事業場外労働のみなし労働時間制

Last Updated on 2021年9月1日 by

事業場外労働のみなし労働時間制とは

事業場の外に出て働いているときに、実際の労働時間を計算せず、その仕事をするのに通常必要とする時間を働いたとみなす制度が「事業場外みなし労働時間制」です。

一日の大半を社外で過ごす営業担当者などのように、実際の労働時間を会社が正確に把握することが困難な職種への適用が想定されています。

第38条の2 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。

実際の労働時間を把握できないときは、所定労働時間労働したとみなすという規定です。

「みなす」というのは、そのような事実があったものとして扱うということです。

たとえば、所定労働時間が8時間の場合に、ある日実際には4時間しか働いていなかったとしても、8時間働いたことにするということです。

ただし書きの部分は、たとえば、所定労働時間が8時間であるとしても、通常、その8時間では足りず、10時間は必要な業務であれば、10時間労働したものとみなすという規定です。

この場合だと、法定労働時間を超える2時間についての割増賃金を払わなければなりません。

就業規則

事業場外みなし労働時間制を行う場合は、就業規則に記載する必要があります。また、労働条件通知書や雇用契約書に明記しなければなりません。

労使協定

② 前項ただし書の場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間を同項ただし書の当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする。

通常の業務に必要とする時間については、労使協定で定めるという規定です。

③ 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。

その労使協定を労働基準監督署に届け出る必要があります。

「事業場外労働に関する協定届」の様式は厚生労働省ホームページの「主要様式ダウンロードコーナー」のページに掲載されています。

なお、みなし労働時間が法定労働時間内であれば労使協定は必要ありません。

この制度が適用されたときの労働時間

所定労働時間をみなし労働時間とした場合は、実際の労働時間が所定労働時間より少ない場合でも、所定労働時間労働したとみなします。

ただし、見なし労働時間制を適用されている従業員の帰社してからの業務が定時を過ぎれば、残業として扱わなければなりません。

例えば、営業担当者が夕方6時に会社に戻ってきて、9時に退社したときは、6時〜9時の3時間は時間外労働にしなければなりません。4時に戻ってきて、9時に退社したときは、終業時間(たとえば5時)から9時までの4時間が残業時間となります。

この制度を適用できるか

みなし労働時間制の適用基準は2つあります。

1つは、事業場外で業務が行われることです。

労働の一部が事業場外で行われて、残りの一部の事務処理などが事業場内で行われる場合は、事業場外の労働の部分についてのみが「みなし労働時間」となります。

2つめの条件は、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定し難い場合に適用できるとされていることです。

通達(昭和63.1.1基発1号)
事業場外で業務に従事し、かつ、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難な業務であること、したがって、次の場合のように、事業場外で業務に従事する場合にあっても、使用者の具体的な指揮監督が及んでいる場合については、労働時間の算定が可能であるので、みなし労働時間制の適用はないものであること。
①何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の適正な管理をする者がいる場合
②事業場外で業務に従事するが、無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合

この通達によれば、

携帯電話等で随時使用者の指示を受けながら労働する場合や、訪問先と帰社時刻、当日の具体的業務の指示を受けている場合などは、この見なし労働時間制は適用できないとされています。

また、テレワークについても、通常はインターネットを通じて業務内容を把握でき、一定の指揮監督をすることができることから、事業場外みなし労働時間制の適用は難しいと言われています。

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