Last Updated on 2023年7月26日 by 勝
職場復帰支援プログラムの策定
メンタルヘルス不調により休業した従業員が円滑に職場復帰し、就業を継続できるようにするため、事業者は、その従業員に対する適切な支援をする必要があります。
職場復帰支援プログラムを事前に策定しておきましょう。
職場復帰支援プログラムは、産業医等の助言を受けながら、衛生委員会等において調査審議して策定します。
職場復帰支援プログラムの内容
職場復帰支援プログラムにおいては、休職の開始から通常業務への復帰に至るまでの一連の標準的な流れを明らかにするとともに、それに対応する職場復帰支援の手順、内容及び関係者の役割等について定めます。
職場復帰支援プログラムの実施に関する体制や規程の整備を行い、従業員に周知を図ります。
職場復帰支援プログラムの実施は、従業員の個人情報の保護に十分留意しながら、事業場内産業保健スタッフ等(産業医等、衛生管理者等、保健師等、心の健康づくり専門スタッフ、人事労務管理スタッフ等)を中心に当該従業員と上司が、お互いに十分な理解と協力を行うとともに、主治医との連携を図りつつ取り組む必要があります。
職場復帰までの流れ
職場復帰までの流れは以下のようになります。職場復帰支援プログラムに沿って実施しましょう。
本人が職場復帰したいと思うようになった
ただし、「職場復帰したい」は意欲が出てきている表れなので良いのですが、「職場復帰しなければならない」であれば、焦燥感の表れかもしれません。回復の程度を注意深く判断する必要があります。
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リハビリ出勤の可否
リハビリ出勤の制度を設けている場合は、この段階でリハビリ出勤を提案し、準備を進めます。リハビリ出勤とは言えいきなり出勤することが負担のようであれば、外部機関を利用した模擬出勤や自宅から会社までの移動だけにとどめる通勤訓練なども検討します。
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主治医の診断書
メンタル不調者の職場復帰の可否を判断するためには主治医の意見が必須だとされています。直接面談して意見を聴くことが望ましいのですが最低限、職場復帰についての意見が記載された主治医の診断書を提出してもらいましょう。
職場復帰可能という内容が記載された診断書が提出されて職場復帰に向けて具体的動き出します。
本人は、この診断書が出た段階ですぐにでも出社できると思いがちですが、会社としては、この診断書は職場復帰のプロセスの第一段階で、これから会社としての職場復帰の可否を判断することになります。その旨、本人にも理解してもらう必要があります。もちろん、不必要に時間をかけると本人に不安を与えるので迅速な対応を心掛けなければなりません。
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追加情報の収集
必要に応じて、会社としての判断を下すのに必要な情報を追加収集します。
① 本人の復帰の意思を再確認し、復帰時期、希望復帰先、リハビリ出勤の希望などを聞く
② 産業医が確認したい事項を主治医に問い合わせ
③ 休職中の推移について上司、労務スタッフ等からの聞き取り
④ 可能であれば家族からの聞き取り
など
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職場の受け入れ態勢について点検
職場の受け入れ態勢について点検します。この際、現場の様子は管理職1人に聞くだけでなく、複数の声を聞く必要があります。
① 受入れ予定職場の繁忙の程度
② 予定している職務の難度や危険度
③ 同僚等との人間関係
④ 取引先との接触の程度
⑤ 就業上の配慮がどの程度できるか
など
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職場復帰の可否を判断
収集した情報をもとに職場復帰の可否を判断します。産業医の判断をもって最終決定している会社が多いようですが、担当役員、サポートを担当してきたスタッフ、実際に受け入れる職場の管理職等を含めた合議によって決定し、その議事の要旨を記録保存しておくことが望まれます。
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職場復帰プランの作成
職場復帰を許可する決定をしたときは、速やかに職場復帰プランを作成します。職場のメンタルヘルス担当者が起案しますが、受け入れ職場と綿密に打ち合わせしながら作成します。また、このプランは本人にも提示し、要望があれば可能な限り受け入れるようにします。