カテゴリー
労働時間

割増賃金に代えて有休を選択する代替休暇制度

Last Updated on 2024年10月14日 by

代替休暇制度とは

代替休暇制度とは、割増賃金のうち、時間外労働が60時間を超えた分の割増賃金を「お金」ではなく「休み」として与えることができる制度です。

「60時間を超えた分」と書きましたが、正確には「60時間を超えた部分の割増賃金のうちの、割増率25%を超えた分」を休暇でとることができる制度です。

1ヶ月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率は50%以上となっています。

そこで、割増賃金のうち25%分は賃金で支給し、残りの25%分について、賃金か休暇を選ぶことができるようにしたのです。どちらにするかは、本人の意向が優先です。

労働者の休息の機会を確保する観点から、まとまった単位である1日、半日、1日または半日のいずれかによって与えることとされています。

代替休暇は、時間外労働が60時間を超えた月の末日から2ヶ月の間に与えなければなりません。

関連記事:代替休暇|就業規則

具体的な時間計算

代替休暇の時間数を算定します。代替休暇の時間数を求めるには換算率が必要です。

1か月の法定時間外労働時間数-60時間)×換算率=代替休暇の時間数

換算率は次の式により求めます。

「代替休暇を取得しなかった場合に支払うこととされている割増賃金率

代替休暇を取得した場合に支払うこととされている割増賃金率」

計算例

法定外時間労働100時間とします。

代替休暇を取得しなかった場合に支払うこととされている割増率は1.5
代替休暇を取得した場合に支払うこととされている割増賃金率は1.25です。

(100時間-60時間)×換算率(1.5−1.25)=10

10時間が代替休暇の時間数です。

代替休暇を与えることができる期間

労使協定

代替休暇制度を導入するには過半数組合、それがない場合は過半数代表者との間で労使協定を結ぶ必要があります。

労使協定で定める事項は以下の事項です。

①代替休暇の時間数の具体的な算定方法

②代替休暇の単位(1日、半日、1日または半日)

③代替休暇を与えることができる期間(法定時間外労働が1か月60時間を超えた月の末日の翌日から2か月以内)

④代替休暇の取得日の決定方法、割増賃金の支払日

この労使協定は、代替休暇の制度を設けることを可能にするものであって、個々の労働者に対して代替休暇の取得を義務づけるものではありません。制度があったうえで、代替休暇を取得するか否か、いつ取得するかは個々の労働者がその都度自由に決めることができます。

関連記事:代替休暇に関する労使協定のサンプル


会社事務入門時間外労働の定義・三六協定・上限規制・割増賃金の計算方法時間外労働に対する割増賃金>このページ