が賃金を支払っている会社になります。
出向元が賃金の全額を払う場合
出向元の会社が賃金を支払う場合は、次のような扱いになります。
労災保険の扱い
出向者は出向先の会社の指揮命令下で業務を行うので、労災保険の保険料は、出向先の会社に納付義務があります。出向元の会社が賃金を全額支払っていても、出向先の会社が労災保険の保険料を負担しなければなりません。
雇用保険の扱い
雇用保険は、賃金を支払っている出向元の会社に保険料の納付義務があります。
社会保険の扱い
社会保険(健康保険、厚生年金保険)は、雇用保険と同じで、賃金を支払っている出向元の会社に保険料の納付義務があります。
出向先が賃金の全額を払う場合
出向先の会社が賃金を支払う場合は、労災保険、雇用保険、健康保険と厚生年金保険の保険料は全て、出向先の会社に納付義務があります。
出向元で資格喪失の手続きを行って、出向先で資格取得の手続きを行う必要があります。
二つの会社から賃金を支払う場合
出向先の賃金水準が低い場合に、低くなった分を出向元が支給して、結果的に二つの会社から賃金を受け取ることがあります。
労災保険の扱い
労災保険の保険料は、実際に業務に従事している出向先の会社に納付義務があります。労災保険の保険料は、両方の会社の賃金を合計した額を基準にして、出向先の会社が負担しなければなりません。
雇用保険の扱い
雇用保険は、賃金が高い方の会社が支払っている賃金額を基準にして雇用保険料を負担することになります。賃金が低い方の会社は納付義務がありません。
失業給付を受給することになれば、片方の会社の分の賃金を基準にした給付が算出されます。これでは出向社員にとって不利益になるので、雇用保険を考慮すると出向の場合に二つの会社から賃金を支払う方法はお勧めできません。
社会保険の扱い
社会保険については、両方の会社で加入する方法があります。
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