Last Updated on 2025年9月15日 by 勝
メンタルヘルスケアのステップ2は、メンタルヘルス不調の「早期発見と対応」です。この段階における重要な取り組みの一つが「相談窓口の設置」です。
従業員が心身の不調を感じたとき、誰に相談すればよいのか、どこに頼ればよいのかを明確にすることが、不調の悪化を防ぎ、早期の回復につながります。
なぜ相談窓口が必要なのか
相談窓口は、従業員が一人で悩みを抱え込まないための「安全弁」です。特に、上司や同僚に直接話しにくい内容(人間関係、評価、ハラスメントなど)であっても、専門的な窓口があれば安心して相談できます。これにより、不調のサインを見逃さず、適切なタイミングで対応できるようになります。
相談窓口の種類と役割
効果的な相談窓口を設置するためには、その役割と担当者を明確にすることが大切です。
1. 社内専門家による相談窓口
企業内に配置された専門家が対応します。従業員にとって身近な存在であり、日常的な健康相談にも対応できる点が強みです。
- 担当者: 産業医、保健師、社内カウンセラーなど。
- 役割:
- 従業員の心身の健康相談に応じる。
- 専門的な知見から、具体的なアドバイスや情報を提供する。
- 必要に応じて、より専門的な医療機関への受診を促す。
2. 社外専門機関による相談窓口
企業が外部の専門機関と契約し、サービスを提供します。従業員から見て、会社とは独立した第三者であるため、プライバシー保護の観点から安心して利用できます。
- 担当者: 外部のEAP(従業員支援プログラム)サービス、カウンセリング専門機関など。
- 役割:
- 電話や対面、メールなど、多様な方法で相談を受け付ける。
- 専門のカウンセラーが、仕事だけでなくプライベートな悩みにも対応する。
- 高度な専門性が必要な場合、適切な専門機関を紹介する。
相談窓口を有効に機能させるためのポイント
相談窓口をただ設置するだけでは不十分です。従業員が「本当に使っていいんだ」と感じられるような運用が重要です。
- 周知徹底: 定期的な社内研修や社内報、掲示板などを通じて、相談窓口の存在、利用方法、連絡先を繰り返し周知します。
- プライバシー保護の明文化: 相談内容の秘密が守られることを明確に規定し、従業員に安心感を与えます。
- 利用しやすい環境づくり: 従業員が誰にも知られずに利用できるよう、予約方法や相談場所を工夫します。匿名での相談も可能にすると、さらに利用しやすくなります。
これらの取り組みを通じて、相談窓口は単なる制度ではなく、従業員の心の健康を守るための、信頼できるサポート体制となります。